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2012年12月

2012年12月31日 (月)

年末年始はブログはお休みします

12月31日の週(12月31日から1月4日まで)はブログはお休みさせていただきます。1月7日(月曜)から再開します。

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2012年12月28日 (金)

根付き松の簡易門松

我が家のお正月の門松は簡単なもので、根付き松の簡易門松、10年ほど前から同じスタイルです。根付き松と紅白の水引だけの簡素なもの。この簡素が気に入っています。

根付き松は花屋に買いに行った時に、そのお店にあるものの中でいちばん姿のよさそうなものを選択。水引は、松の幹の頃合いのところを奉書紙(ほうしょがみ)で巻き、そこを紅白で結びます。そして、それを玄関に。

「お正月」は、「お正月」と「節分」あるいは「サト」と「ヤマ」のつながりでその意味を理解するのが、僕にはいちばん腑に落ちます。

サトは、農耕の地。農作物がいっぱいで安定し生活も便利です。しかしその分、霊的なものの勢いが衰えています。一方ヤマは、霊的なものやスピリットのパワーに満ちています。だから、山伏たちは、霊的なものの力を求めて山に入る。

年に一度、サトの人たちは、ヤマから霊的なものにサトに降りてきてもらい、サトをヤマのスピリットで満たします。それがお正月で、霊的なものは「オニ」と呼ばれます。サトの家では、オニのための目印にヤマのシンボルを玄関に置きます。門松です。我が家では、根付きの松を飾ります。

二月の節分(立春の前日)までの一ヶ月あまり、オニはサトを霊的なパワーで満たします。霊的な力がサトに充溢したら、オニはヤマに帰ります。「鬼は外」です。そのとき、サトの人たちは、感謝の念を込めて、豆を撒きます。

A2

(松の根は、保水性のある緑の紙で包んであります。)

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2012年12月27日 (木)

ダイダイ(橙)とポン酢とお正月

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知り合いから庭で実ったダイダイがいっぱい送られてきました。我が家では、スダチと並び、ダイダイはポン酢の原材料です。一般にはポン酢というと柚子(ユズ)ですが、絞る努力に対する絞り汁の産出量の多さという意味ではユズほど絞りづらいものはありません。絞るのが一番楽なのがダイダイです。

夏のころは緑色のダイダイが冬には熟して橙(だいだい)色に、しかし、そのまま放置しておくと年を越しても枝から落ちずに、夏にはまた色に緑がにじみ、2~3年くらいは枝についている。だから、順調に季節が移り変わっていけば、今年のもの、去年のもの、一昨年のものと三代のダイダイがひとつの木になることになります。そこから、あるいは、果実が木についたまま年を越すところから、「代々」(ダイダイ)という名前がついたらしい。いずれにせよ「代々」として縁起を祝い、正月の飾りに使います。

写真のような大きさのダイダイをのせようとすると、それなりにしっかりとした鏡餅が必要です。色形が似ているからといって蜜柑(ミカン)などをポンと置くと「代々」(ダイダイ)にならないのでご用心。

枝についているダイダイは夏になるとまた緑色が出る(のもある)ので、回青橙(かいせいとう)とも呼ばれています。

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   <いただいたダイダイの一部、半分はポン酢に、半分はジャムに>

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2012年12月26日 (水)

外はマイナス6℃、2012年度産タクアンの最初の取り出し

明け方の外気温はマイナス6℃からマイナス7℃で、日中もマイナス2℃~マイナス3℃。明日から2~3日は最低気温が氷点下2桁になることが予報されています。

タクアン用の大根を干し始めたのが10月の終わりころ。「つ」の字や「つ」の字に近いところまでに干しあがったのを漬け込んだのが、それから2週間後。漬け込んでからひと月半が経過したので、タクアンもいい具合にでき上がっているはずです。まもなくお正月なので、もっともお正月とタクアンは直接の関係はありませんが、2012年度産の最初のタクアンを貯蔵容器から取り出すことにしました。容器は寒い戸外に置いてあります。

容器は木の樽ではなく、一斗(18リットル)のホーロー容器。その容器に漬け込んである大根は全部で20本。ホーロー容器をぴったりの大きさのクーラーボックスに収納し、またボックスの下には防寒マットを敷くなどできる限りの防寒対策はしてあるつもりですが、日中でも外を歩くとすぐに耳が痛くなるような寒い日が続いているので、凍っていないか若干の不安はあります。

朝、外が十分に明るくなった頃に、米糠(こめぬか)の層を挟み4層に積み重ねてある一番上の5本を取り出しました。漬け込んだ後で追加した日本酒も効いたのか(塩水の予定だったが日本酒に変更)、容器内で十分に水は上がっており、濡れた糠もタクアンも全く凍っていません。下の写真はステンレスボールに取り出した直後のもの。いい色合いです。

すぐには食べない4本は、真空パック詰めにして冷蔵庫へ。すぐに食べる1本の頭としっぽを少し試食してみましたが、けっこうな味わいでした。経験のある方はお分かりかもしれませんが、途中で一度でも凍らせてしまったタクアンはおいしくありません。

62012a

    <一斗樽風の容器からから取り出したばかりの今年度のタクアン>

2012年度のタクアン関連記事はそれなりに多く、順番に並べると、「タクアン用大根の結び方と吊るし方の練習」(9月中旬)、「10月最終週の大根干しと結び方」(10月下旬)、「続・『10月最終週の大根干しと結び方』」(11月上旬)、「続続・『10月最終週の大根干しと結び方』」(11月上旬)、「2週間後の天日干し大根と、ホーロー製のタクアン用漬物樽(たる)」(11月中旬)、「タクアン樽の防寒対策」(11月下旬)、そして今回の「外はマイナス6℃、2012年度産タクアンの最初の取り出し」(12月下旬)へと続きます。

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2012年12月25日 (火)

自動車と原子力発電所

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少し前に鬼籍に入られた、粘り強くて独創的な思索が特徴の評論家・思想家が、1年ほど前のある週刊誌のインタビューで次のような発言をしています。

週刊誌の現物が手元にないので、その発言を引用しながら書かれた新聞記事からの孫引きになりますが、その記事はその(脱原発を支援するという)主張のために、その評論家・思想家の発言の中のある部分だけを、彼の全体的な発言趣旨を無視して都合よく切り貼りしているとは思われないので、そのまま借用します(東京新聞 2012/01/12 引用部分は『・・・』)。なお、念のために同じような時期の、他の論調の違う複数の媒体(日本経済新聞や毎日新聞)での発言も調べてみましたが、同じ趣旨の発言が見られるので、その週刊誌向けに普段とは違うことを述べたわけではないようです。

