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2012年10月 3日 (水)

発電手段と知の性格

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比較的長めの新聞記事から記事の主旨に沿って一部を引用します。記事のタイトルは「冬の電力不足に危機感 泊再稼働へ経済界一丸」で、2012年9月26日付の日本経済新聞・北海道経済欄。(なお、下線は「高いお米、安いご飯」)。

・「道の4団体、道庁へ要望書」
・「道内経済4団体が一致して、北海道電力の泊(とまり)原子力発電所(泊村)を早期に再稼働させようと動き出した。冬に電力不足となりやすい北海道の事情が政府に理解されていないとの危機感が背景にある。」
・「(北海道の)経済4団体のトップがそろって25日、道庁に高橋はるみ知事を訪問。この冬の電力供給の確保泊原発の早期再稼働を求める緊急要望書を手渡した。」
・「年末に向けこの厳しい状況を乗り切るためには泊原発の再稼働が必要だということを確認した。」(これは、同記事付属の「記者会見」部分より引用)

要望の眼目は「この冬の電力供給の確保」なのか、それとも「泊原発の早期再稼働」なのか。「乗り切るためには泊原発の再稼働が必要だということを確認した」といった風に両者を不可分のごとく抱き合わせるのではなく、はっきりと両者を区分した方がいいと思います。そうでないと、どちらの要望が主でどちらが従なのかわからない。要望の眼目が「この冬の電力供給の確保」であり、なおかつその実現手段の好みに関しても意見を述べたいのなら、なぜそれを好むのか、それを好む短期と長期の理由についても同時に簡潔に述べていただいた方が、当事者の考え方の背景が、当事者でない人たちには、よく理解できる。

他の地域とは違う北海道のユニークな事情があるなら、他の地域とは違う解決手段を他の地域とは違うスケジュールで推し進めることもできます。たとえば、上の引用部分の3項目目が以下のようであっても、差支えない。

「(北海道の)経済4団体のトップがそろって25日、道庁に高橋はるみ知事を訪問。この冬の電力供給の確保現在計画中の石狩湾新港『LNG火力』発電所の計画の大幅な前倒しと早期稼働、石炭と新しい火力発電技術を使う新規火力発電所の早期建設 を求める緊急要望書を手渡した。」

この冬に火力発電所などの既存の設備に故障があればこの冬を乗り切れないと予測するのなら、今まで十全だったとは思われない設備保全にさらに力を入れて取り組めばいいし(関連記事は「石炭火力発電の新しい技術のことなど」)、他の電力会社や民間から電気をかき集めてくる短期のバックアップ的な算段にもっと積極的になればいいわけです。それでも間に合わない場合は、電力供給量と電力消費量に関する「意図的に加工されていない」情報が当事者からタイムリーに公開され続けるという前提のもとに、あとは、みんなで代替手段をできるだけ利用して、節電。ないしは、余力のある企業の場合は自家発電。

人の知(ないし智)は科学に代表される経験実証主義的なそれ一種類ではなく、たとえば以下の図のように知(智)の性格・性質や深さによって違いがあります。(関連記事は「食と3種類の知とヘルシーエイジング(1)(1-2)(その1)」)

首相官邸前での原発反対デモと、それに対する首相官邸の態度には準拠する知の違いがよく出ています。

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首相官邸前での原発反対デモやその他の地域で同じ趣旨のデモに参加する人たちに通底するのは「思考し共感する知」「心と理知の眼」を準拠枠とする判断と意見です。「己の欲せざるところは、汝(なんじ)之を人に施すこと勿(なか)れ」といった東洋の倫理観が共有されているとも言えます。そういう準拠枠に基づいて、「測る知」がもたらす実現手段の優先順位を評価しようとしている。

一方、ここで引用した経済新聞(に限りませんが)の政治経済欄によく見られる主張や論調は、「測定する知」「経験実証主義という五感の眼」が、経済性や経済計算という衣装をそのまままとった類(たぐい)が多いようです。だから、北海道の経済4団体の要望書にも、泊原子力発電所の再稼働以外のオプションがないのは当然かもしれません。

1か月半ほど前に日本の原子力発電に関しておせっかいがありました。

「アーミテージ元米国務副長官とナイ・ハーバード大学教授は15日、日米同盟強化のための対日政策提言書『アジアの安定をつなぎ留める日米同盟』を発表した。・・・中略・・・エネルギー分野では地球温暖化対策の観点から野田佳彦首相による原発再稼働を評価し、新たなエネルギー源とされる『メタンハイドレート』の日米共同研究・開発を進めるべきだと提案した。超党派の有識者が協力し、アーミテージ、ナイ両氏が執筆した対日政策提言は00年、07年に続き3回目。」(毎日新聞 2012年08月16日、下線は「高いお米、安いご飯」)

あいかわらず迷惑な話です。しかし、今回は当該提言書を「あせって」書いたのか下線部分が言わずもがなのメッセージ、というか勇み足になっており、けっこう愉快ではあります。

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