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2012年9月 6日 (木)

食用油脂の品名と原材料名の同語反復の不思議

「品名:トマトピューレ、原材料名:トマト(桃太郎)」といった表示や「名称:食塩、原材料名:海水(高知県)」、「名称:昆布、原材料名:利尻昆布」、あるいは「種類:本みりん、原材料:もち米(国内)・米こうじ(国内)・米焼酎(自社製)」といった商品表記を見ると、途中の加工工程や製造工程の詳細が想像できなくても、どんな原材料からその食材(広義の加工食品)ができ上がったのかはよくわかります。

小売店のおまけで、ある大きな食品会社が製造した「キャノーラ油」をいただきました。「キャノーラ(あるいは、カノーラ)」とはカナダで開発された菜種(なたね)の一品種です。この記事の主旨には直接は関係しませんが、カナダでは遺伝子組み換え品種の栽培も盛んで、なたね油の原材料として日本にも輸出されています。(関連記事は「GM(遺伝子組み換え)作物の生産状況」、「GM(遺伝子組み換え)作物の生産状況・補遺」)。

いつもの習慣でこの「キャノーラ油」の品名や原材料欄を拝見すると、以下のようになっています。

「品名:食用なたね油、原材料名:食用なたね油」

これだと「品名:軽自動車、部品名:軽自動車」という例えは極端ですが、「品名:みりん、原材料名:みりん」というのと同じことです。日本酒の樽買いのように、どこかからみりんを樽(たる)で購入し、それを瓶につめかえただけで販売したとすると、「みりん、みりん」という組み合わせになりそうです。カナダのキャノーラ油製造会社からキャノーラ油を大量にOEM購入し、それを日本の食品メーカーがパッケージングし直したのなら、「品名:食用なたね油、原材料名:食用なたね油」という表示はほぼ正直だといえます。

しかし、なにか引っかかるものがあったので、他の植物油であるところの「オリーブ油」の品名と原材料名を確かめることにしました(【蛇足的な註】:キャノーラ油やオリーブ油は、アボガド油もそうだが、オレイン酸という一価不飽和脂肪酸を多く含む。オレイン酸は不飽和脂肪酸の中では最も酸化されにくく、料理の風味を高め、食欲をそそる)。

ここで取り上げた「キャノーラ油」と同じ食品会社のオリーブ油だと検証の意味が薄れるので、対象は全く別の会社2社のオリーブ油です。一つは、国内産のオリーブ油。瀬戸内海でオリーブを栽培し、そのオリーブ果実からオリーブ油を圧搾絞りで製造したもの。もう一つは、スペインで有機栽培(JAS認定)したオリーブ果実を、こちらも、圧搾絞りしたもの。

・瀬戸内海の方は「名称:食用オリーブ油、原材料名:食用オリーブ油」、
・スペインの方は「名称:有機食用オリーブ油、原材料名:有機食用オリーブ油」

出来上がったものと材料の同語反復がどうにもすっきりしないので、こういう場合は、基準の内容を好ましく思うかどうかは別にして「加工食品品質表示基準」を参照するのが手っ取り早い。以下は当該基準の「キャノーラ油」や「オリーブ油」に関連する部分です。(「加工食品品質表示基準」は平成12年に農林水産省によって制定され、現在の所管庁は消費者庁。)

◇ ◇ ◇

加工食品品質表示基準
最終改正平成24年6月11日消費者庁告示第5号

(加工食品の表示の方法)
第4条

(1) 名称
その内容を表す一般的な名称を記載すること。・・後略・・

(2) 原材料名
使用した原材料を、ア及びイの区分により、次に定めるところにより記載すること。

ア.食品添加物以外の原材料は、原材料に占める重量の割合の多いものから順に、その最も一般的な名称をもって記載すること。・・後略・・
イ.食品添加物は、原材料に占める重量の割合の多いものから順に、食品衛生法第19条第1項の規定に基づく表示の基準に関する内閣府令の規定に従い記載すること。
ウ.アの規定にかかわらず、次の表の左欄に掲げる区分に該当するものにあっては、同表の右欄に掲げる名称をもって記載することができる。

【註】「ウ」が狭義の関連部分。11種類の「区分に該当する」ものが取り上げられており、その最初が「食用油脂」。「同表の右欄に掲げる名称」と一緒に引用すると、以下の通り。

区分: 食用油脂
名称: 「植物油」、「植物脂」若しくは「植物油脂」、
    「動物油」、「動物脂」若しくは「動物油脂」、
    又は「加工油」、「加工脂」若しくは「加工油脂」

◇ ◇ ◇

前述のように、たとえば商品に、「品名:軽自動車、部品名:軽自動車」あるいは「品名:みりん、原材料名:みりん」と書いてあると、消費者は商品提供会社から馬鹿にされているのではないかいう気分に、普通はなります。「品名:食用なたね油、原材料名:食用なたね油」というのはそういう方向の乗りです。しかし、基準通りの表示ではあります。

このキャノーラ油は商品パッケージに書いてある製法を拝見すると化学的な処理方法で油を徹底的に(あるいは、非常に効率的に)抽出したものなので、品質の違いを「基準」では訴求できない伝統的な圧搾絞りのオリーブ油に同情しますが、そういうことを別にすれば、食用油脂のトートロジー(Tautology:同語反復)の謎が一応は解けました。しかし、どういう背景と理由でこういう同語反復が採用されたのかはわからない。

以下の表は、GM(遺伝子組み換え)作物の生産(作付)状況の概要。ご参考まで。

Gm

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