・『科学の成果を一度の事故で放棄していいのか』
・『自動車事故で亡くなる人が大勢いるが、だからといって車を無くしてしまえという話にはならない』
・(必要なのは)『原発を止めてしまうことではなく、完璧に近いほどの放射線に対する防御策を改めて講じること』

他の媒体でのその評論家・思想家の発言も並べてみます。(『・・・』が引用部分)

『原発をやめる、という選択は考えられない。原子力の問題は、原理的には人間の皮膚や硬い物質を透過する放射線を産業利用するまでに科学が発達を遂げてしまった、という点にある。燃料としては桁違いにコストが安いが、そのかわり、使い方を間違えると大変な危険を伴う。しかし、発達してしまった科学を、後戻りさせるという選択はあり得ない。それは、人類をやめろ、というのと同じです。だから危険な場所まで科学を発達させたことを人類の知恵が生み出した原罪と考えて、科学者と現場スタッフの知恵を集め、お金をかけて完璧な防御装置をつくる以外に方法はない。今回のように危険性を知らせない、とか安全面で不注意があるというのは論外です。』(日本経済新聞 2011/08/05)

『原子力は核分裂の時、莫大(ばくだい)なエネルギーを放出する。原理は実に簡単で、問題点はいかに放射性物質を遮断するかに尽きる。ただ今回は放射性物質を防ぐ装置が、私に言わせれば最小限しかなかった。防御装置は本来、原発装置と同じくらい金をかけて、多様で完全なものにしないといけない。原子炉が緻密で高度になれば、同じレベルの防御装置が必要で、防御装置を発達させないといけない』(毎日新聞 2011/05/27)

『(彼は)1982年、文学者らによる反核運動を批判する「『反核』異論」も出版している。その中で核エネルギーについてこう記した。<その「本質」は自然の解明が、分子・原子(エネルギイ源についていえば石油・石炭)次元から一次元ちがったところへ進展したことを意味する。この「本質」は政治や倫理の党派とも、体制・反体制とも無関係な自然の「本質」に属している。(略)自然科学的な「本質」からいえば、科学が「核」エネルギイを解放したということは、即自的に「核」エネルギイの統御(可能性)を獲得したと同義である>』(毎日新聞 2011/05/27)

原子力発電や核エネルギーは人間の英知の成果であり結局は望ましいというのがこの方の意見なので、ここではそういうものだと受け入れます。しかし、以下の2点が気になります。

ひとつは『自動車事故で亡くなる人が大勢いるが、だからといって車を無くしてしまえという話にはならない』という強引な喩え。

もうひとつは <自然科学的な「本質」からいえば、科学が「核」エネルギイを解放したということは、即自的に「核」エネルギイの統御(可能性)を獲得したと同義である> という哲学的な断言。

この方の著書には独自の視座で論理を粘り強く展開するという知の魅力がいっぱい詰まっているのですが、意見の異なる他者を論評する場合には過度に強引な云いまわしになる場合も散見されます。今回もそういう傾向が出たのかもしれません。

まず、車の喩え。喩えの対象は、飛行機でも車でもそれを利用することに死の危険性が確率的にともなう現代の便利な交通手段なら何でも同じことです。

「自動車事故で亡くなる人が大勢いるから、車を無くしてしまえ」と云っている人は、ごくまれにいらっしゃるかもしれませんが、多くはない、というか、まずいません。そういう風な極端にはならない。「安全性の低い車、設計思想・設計基準が安全でない車は要らない。ただし車は必要なので、安全性が高く燃費のよい高い車は使い続ける。」というのがほとんどの人たちの考えでしょう。この考えを「電気」にそのまま適用すれば、「原子力発電は、核廃棄物処理まで含めて考えて、危険すぎるので要らない。ただし電力は必要なので、既存の安全な火力発電や水力発電を利用しながら、今後は先端技術の火力発電や太陽光や風や藻などの代替エネルギーを利用した発電方式に置き換えていくことで、電気を使い続ける。」ということになります。

ところで、車と安全性ということで思い出すのはFord社のPintoという車です。Ford Pintoがどんな設計思想の車であったかをWikipedia(日本語版)から引用します。(引用は『・・・』部分。)

『フォード・ピント(Ford Pinto)は、米のフォード・モーター社が1970年代に発売していたサブコンパクトカーである。同社の元社長であるリー・アイアコッカが責任開発者となっており、また構造上の欠陥が問題となったことで有名である。(・・略・・)ピントに纏わるエピソードとして最も有名なのがいわゆる「フォード・ピント事件」である。(・・略・・)短期間で市場に送り込むこととコスト削減の目的で通常43ヶ月を要する開発期間を25ヶ月で開発し市場に送り込んだが、開発段階でデザイン重視によるガソリンタンクとバンパーが近接した構造と、バンパーの強度不足により追突事故に非常に脆弱である欠陥が発覚した。しかし、フォード社は欠陥対策に掛かるコストと事故発生時に支払う賠償金額とを比較し、賠償金を支払う方が安価であると判断してそのまま放置した。(・・・後略・・)』

僕は、この悪名高いという意味で有名な車を1970年代の終わりか1980年代の初めに実際に見ています。あるプロジェクトで一緒になった僕よりも若い米国人エンジニアがFord Pinto(ただし、初期モデルではなく、設計変更というか手直しないし製造変更された後のモデル)を運転しているので、同じ部門の先輩らに、「この車で事故を起こすとその場で死んじゃうよ。」と、からかわれていたのを思い出します。若いエンジニアは「事故など起こさないし、事故にも巻き込まれないから大丈夫。」

『欠陥対策に掛かるコストと事故発生時に支払う賠償金額とを比較し、賠償金を支払う方が安価であると判断してそのまま放置した。』という発想は、場所と形と対象を変えてそのまま生きてきました。

次に気になるのが、<自然科学的な「本質」からいえば、科学が「核」エネルギイを解放したということは、即自的に「核」エネルギイの統御(可能性)を獲得したと同義である> といういかにもこの評論家・思想家らしい哲学的断言です。その断言を次のように敷衍してみます。

