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2012年10月22日 (月)

日本の調理用トマトと新品種

調理用トマトの新品種プロモーションに関する小さなインターネット記事がありました。

『(東京都中野区で、2012年)10 月17 日、東北産トマトの新品種「すずこま」の試食・発表会が開かれる。・・・中略・・・「すずこま」開発の背景には、日本家庭における調理用トマトの需要を増やすことを目的とし、調理用トマトの文化を広げ復興につなげるというもの。「すずこま」は加熱調理用のトマト。抗酸化作用を持つリコピンを多く含む、煮崩れしない、火を通しても赤みがあせない、などの特徴があるという。・・・後略・・・』(中野経済新聞 2012年10月15日

札幌に住んでいると、生の調理用トマト(イタリアントマトと総称されている料理用のトマト)が、他の地域よりは(あくまで相対的な話ですが)比較的容易に手に入ります。札幌の南の近郊に恵庭(えにわ)というところがあり、そこで調理用トマトを少しですが生産しているからです。ただし、収穫・出荷時期は、地這い栽培の露地栽培なので8月の終わりから10月上旬までと短い。その間にトマトソースを作り、楽しみ、余った分はストックしておきます。品種は、「サンマルツァーノ」や「なつのこま」などの「こま」シリーズと呼ばれているもの。少し足を延ばせば、洞爺(とうや)あたりでも好い調理用トマトが手に入ります。

イタリアやトルコの調理用トマトは料理用の旨味を、日本の生食用トマトはサラダや丸かじり向き(たとえば、フルーツトマトやミニトマト)の甘味を追い求めてきたと言えます。(蛇足ですが、トマトを用途別に分類すると、サラダなどの生食用、トマトジュースなどの加工用、そして、加熱料理に適した調理用の3種類になります。)ドレッシング作りや野菜の組み合わせから考え始めるとサラダは決してファストフードではないのですが、カット野菜にトマトを加え、市販のドレッシングをパッパッと振り掛けることを当たり前と考えると、生食用トマトはファストフード向き、調理用トマトはスローフード向きといえるかもしれません。

だから、日本でも国内産の生の調理用トマトの人気が高まるためには、ひとつは、料理にかける時間をもったいないと思わないタイプの主婦や独身男女が増える必要があります(「買い物かごの野菜と自炊系男子」)。ただし、食べ物に関する現在のトレンドは「あまくておいしい」「調理が簡単で食べやすい」のので、これが調理用トマト普及の壁になる(『野菜と果物と魚と「つゆの素」』)。たとえば、トマトソースを作ろうと思ったら、トマトはまず湯剥き(ゆむき)して、種を取る。

もうひとつは、トマトの収穫時期。日本の生食用トマトは、生産地域と出荷時期によって冬春トマトと夏秋トマトに分かれています。つまり、南の熊本から北の北海道までのどこかのトマト産地で栽培された生のトマトがほぼ一年中手に入るということです。夏に大量に収穫されて、他の時期は知らん、というのが露地栽培の調理用トマトです。イタリアなどでは、日本の「手前味噌」(自家製味噌)ではありませんが、調味料としてのトマトソースをトマトの旬の時期である夏に各家庭で大量に作り、「手前(自家製)トマトソース」として、マヨネーズ瓶のような空き瓶などに詰めて貯蔵する。そうすればパスタ用のソースとして自宅の味を1年間楽しめます。しかし、こういうのを日本の消費者に期待できないとなれば、出荷時期を通年販売に近いものにしないとどうも具合が悪い。

「すずこま」はそういうニーズにこたえるために開発された調理用トマトの新品種らしい。「農研機構」のホームページで「すずこま」の説明を引用すると、以下のようになっています(『・・・』が引用個所)。

『低段密植養液栽培向けの加熱調理用トマト「すずこま」』

『日本のトマト生産においては、非心止まり性の生食用大玉品種やミニトマト品種を用いた多段どり(長期どり)の支柱栽培が主流であるが、これらの品種を利用した低段密植養液栽培も一部に普及している。他方で、腋芽かきが不要な心止まり性品種を利用した加熱調理用トマト(クッキングトマト)が注目を集めている。しかしながら、加温施設栽培に取り入れられていない等作型の分化がみられず、栽培時期が限られて長期供給できないことが普及の妨げになっている。そこで、施設内での低段密植養液栽培によってクッキングトマトの長期出荷を実現するための品種育成を行う』。

『「すずこま」は、早生で草姿がコンパクトな心止まり性の加熱調理用トマト(クッキングトマト)品種候補であり、低段密植養液栽培に適する。』

以下は、「すずこま」と北海道産「オスカー(サンマルツァーノ・タイプ)」の写真です。ご参考まで。

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↑「東北」産の「すずこま」(写真は中野経済新聞の上述の記事からお借りしました。)

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↑「北海道」産の「オスカー(サンマルツァーノ・タイプ)」(調理前)

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