北海道のマダラと八戸(青森)のマダラ
八戸は青森県の太平洋沿岸の、岩手県に近いところに位置し、漁業や水産加工業の盛んな町です。八戸市沖で8月9日に獲れたマダラから基準値を超える1キログラムあたり132.7ベクレルの放射性セシウムが検出され、6月にもそういうことがあったのですが、出荷停止になったそうです(日本経済新聞、2012年8月26日)なお、魚介類の放射性セシウム汚染に関する、国の現在の基準値(上限値)は100ベクレル/kgです。
マダラというのは、節操なく何でもよく食べる魚で、スケトウダラと比べると沿岸の底のあたりの生活を好み移動範囲も狭い。以前から北海道でも他の魚介類よりも放射性物質汚染が相対的に高い魚です(1年前の関連記事は「北海道の水産物の放射性物質濃度」)。
北海道周辺の海流の基本の流れは以下のような具合であるにもかかわらず、相対的な汚染度が高いということは、福島原発のある太平洋側の海流で汚染された小魚などが回遊してきたのをパクパクと食べているからでしょう。下は北海道で漁獲されたマダラのこの1か月の放射性物質の測定データです(データは北海道庁)。
以下が北海道周辺の海流図。この図は「北海道の漁業図鑑」(北海道を取り囲む海)から引用させていただきました。
有機食材や特別栽培の農産物などを扱っているある食材の通販業者は、国の基準とは違ったもっと厳しい取扱い基準を設定しており、一般食品(農産物・畜産物・水産物とその加工食品)の放射性セシウム基準値が25ベクレル/kg(国の基準値は100ベクレル/kg)、牛乳は5ベクレル/kg(国の基準値は50ベクレル/kg)、飲料水は1ベクレル/kg(国の基準値は10ベクレル/kg)、乳児用食品は1ベクレル/kg(国の基準値は100ベクレル/kg)。
「もっと厳しい取扱い基準」といっても特別なものではなく、福島原子力発電所の爆発事故以前の基準値のこと。つまり、自然被曝以外の、呼吸や飲料や食料による追加被曝量の限度が年間1ミリシーベルトということで、納得のいく考え方です。
そういう、安全・安心な食材の流通をビジネスの訴求ポイントにしてきた会社が採用した基準値で判断すると、北海道で漁獲されたものとはいえ「マダラ」の中には、どうもぎりぎりで危ういものがある、ということになります。しかし、サンマやスルメイカは全く大丈夫そうです。
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