<政治経済的および科学技術的な「本質」からいえば、科学が「核」エネルギーを解放したということは、経済合理性が保証される範囲(つまり、金儲けになる範囲)において、そしてその範囲においてのみ、「核」エネルギーの統御(可能性)を獲得したと同義である。従って、その範囲からはみ出したものは、政治経済および科学技術の「本質」からして、統御の対象外となる。>

自然科学が紙の上に書かれた美しい数式にとどまっている間はそのインクの数式も、そしてその数式にたどり着いた科学者の意識も(その科学者の意識が相当に飛び跳ねており統御されていない場合もあるかもしれませんが、それにもかかわらず)統御されています。しかし、それが実際に応用成果物としての形を持ち始めた場合には、その応用成果物をいかに統御するかという判断や実行は、別の系に属する話です。

毎日新聞の記事に引用された箇所(「『反核』異論」)では、「統御」ではなく『統御(可能性)』という控えめな表現が使われていますが、『統御(可能性)』という控えめな表現も乱暴に使えば以下のような乱暴な文脈の構成も可能です。

<科学が自然界からさまざまなエネルギーを解放したということは、科学は自然界のさまざまなエネルギーの統御(可能性)を獲得したと同義である。つまり、科学は、核エネルギーは云うに及ばず、地震の統御(可能性)と台風の統御(可能性)も獲得したといえる。>

事実は、地震の統御も台風の統御も、核廃棄物を超長期にわたって安全に処分という意味での統御も高速増殖炉の統御もできていないし、地震や台風の統御は永遠にできそうもありません。

科学の本質というか、「科学という知」の本質的な性格は、価値判断を含んだ知ではなく、もっぱら「測ること」で充足するタイプの知です。「統御(可能性)」という意味では、分かりやすく言い換えてみると、「設計思想という土台がわからないときちんとした統御方式は構築できない、つまり、必要な統御方式は設計思想という土台に最初から組み込まれている」というような意味では、科学の成果物を統御するための材料や手段や手がかりは科学のなかに含まれてはいますが、科学が自身の応用成果物を価値判断をまじえて統御することはできません。

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2012年12月21日 (金)

中古品として売却した調理用電気器具と、予想以上に便利な調理関連電気器具

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この1年間ほどで購入し、性能や使い勝手が予想を我慢できないほど下回ったので中古品市場で売り払った料理・調理用電気器具は以下の2つ。調理関係の器具は、電気的なものも機械的なものも、配偶者が選びそれに僕が同意するというプロセスで購入することが多いのですが、売却の場合も同じ経路を通過します。

こういうものは、マーケットプレイスと呼ばれている一般の中古品取引市場でも販売できるし、セレクトショップ的な流通会社(通販会社)の中には、その会社から買った商品に限定されるにせよ、中古品を査定して買い取ってくれるシステムを最初から組み込んでいるところもあります。

1. 米粒を原材料にしてパンを焼くタイプのパン焼き器。

手放した理由は明確で、まず「パンがおいしくない」、それから「手入れが面倒すぎる」。同じ会社の普通のホームベーカリーで焼く「米粉パン」は納得できる味と仕上がりになりますが、「米粒加工タイプのホームベーカリー」でつくった米パンは、我が家の味の基準値に達することがありませんでした。また、調理器具や電気器具の手入れをほとんどまったく苦にしない配偶者がこの器具の手入れやメンテナンスの面倒くささをしきりとこぼすので、売却を決意。さいわい、すぐに売れました。

2. 豆乳製造装置

次は、家庭用の小型電気豆乳製造器です。この装置の欠点は、豆乳の品質が鍋で作るものと比べて(悪い方に)差があることです。鍋で豆乳を手作りすると、家庭内担当者は鍋につきっきり状態にならざるを得ないので自動製造器を購入したのですが、できた豆乳の品質が受け入れがたい。で、売却。これは商品に付属している「中古品売却サービス」を利用。

逆に予想以上の活躍を見せてくれるものもあります。購入したのは2年前ですが、ますますその便利さを実感しているのが、電気式の真空パック器。ああ、もっと前から買うべきだった、とは配偶者の弁。真空パック器なので、パックの中はほとんど真空に近い状態になります。酸素がないので、専用袋にパックした食材や食べ物は酸化しません。

この器具の対象は、さまざま。「ドライトマト」「ドライハーブ」に始まり、活きのいい鯖が手に入った時にまとめて作っておく「締め鯖」、たくさん作って残りを保存する「カレー」、「何かの時用にとりあえず保存しておく炊いたご飯」、保存容器が出払っている場合の「トマトソース」、長期保存用の「自家製タクアン」、それから、真空で封をすることが目的で冷蔵庫とは関係のない食べ物、たとえば半分使った「小麦粉」、プレゼント用に小分けした「手作りクッキー」など。

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2012年12月20日 (木)

数の子とおせち料理

北海道は鰊(ニシン)の産地ですが、「ニシンそば」で食べる「身欠きニシン」以外はどうも食欲がわきません。もったいないことではあります。ただし、大きな例外があり、その例外とはニシンの卵であるところの「数の子」。これはじつにおいしいと思う。おせち料理もこれがないと始まらない。

江差(えさし)や小樽やもっと北の北海道の日本海側に足を運ぶと、かつて盛んだったニシン漁の跡が見られます。「ニシン御殿」とよばれる番屋建築の跡で、今は記念館風になっているもの、今でも観光施設を兼ねた住居として使われているもの、そして朽ち果てていく途中のものがあります。(【註】鰊(にしん)番屋とは、ニシン漁の網元の住居と、雇い漁夫が寝泊まりする宿泊施設の二つの機能を兼ね備えた大きな建物。たとえば、下の写真。写真の番屋は今は重要文化財。)

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小樽や札幌や江差では「群来(くき)」という文字の入った看板の寿司屋や料理屋や街の居酒屋をときどき見かけますが、群来(くき)とはニシンの群れで、手元の辞書の説明を借用すると「(北海道南部や東北地方で)産卵のためにニシンが大挙しておしよせること。鰊(にしん)群来。」あるいは「産卵のため沿岸へ押し寄せる魚群。特に北海道沿岸へ来遊するニシンの産卵群」。

群来の見られた時期、たとえば、1880年くらいから1930年くらいまでの北海道のニシン漁獲量は年に40万トン~100万トン。しかし、1960年以降は減少の一途で、途中数万トンの漁獲量の年もありましたが、ここ数年の漁獲量は年に3500トン前後。つまり、「ニシン御殿」の時期の100分の1から300分の1です。北海道産の数の子の値段が半端じゃないのも頷(うなづ)けます。

