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2012年8月 8日 (水)

石炭火力発電の新しい技術のことなど

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「CO2と温暖化」(人間の産業活動で排出されるCO2が地球の温暖化を引き起こしている)という二重の意味での神話をまだ信じている人たちがいらっしゃるようです。しかし、その信者は2つのグループ、(1)そういう神話を本当に信じているらしいナイーブな人たち(その場合、この神話創造グループの神話刷りこみ活動がとてもうまかったということになります)と、(2)政治交渉(たとえば、CO2排出量取引)やビジネスやその他の世渡りに役に立つ場合はそういう神話を支持する、つまり信者の振りをすることが自分たちの活動に有利な場合は状況に応じてその場限りの信者になる人たち、に分かれます。環境問題を議論する国際会議などでは、この手の「振りをした信者」が堂々とした態度で演説し交渉しているのが観察できます。

「石炭火力 CO2 を2割削減」「低コスト・環境 両立」「新興国に設備売り込み」という見出しのついた記事が掲載されていました(日本経済新聞 2012/08/03)。この新技術は、日本の電機メーカーと大学との共同開発。記事の掲載箇所は企業総合欄。石炭火力発電は、液化天然ガス (LNG) を使った火力発電と比べるとその燃料費が半分くらいなので、CO2排出量の削減に関心があり、石炭産出量が多く石炭火力発電の需要が高い国への将来の(この技術が実用化される2020年からの)輸出が見込まれるというのが主題です。

売り込み対象先に石炭利用国としての日本も明示的に加えたらいいと思うのですが、日本では液化天然ガス (LNG) を使った火力発電が現在のところは主力だし、それに、この電機メーカーは日本をはじめ新興国の原子力発電設備の供給にも熱心なので、日本をターゲット市場にするには、ビジネス上の遠慮や配慮がいろいろとあるのでしょう。しかし、石炭火力発電に関する技術が日本のメーカーや大学によって洗練され続けているということは、電力生産全体にかかわる原子力発電以外のパラメータの充実ということなので、そういう意味ではいいニュースです。

沖縄を除く地域の電力会社は、我が家が電力を買っている電力会社もそうですが、原子力発電の再稼働というパラメータへの執着があいかわらず激しいのか、火力発電の設備更新やメンテナンスに対する優先順位は必ずしも高くないようです。だから、地元の電力会社に関して言えば、火力発電所が故障で急に停止したり、火力発電設備のメンテナンスに結構な時間がかかったりということになるのですが、こういう出来事は、たいていはピーク時に電力不足が予想されるという懸念と一緒に、遅滞なく公表される傾向にあります。

以下の表は北海道電力の設備別発電量全体の概観と、火力発電の石炭など使用燃料別発電量。石炭火力発電の貢献度が現在の倍になって原子力発電を代替したところでとくに違和感はありません。

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関連記事は、「北海道の石炭と日本の石炭消費、それから電力のこと」、それから『「主要各国のCO2排出量」と「世界の気温の変化」と「環境税」』。

以下は、この3か月の北電の火力発電に関する主要記事です(「毎日JP」より引用)。

◇『北海道電力:主力の火力発電所、定検で停止

毎日新聞 2012年05月20日 01時15分(最終更新 05月20日 13時59分)

 北海道電力は、北海道厚真町の苫東厚真火力発電所4号機(出力70万キロワット)を定期検査のため、20日午前0時10分過ぎに運転停止した。北電の発電所では、今月5日に定期検査入りした泊原発3号機(91・2万キロワット)に次ぐ2番目の主力施設。道内の電力供給は夏場に向け、一段と厳しい状況となり、道内でも本格的な節電対応が求められる。

 検査は10月22日までの約5カ月間の予定。ボイラーの蒸気管など主要な設備を取り換える。北電は「もし事故があれば作業員の人命に関わる部分の補修なので、停止はやむを得ない」と説明する。

 道内の電力需給見通しでは、猛暑になれば8月に1・9%の電力不足が見込まれる。政府は火力発電所をフル稼働させ、原発の発電分を補うよう促している。北電は同4号機の検査時期について、泊原発の全停止後にならないよう検討した。しかし、原発再開の見通しは立っておらず、道内で電力需要がピークになる冬場までに4号機を再開させることが妥当と判断した。』

◇『厚真火発4号機公開 電力不足懸念の中検査−−北電

毎日新聞 2012年06月07日 地方版

 北海道電力は6日、定期検査中の苫東厚真火力発電所4号機(厚真町)を報道陣に公開した。検査は5月20日に始まったが、現在は準備段階で、資材搬入などが行われていた。

 4号機の出力は70万キロワットで、北電では泊原発3号機(泊村)に次ぎ2番目の規模。検査は通常なら約50日で終わるが、今回は劣化の進んでいた高圧蒸気が通る配管の交換工事のため、10月22日までの156日間と約3倍に延びた。

 検査は2年ごとに行うよう義務づけられているものの、経済産業省に届ければ最大2年間延期可能。だが、4号機は10年の検査で2年後に配管の交換が指摘されており、泊原発1〜3号機が定期検査中で電力不足が懸念される中でも延期できなかったという。保苅伸広所長は「どうしてもこの時期に(配管工事を)実施せざるを得なかった。お客様に節電をお願いするのは心苦しい」と話した。』

◇『節電・北海道:電力需要会議 北電、逼迫時は供給力増 20万キロワット、新たに3火力発電所 /北海道

毎日新聞 2012年06月29日 地方版

 道などが今夏の節電対策を話し合う「北海道地域電力需給連絡会」が28日開かれ、北海道電力は電力逼迫(ひっぱく)時に供給力を約20万キロワット増やすことを明らかにした。道内18の経済団体は各業界ごとに業務に支障のない範囲内で照明を落とすなど、自主的な取り組みを進める。

 道内でも準備されている計画停電は、北電の供給予備率が3%未満(15万キロワット)に低下すると見込まれた際に警報が出される。

 北電は電力逼迫時に新たに伊達、砂川、知内の3火力発電所の出力を最大計約13万キロワット引き上げるほか、7月中旬に苫小牧火力発電所敷地内に小型ディーゼル発電機82台を設置し、計7・4万キロワットを確保。計画停電の実施は、苫東厚真(厚真町)など大型の火力発電所の故障や、本州からの電力融通のトラブルが重なった場合に踏み切る。

 一方、連絡会に参加する18の経済団体のうち、北海道百貨店協会は一昨年比10〜15%の節電目標を設定。日本チェーンストア協会北海道支部も同10%の節電に取り組む。』

◇『苫小牧火発:ボイラー故障 出力抑制 /北海道

毎日新聞 2012年07月06日 地方版

 北海道電力は5日、苫小牧火力発電所(25万キロワット)のボイラーが故障し、4日夜から出力を18万キロワットに抑えていると発表した。

 ボイラーで発生させた蒸気に熱を加える過熱器の安全弁から蒸気が漏れた。別の弁で代用しているが、安全のため出力を下げた。

 伊達火力発電所1号機(35万キロワット)では6月29日に配管の蒸気漏れが見つかり、損傷が激しいことから復旧が8日ごろになる見通し。北電は「電力需給が厳しくなる可能性がある」と話している。』

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