« 小さなホップの実 | トップページ | 「おでん」と「関東煮」 »

2012年9月 3日 (月)

イート・イン雑感

10年近く前、日本ではコンビニエンス・ストアがおにぎりや弁当やお茶などを販売するだけの場所であったころ、電子レンジの温めサービスはありましたが、お客は、別の場所、たとえば自分の仕事場、昼休みで使っていない会社の会議室、仕事で運転しているトラックの運転席や助手席、晴れの日は付近の公園のベンチなどで、買い求めたおにぎりや弁当を食べていました。

その頃、出張でときどき訪れる機会のあったシンガポールやクアラルンプール(マレーシア)やバンコク(タイ)の日系コンビニエンス・ストアでは少し事情が違っており、昼休み時に限らずお腹のすく時間帯ではそこで買った物を仲間と食べている若いお客をよく見かけました。まずまずの大きさのイート・イン空間が用意されていたわけです。コンビニでは食べ物の種類や味は現地のニーズに向いたものに変更されますが、コンビニ内の食事スペースも当初から現地需要対応策のひとつだったのでしょう。

台北(台湾)のような朝ごはんも晩ごはんも外で食べる(お店や屋台で外食する)ことがあたりまえの食文化では、コンビニのイート・イン空間は外食文化という食の風景の小片ということになります。

今までは持ち帰りの食べ物を販売するだけだったお店の一角でお客がその食べ物をその場で座って食べられるサービスのことをイート・イン(適当な日本語がほしいのだが見つからない)と呼んでいますが、それとは方向が逆の食べ方に、すし屋や蕎麦屋のような食べ物屋の「出前」、それから食べ物屋の名物料理の「お持ち帰り」などがあります。出前やお持ち帰りの延長線上に、ピザの宅配や、日々の料理がつらくなってきた高齢者や忙しい主婦に人気の「宅配弁当」が位置します。

企業の最近の営業職は大きな共用机の一部を提案書作成などの必要な時に利用し自分の机というものを持たない傾向にあります。たとえ、職場にお弁当を用意してきたとしても昼食用の固定場所がない人が多い。ビル建築現場のオニーサンはお昼ご飯のコンビニ弁当をペットボトルのお茶といっしょに現場のどこかでゆっくりと楽しめるし、奥さん手作りの弁当箱を持参した大工さんも仕事先の縁側などで食事ができますが、そういう好い条件に恵まれている人は必ずしも多くない。手頃な定食屋などがそれなりに近所にあるわけでもありません。下手をすると昼食難民となってしまいます。そういうことを考えると、コンビニのイート・イン設備は使い勝手のいい昼食空間なのかもしれません。

ところで、傍観者としての僕の眼に入ってくる光景としていくぶんうんざりとするのは、傍観者だから別にうんざりする必要もないのですが、中年以上の主婦や女性で混雑しているデパート地下食品売り場のイート・インです。たとえば、パン屋、寿司屋、総菜屋、あるいはケーキ屋。観察頻度が少ないので断定的なことは言えないのですが、夕方の(つまり、夕食前の)中途半端な時間帯でもにぎわっていたりします。お店がそのスペース費用を吸収するほどイート・インで儲かっているのかどうかということは別にしても、混み具合から判断すればこの方たちのイート・イン消費が日本のGDPをいくぶんかは追加的に下支えしているとも言えます。

夕方までイート・インで楽しげなこの方たちは、その夜はどんな晩ごはんをご家族のために用意されるのでしょう。その方法論や内容に少し興味がわきます。

□□□

人気ブログランキングへ

|

« 小さなホップの実 | トップページ | 「おでん」と「関東煮」 »

経営とマーケティング」カテゴリの記事

雑感」カテゴリの記事

食べもの」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1317632/46645808

この記事へのトラックバック一覧です: イート・イン雑感:

« 小さなホップの実 | トップページ | 「おでん」と「関東煮」 »