以前は、つまり、まだニシン漁がそれなりに盛んであった頃は、「干し数の子」(天日干しをした数の子)が数の子の定番(現在俗語だとデフォ)だったと記憶していますが、希少価値が高まるにしたがって、定番が「塩漬け」(や、最近では「味付け」)に替わっていったようです。同時に、米国産やカナダ産の数の子も売り場を席巻するようになってきました。北海道産の「干し数の子」は現在でもわずかに生産されています。最高級食材の値段なので、懐に余裕のある方はどうぞ。(ただし、「干し数の子」が子供用の甘くないおやつだった時期も、かつては、ありました。)

さて、「おせち料理」です。「おせち」は漢字をまじえて書くと「お節」。「節」は「節分」の節で、季節の分かれ目のことです。だから、おせち料理がお正月限定ということではなかったのが、だんだんと一般に浸透してきてお正月の「おせち料理」になったようです。そこに込められた意味は、豊作や子孫繁栄や家内安全。だから、地域差はあるけれども、たいていは、そういう意味合いの献立になっています。

◇祝い肴三種
・【黒豆】一年中「まめ」に働けるように、黒豆。勝手を云えば、黒豆はやはり丹波の大玉黒大豆です。北海道のは小粒なので、味噌や焼き豆にはいいのですが、祝い肴むきではありません。
・【数の子】ニシンの卵で子孫繁栄。これはわかりやすい。しかしなぜ他の魚の卵でなく、ニシンの卵なのか。おそらく噛んだ時の噛みごたえと味わいがイクラやタラコよりは優れているので選ばれたのでしょう。ちなみに、数の子もイクラもタラコも北海道産の食材。我が家では、数の子は、北海道産の無漂白の塩漬けを使います。
・【田作り】昔は干したイワシは田んぼの肥料でした。だから「田作り」。豊作を願う意味が込められています。その背景がわからないと、なぜ「田作り」などと呼ぶのか混乱してしまいます。これも勝手を云えば、京都は宮津の「田作り」が銀色に光り輝いていて美しい。

◇口取り
・【紅白の蒲鉾(かまぼこ)】紅白はおめでたい色。結婚式などでも用いられる彩り。蒲鉾は、地元の物もいろいろと試したのですが、やはり小田原。
・【伊達巻】「伊達(だて)」は華やか・派手・洗練という意味で、巻くは結ぶ。で、合わせて仲が良いことになるらしい。しかし、配偶者は伊達巻が好きだが、僕は好きではない。僕は伊達巻よりは普通の太巻きの方を好みますが、普通のは伊達巻ほどお正月向きではありません。
・【栗金団(くりきんとん)】金団(きんとん)は金色の豪華さ。北海道特産の「ゆり根」で作る金団もおいしいが、どちらにせよ、僕には甘すぎます。
・【昆布巻き】「よろこぶ」の「こぶ」から。昆布も利尻・羅臼など北海道の特産品。 昆布は普段から出汁とおでんとポン酢などに不可欠な食材。

◇酢の物
・【紅白膾(なます)】白い大根と赤い京ニンジンの紅白の膾(なます)はお祝いの水引をかたどったもの。紅白でおめでたい。北海道で手に入る京ニンジンは香川か岡山のもの。

◇焼き物
・【海老】腰が曲がった海老は長寿の象徴。長生きできるようにとの気持ちをこめた料理。

◇煮物(煮しめ)
・【里芋(さといも)】子芋がたくさん付くので、子宝祈願。余計なことですが、各種のイモ類(ジャガイモ、サツマイモ、長いもなど)のなかでは、普段でも里芋が一番の好みです。
・【蓮根(れんこん)】穴があいた蓮根には、先を見通せるようにとの意味がこめられているそうです。蓮根は、やはり、色白美人の徳島産。我が家では、煮物ではなく、酢蓮(すばす)。
・【慈姑(くわい)】慈姑(くわい)の大きな芽から「芽が出る」の意。芽が長く塊茎(かいけい;球形部分)の大きなものに限ります。
・【牛蒡(ごぼう)】牛蒡(ごぼう)は地にしっかりと根を張ります。普段からキンピラなどで好きな根菜ですが、お正月料理には不可欠な存在。ただし、我が家ではごぼうは煮物ではなく、たたきごぼう。

我が家のおせち料理は、最近は好きなものに絞っており、「田作り」、「数の子」、「黒豆」、「たたきごぼう」、「紅白なます」、「酢蓮(すばす)」と少量の「鯛の酢締め」。煮物は、「里芋」と「くわい」のみ。とくに「くわい」のほのかな苦さと食感がたまらない。それ以外は食べないので作りません。田作りは甘いねっとりとした味付けではなく、さらっとした仕上がりのピリカラ味。こうやって並べてみると、黒豆のような甘いのもありますが、酒の肴ばかりのような気もします。田作りがピリ辛味なのも日本酒との相性がいいからです。あとは、美味しい日本酒と「お雑煮」があれば、それで満足。こういう献立だと、お正月の間は、お節料理に飽きが来ません。

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2012年12月19日 (水)

ネット通販と紙の本

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札幌は昨日も大雪でした。街路樹や公園の樹の枝にも雪が降りかかりますが、葉はとっくに落ちているので、細い枝に雪が降り積もることはありません。だから、枝は折れないし、雪の重みで樹が倒壊することもない。秋に広葉樹が紅葉・黄葉しそれから葉を落として身を軽くするのは、雪の冬を生き延びる彼らの知恵です。

休日や暇ができた時に大きな書店の通路を本の表紙や背表紙を見ながら歩くのは悦楽のひとつです。思わぬ本との出会いがあるからです。しかし、時間がない時は、やはりネット通販。知らない本との邂逅の楽しみはありませんが、購入対象がわかっている場合には便利です。

最近は本のネット通販というとどうも電子書籍のようですが、僕にとっては、まだまだ、紙の本。買うことを決めているような新刊本や気になっていたロングセラーを購入するのにネット通販は具合がいい。しかし、それ以上に役に立つのが、ネット通販に付属している中古品売買機能で、とくに、すでに中古本でしか手に入らない種類の書籍の購入には不可欠です。ふと硝子戸を開けて入った古本屋の奥の方や人気のない二階で古本の匂いに包まれるという快楽はありませんが、廃刊の憂き目にあって中古本しか手に入らない書籍も、情報処理端末経由で、確実に買えるので重宝しています。

しかし、読み終わったらゴミ箱に直行するタイプの雑誌や旬の情報や特定の部分の情報を拾い読みすることだけが目的の本は、置き場所や処分方法を気にしなくていいので、電子書籍が便利だろうと思います。実際には商用の電子書籍を買ったことがないにもかかわらず、そういうふうに想像しています。

青空文庫という、著作権の切れた小説や随想がボランティア活動によって電子化された書籍群があります。古い作品を、旧漢字や旧仮名遣いで読みたい場合には、市販の文庫本などはそのほとんど全部が新字・新仮名表記になってしまっているので、青空文庫のお世話になることがあります。その内容を電子書籍風に読めるソフトウェアもあるので、電子化された小説などがそういうフォーマットに編集されている場合はその機能を利用しています。たとえば、中島敦の「山月記」。しかし、ゆっくりとページを繰る必要のある、あるいは同じ個所でしばらく立ち止まりたいような種類のものは、やはり紙の質感と重さと厚さがあった方がしっくりときます。「山月記」なども、それを含んだ活字の大きな旧仮名遣いの本を手元に置いておきたい。

かといって、本は本棚からあふれてくるので流通経路に気軽に乗るような内容の読み捨て新刊本は定期的に気軽に処分するようにしています。広葉樹のように年に一度くらいは、余分な葉を落とした方がすっきりします。そういう意味では、電子書籍は便利かもしれません。

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2012年12月18日 (火)

カット野菜と「姥(うば)捨て山年齢・症候群」

カット野菜の売れ行きが好調で、売上金額は年に450億円。これは小売りチャネル経由の野菜売り上げの2~3%分だそうです。これからの成長余地もある。(日本農業新聞)。

当節の人気野菜のキーワードは「あまくておいしい」「調理が簡単で食べやすい」なので、「調理が簡単に手軽に」と「ひとり分ないし二人分用の少量パッケージ」という別の簡便さを組み合わせるとスーパーやコンビニの野菜売り場でよく見かける「カット野菜」ができ上がります。デパ地下では、付加価値の高い惣菜サラダとの競合を避けるためでしょう、見かけたことがありません。(関連記事は『野菜と果物と魚と「つゆの素」』)

キャベツや大根やニンジンは皮を剥いたり切り刻んだりする手間が必要ですが、切り刻まれた根菜類や食べやすい大きさにそろえられた葉物野菜がひとり分ずつ袋付めされていると、製造工程で殺菌消毒をいっぱいされているのだろうな、その分元気がなくなっているかもしれないなということさえ気にしなければ、生(なま)の野菜を摂取したい消費者には便利な商品です。

売り場でよく目につく袋詰めのカット野菜を並べてみます。

・何種類かのレタスを組み合わせたグリーンサラダ
・キャベツとレタスとニンジンなどのミックスサラダ
・素人には不可能な、みごとな千切りキャベツ
・タマネギを中心にまとめたサラダ
・大根を中心にまとめたサラダ
・その他

同じ売り場でドレッシングも一緒に購入すると好みの味のサラダがすぐに食べられます。しかし、カット野菜だけでは、ダイエット中の人を別にすれば、量と種類がおそらく十分ではないので、カット野菜と似たような性格であるところの出来合い総菜も一緒にその人の食卓に並ぶであろうことが想像できます。これをもう一歩進めると、これは年齢やライフスタイルとも関係してきますが、出来合い惣菜ではなく、宅配の夕食弁当ということになります。

「姥(うば)捨て山年齢・症候群」というものを考えています。僕の勝手な造語です。

『(前略)ダンノハナという地名あり。その近傍にこれと相対して必ず蓮台野(れんだいの)という地あり。昔は六十を超えたる老人はすべてこの蓮台野へ追い遣(や)るの習(ならい)ありき。老人はいたづらに死んで了(しま)うこともならぬ故に、日中は里へ下り農作をして口を糊(ぬら)したり。(後略)』(柳田國男「遠野物語 <111>」)という話が遠野で伝承されてきたということは、それほど遠くない昔までは日本のどこかで実際に「姥捨て」が行われていたということなのでしょう。

僕の云う「姥捨て山年齢・症候群」は実年齢とは関係がありません。食の日常が、カット野菜や出来合いの総菜や宅配弁当に相当な程度で依存するような状態になることを、「姥捨て山年齢・症候群」と勝手に呼んでいます。

キャベツを一玉買っても食べ切れない、腐らせてしまうのももったいないので、切り刻まれたひとり分が袋詰めされているのを買って食べる方が合理的と考えるのが「姥捨て山年齢・症候群」の特徴のひとつ。それと反対なのが、その方が安いのでキャベツはまるごと購入、5日間で片づけるとして、今日はサラダ、明日は蒸しキャベツを楽しんで、明後日は煮物、その次の日は他の野菜と一緒に野菜炒め、それから焼きそばの具、一部は浅漬けにしておくと毎日おいしい漬物も食べられる。

後者のタイプは、実際の年齢が何歳であるにせよ、「姥捨て山年齢・症候群」からは遠く離れています。

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2012年12月17日 (月)

セロリの季節

セロリは我が家の好物で、我が家にはセロリを楽しむ季節が年に2回めぐってきます。8月・9月・10月は北海道(主に道南地方や札幌近郊)のセロリが旬の季節を迎え、そして、しばらくお休みがあった後、お正月を挟んで12月から3月までは愛知県(渥美半島)のセロリが旬の時期になります。つまり、セロリは涼しい夏の土地や暖かい冬の地域を好みます。北海道や愛知以外の地域でもセロリは栽培されており、というか、生産量は長野や静岡が圧倒的に多いのですが、我が家のセロリ消費は都道府県別の生産量とは相関が薄いようです。

好みは、濃い緑の、匂い立つような香りの露地物。好みの食べ方は、まず生のまま、つまり、サラダ。ドレッシングはセロリの味と香りを引き立てて食欲をそそるものであれば何でも大丈夫。葉も茎も柔らかいところもかたいところもほとんど全部食べ切ります。それから、チャーハン。セロリの葉のかたいところは家庭で作るチャーハンのいい具材になります。

黄緑色で香りの弱いものを、最近は野菜売り場で、よく見かけます。ハウスものに多いようです。香りの弱いセロリは、我が家では対象外。濃い緑に育った露地ものは、内側の柔らかい部分も外側の部分も、それぞれに甘い。黄緑色のものは、どうも苦い。

今月からまたセロリのサラダを楽しんでいます。

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2012年12月14日 (金)

味噌・漬物・ポン酢・ソースなど自家製保存食品を季節ごとに整理してみると・・

味噌や梅干しやタクアン、ポン酢やバジルソースやジャムは自分で作った方が断然おいしい。他のものと比べて客観的にそうかどうかはわからないが、たとえば手前味噌という言葉があるように、おいしいことになっています。素材から作るのは手間暇がかかるけれども、原料や塩・酢・味醂や麹などを自分で選ぶことができるので納得だし、作る作業とプロセスもそれなりに面白い。発酵した素材が熟成するのを待つ間の辛抱も楽しい。ということで、あまり無理をせずにできる範囲で自家製食材や自家製調味料を増やしてきました。

さて、以下にそれらを季節ごとにざっと並べてみます。浅漬けや日々の糠漬けの類、つまり、白菜の浅漬け、胡瓜(キュウリ)や茄子(ナス)やニンジンや大根の糠漬けなどの定常品目は、例外を除いては、ここには入れません。例外とは、いい素材とたまたま巡り合い、その意外なおいしさにちょっとはまった状態になっている赤カブの千枚漬けのことです。

赤カブの千枚漬けは、何度か作ってみた結果の感想ですが、「多めの昆布と唐辛子と塩と味醂(みりん)と酢」で浅漬けではなく、昆布を減らして「控えめの昆布と唐辛子と塩と味醂(みりん)と酢だけ」で浅漬けにしたものの方が、つまりは、昆布の味はしっかりともらうけれども滑り(ぬめり)は抑える方が僕の好みではあります。

◇新春、ないし冬の後半(1月から2月)
 ・味噌(仕込み)

◇春(3月から5月)
 ・味噌(追加の仕込み)

◇夏(6月から8月)
 ・梅干し
 ・梅酢(白と赤、梅干しの副産物)
 ・梅ジャム
 ・実山椒の塩漬け
 ・ラッキョウ漬け
 ・味噌(天地返し)
 ・バジルソース
 ・トマトソース

◇秋(9月から11月)
 ・ポン酢(すだち)
 ・柚子胡椒(ゆずこしょう)
 ・タクアン
 ・赤カブの千枚漬け

◇冬(12月から2月)
 ・柚子(ゆず)のマーマレード
 ・ポン酢(だいだい)

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2012年12月13日 (木)

今週から食べ始めた2年前の手前味噌

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今週から食べ始めた手前味噌は、味噌汁に使っていますが、2年近く前(2011年2月中旬)に仕込んだもの。2010年度の冬に仕込んだ二甕(かめ)分はこの10か月で使い切ってしまったので、これは同じ冬の三甕目。前の2つと違い、普通の白い大豆を7割に、「さといらず」という青大豆を3割の割合でブレンドしたものです。麹(こうじ)は米麹。(関連記事は『続・「今年の味噌は、米麹と麦麹で」』)。

名前の由来が「さといらず」、つまり「砂糖いらず」だそうなので、それが一緒になったこの味噌もほのかな甘さがひそんだ仕上がりになっています。味噌汁だけではもったいないので、この味噌をもっと別の仕方で味わう種類の料理を配偶者に頼むつもりです。昨晩はそのままを小皿にとって日本酒の肴にしてみましたが、スダチでも軽く絞ればもっと楽しめたかもしれません。

写真は味噌に使った2年前の「さといらず」。越後や越前の大豆で、群馬でも栽培されていますが、生産量は非常に少ない。

Photo

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2012年12月12日 (水)

穏やかな時間帯の札幌の雪、そうでないときの札幌の雪

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雪が降ると云います。そういうタイトルの歌もありますが、風のない時間帯の札幌の雪は降らずに、いつまでも空気中を漂っています。起きがけの少し明るくなりかけた早朝に外の様子を確かめた時に、雪片がふわふわとそのあたりをかすかな風に乗って上昇しながらいつまでも舞っているのを見るのは楽しい。

いつまでも空を漂っていたら雪は積もらないので、実際はゆっくりと地面や屋根や樹の枝に積もるのですが、穏やかな日の札幌の雪は降り積もるというよりは、いつのまにか地上に静かに舞い降(お)りるといった方がいい。

そういう雪は乾いているので、傘に降りても傘をパタパタとやると傘からさっと飛び去って行きます。傘が濡れることはありません。コートに降った雪もパタパタで簡単に落ちる。べたべたとした雪と違って、コートはほとんど濡れません。

雪の日は、傘を差さない。傘が要らない性質の雪が多いということ以外の理由もあります。地面が凍っていても地面をさらさら雪が覆っていると、それが滑らない作りの靴底へのさらにいい抵抗になって足はほとんど滑らないのですが、万が一に備えて、手袋をした両手は開けておいた方がいい。だから、傘を差さない。鞄の類も、A4版の書類などを持ち運ぶ場合は手で下げるタイプのバッグになりますが、そうでないときはできるだけ肩から斜め掛け(幼稚園掛けとも云いますが)にして、空(から)の両手を確保しておきます。

札幌で大雪が降るのはクリスマスから、というのが札幌に長く暮らす人から教えてもらった経験則。それがこの2年間は、大雪の開始時期が1か月近く前倒しになりました。

天気が穏やかでない時間帯の札幌の雪は、風と雪が、地上を走る雲のような大きな塊になってものすごい速度でぶつかってきます。視界は100メートル。その先は真っ白で信号も車も、そこにあるはずの建物も何も見えない。

一日のなかで穏やかと吹雪の両方を経験できるような日は、札幌ではそれほど珍しいわけではありません。非常に高い建物の最上階に近いあたりから北北西の方向にある石狩湾(日本海)を眺めていると、冬には、巨大な雪雲が海から急速に札幌に侵入してくるのを観察することができます。その濃い灰色の塊は眼下を走り抜け、その間は札幌は吹雪。その黒い雲が消えると、今度は穏やかなひらひら雪が舞い始めます。

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2012年12月11日 (火)

スイートコーンの準備

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僕たちはトウモロコシをおやつや野菜料理の一部として食べますが、僕たちが蒸したり茹でたりして楽しんでいるタイプのトウモロコシはスーパースイート系と呼ばれています。家畜の飼料用はデントコーン、映画館の売店などのポップコーンに使われているのがポップ種、生食や加工用がスイート種。スイート種はスイート系とスーパースイート系に分けられています。僕たちのおやつになるのはスーパースイート系、缶詰加工用がスイート系です。

スイートコーンの生産量が日本で一番多いのは北海道で、全国の生産量の約42%。スイートコーンの旬は7月から9月。札幌の大通公園の「とうきびワゴン」(「とうきび」とは漢字では唐黍と書き、トウモロコシのこと)は夏の風物詩です。

12月はスイートコーンの準備の時期です。準備といっても食べる用意ではなく、生産計画を練るという意味での準備。だから、12月の農業関係の新聞や雑誌を拝見すると、トウモロコシ生産農家を対象にしたスイートコーンの種(たね)の宣伝や紹介記事が目につきます。

スイートコーンは種を播(ま)いてからだいたい3か月で収穫できるので、播種(はんしゅ)後86日前後で収穫できる種類を86日型、88日で収穫できるのを88日型と呼んでいます。86とか88とかいう呼称を耳にすると、マイクロプロセサがPCなどに大量に使われ始め出したころの、某社の8086や8088といったマイクロプロセサの商品名を思い出します。

人気のスイートコーンの色は、鮮やかな黄色と真っ白なものと、黄色に白がまだらになったバイカラー (bi-color) の3種類。味の共通な売り文句は、最近の消費者の嗜好を反映して、「おいしい、甘い、フルーティ、ジューシー」。これに「やわらかい」が加わる品種もあります。

我が家では、配偶者の方がトウモロコシ好きで、夏はおやつ用によく買ってきます。今年の夏に、東京の知り合いに複数の種類のスイートコーンをそれなりの本数で差し上げたところ、近所でのおすそ分け人気が一番高かったのは、単に珍しいのが喜ばれたのか、真っ白な品種だったそうです。

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2012年12月10日 (月)

2年前と1年前と現在の使用電力量比較・・・我が家の場合

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郵便ポストに「電気ご使用量のお知らせ」が入っていました。毎月、北海道電力から届けられるものです。今回のお知らせは対象が2012年12月分、つまり11月6日から12月4日までの電気使用量(単位はkWh)です。

12月分の「お知らせ」を見ると「98円」の「再生エネ発電賦課金等」が「徴収」されています。1年前は同じ場所に「太陽光発電付加金」と印字されが「4円」が料金に上乗せされていました。用語が「付加金」から「賦課金」に変わっています。「付加」とは「付け加えること」ですが、「賦課」とは「租税などを割り当てて負担させること」(広辞苑)です。

この9月に2年間かかった一般電球からLED電球への移行が終了しました。2010年8月の「肝心な場所に使えない電球」、2011年6月の「1年後の『肝心な場所に使えない電球』」、それから2012年9月の「2年後の『肝心な場所に使えない電球』」、そして2012年10月の「続・2年後の『肝心な場所に使えない電球』」に書いたように、この2年間でLED電球の種類(一般電球・ボール型電球・ミニクリプトン型などの複数の形状、複数の明るさ、複数の色合いなど)が増え、LED電球の設置個所の制限(風呂のような密閉が必要な場所はダメ、台所の天井や洗面所の天井など断熱材施工器具を使ってある場所はダメなど)がこの2年で段々と少なくなり、まあ、家庭のたいていの場所にLED電球を導入できるようになりました。2年前は品揃えがひどかったし、1年前も制約が多くてあまり心地いい状況ではありませんでした。

現在は、使用時間の少ない蛍光灯はそのままですが、それ以外の照明はすべて電球色のLED電球に置き換えてあります。昼光色のラインアップは各社とも広い(あるいは長い)のですが、電球色は狭い(あるいは短い)。だから、電球色が好きな我が家にとっては、商品選択の幅が狭まりますが、そこは我慢。

電気やガスや上下水道などの公共料金の請求書(使用量のお知らせ)や領収書は配偶者が2年間分は保管してあるので、2012年の10月分・11月分・12月分の使用電力量と2011年の同一時期の使用電力量、および2010年の同じ時期のものを比べてみました(下のグラフ)。2010年の10月というのは、LED電球による最初の節電効果が出始めたころです。数字は、2010年の12月分の使用電力量を100としたときの、対象各月分の実際の使用電力量 (kWh) の相対値です。

2

大部分がLED電球による効果です。この2年間で15%から20%程度は使用電力量が削減できたようです。

ひとつの家庭の使用電力量というミクロの話と、電力消費や電力流通に対する考え方の変化というマクロの動きを合わせて考えてみると、泊原子力発電所をこのまま廃炉にしても、北海道の電力需給は大丈夫だと考えています。安定した電力供給や、北海道のこれからの経済発展を支えるための電力の追加供給に関しては、既存の火力発電所の稼働率を維持し、最新設備の火力発電所を、現在計画中のものも含め早期に新設することを軸とするような対応を期待しています。「再生エネ発電賦課金等」を利用した地熱発電量の増大なども、当然のことながら。

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2012年12月 7日 (金)

全国世論調査の対象は誰?

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誰を対象にしたのかわからないというのが、大きな新聞社などが実施する全国世論調査の特徴です。調査方式や、対象となった人たち(家庭)の数や有効回答数だけは公表されていますが、それ以外の詳細(性別や年齢、職業など)がとんと分からない。誰が答えたのかわからない調査は、せいぜい話半分か、話四分の一くらいの気持ちで内容を拝見します。

たとえば、『読売新聞「衆院選」第2回継続全国世論調査』の調査方法は、以下の通り。(『・・・』が引用部分。)

『調査日:2012年11月30日-12月2日 対象者:全国有権者
 方法:RDD追跡方式電話聴取法
 発信用電話番号(対象全域バンク4)4700件
 有権者在住世帯が確認できたもの  1808件
 各世帯で有権者1人を無作為に指定(乱数方式)
 有効回答 1071人(有権者世帯に対する回答率 59%)』

RDDとはRandom Digit Dialingの略で、ランダムに作り出した番号に電話をかけて質問を行い、結果を聴取する方法ですが、その対象母集団は、地域番号(03や06や011など)がついた一般加入電話の電話番号(たとえば、東京だと03-1234-5678など)で、090や080で始まる携帯電話、ないし050で始まるIP電話などは対象となっていません。つまり、昼間、固定電話のある家にいて電話での質問にゆっくりとお付き合いできる程度には時間に余裕のある人たちが「有効回答」者候補になります。すぐに想像できるのは、おじいさん、おばあさん、暇な主婦。この手の調査電話が我が家に、日曜の昼間にでも、かかってきたら面白いと思っているのですが、そういう幸運には出会えません。配偶者に確かめても記憶にないそうです。

上記の調査(読売新聞 調査日:2012年11月30日~12月2日 対象者は全国有権者で有効回答は1071人)から、最も重要そうな箇所だけを以下に引用します。

<引用の初め>

Q 今回の衆議院選挙の小選挙区選挙では、どの政党の候補者に投票しようと
  思いますか。次の中から、1つだけ選んで下さい。

答 1.民主党 (13)        6.共産党 (3)      11.新党日本 (--)
   2.自民党 (22)       7.みんなの党 (4)  12.新党改革 (0)
   3.日本未来の党 (4)   8.社民党 (1)      13.その他の政党 (0)
   4.公明党 (3)          9.新党大地 (0)   14.決めていない (32)
   5.日本維新の会 (12) 10.国民新党 (0)   15.答えない (5)

Q 今回の衆議院選挙の比例代表選挙では、どの政党に投票しようと
  思いますか。次の中から、1つだけ選んで下さい。

答 1.民主党 (13)        6.共産党 (3)     11.新党日本 (--)
   2.自民党 (19)        7.みんなの党 (5)  12.新党改革 (0)
   3.日本未来の党 (5)  8.社民党 (1)      13.その他の政党 (0)
   4.公明党 (4)          9.新党大地 (0)   14.決めていない (32)
   5.日本維新の会 (13) 10.国民新党 (0)    15.答えない (4)

<引用の終わり>

一方、どういう人たちが答えたのかがよくわかるものもあります。たとえば『Yahoo! みんなの政治 衆議院銀選挙2012』です。これは、調査というより『比例区でどの政党に投票するか決まっている?』かを尋ねる予備投票、模擬選挙ですが、以下のような結果が出ています。ここでは、投票者の年代・性別・職業・居住地域がわかります。なお、この模擬選挙の投票受付期間は2012年11月18日から11月28日までなので、「国民の生活が第一」は政党一覧に載っていますが、「日本未来の党」はありません。投票できるのはYaoo! JapanのIDを持っている人。10日間の投票総数は、15,785票。以下がその結果。画面をそのままお借りしました。

組織的な投票があったかどうかはわかりませんが、そういう票が集まってもおかしくない政党がここでは苦戦しているので、おそらく幅広い年代の個々人がそれぞれに自分の考えを述べたのだと思われます。

Yahoo_2012a

Yahoo_2012b_2

2つの結果は、相当に違っています。対象母集団が相当に違えば、結果も相当に違ってくる、ということです。当たり前ですが。

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2012年12月 6日 (木)

自炊女子と料理男子

自炊をする独身には、当然のことながら自炊系男子と自炊系女子がいます。週末の生協やスーパーマーケットなどでそういう雰囲気の人たちの買い物かごを拝見していると、野菜や肉などの素材系食材で買い物かごをいっぱいにしているのは男子、加工食品とお菓子を中心に詰め込んでいるのは女子というのが、割合に目につくパターンです。

従って、自炊系男子の数は自炊系女子よりも少ないかもしれないが(まじめに数えたことがないので本当はどちらが多いかわからない)、自炊をする男子の方が自炊系女子よりも、どうも真剣に素材から取り組むらしい、という仮説が立てられます。もっとも、この仮説は立てっぱなしで、おそらくまじめに検証することはありません。しかし、まじめには検証しないのだけれど、それがとんでもなく実態からずれてはいないかどうかをなんとなく確かめることはできます。

僕が定期的に出入りできる場所で、若い独身男女の多い職場のひとつは、美容室です。僕風に言えば散髪屋さんですが、配偶者と一緒に利用する散髪屋なので、女性客が多く、つまりは美容室です。そこにはスタイリストと呼ばれる技術のでき上がった複数の男女と、スタイリストの数の倍以上の見習い段階の男女が遅い時間まで働いており、彼らの何人かと言葉を交わせば、自炊系男子と自炊系女子に関する仮説のためのサンプル調査は可能です。

このお店で働く独身女性には、北海道らしく、実家が農業や漁業を営む家庭の出身の人も多く、小さい時から魚介類や野菜に接する機会に恵まれていたそうなので、「自炊系女子 = 加工食品」というわけではありませんでした。遅い時間からとりかかる晩ごはんも、疲れ果てているときはバタンキューですが、そうでないときは簡単にちゃっちゃっと素材から始めているようです。

彼女らの一人が、自炊系女子にとって役に立つ雑誌を教えてくれました。少し前に見つけた月刊誌だそうです。面白そうなので早速本屋で購入。定価は500円。大きさは縦のA4版。

表紙に並ぶ文字は、「残業で遅くなったって自炊。・・・」「見れば作れる!読まずに作れる!写真図解式レシピ」「外食の誘惑振り切って家で作る遅ごはん。節約もできてしかも『うまっ』・・・」「忙しいみんなに捧ぐ(めんどうくさくない!)おかえり 残業ごはん」。それから、そばに小さな活字で「自炊女子も、料理男子も」とある。「自炊女子、料理男子」というのは、自分で作るご飯に対する男女の姿勢の差を見事にまとめた表現ではあります。

全体に目を通しました。感心したところは次の3点。

(1) ご飯のおかずは、ほとんどが肉(牛肉・豚肉・鶏肉)やハム・ベーコン、魚や卵といった動物性タンパクと野菜の組み合わせ料理になっている。麺類で、まとめて済ませてしまいたい人には、冷凍うどんと春雨を使ったメニューが豊富。味付けは若い人に抵抗のない今風が目立つが、大人の味をひそかに教え込んでておくかという編集者の親心も散らばっている。冷凍うどんとアボカドと海苔の佃煮とわさびで作る「のりアボのっけうどん」や酒のつまみ類のいくつかには渋さも感じられる。

(2) 調理の工程は2枚から4枚の写真と、写真ごとの非常に簡単な説明がすべて。見よう見まねでやれば、何とかなる。

(3) 後ろの方に、肉や野菜の「下ごしらえの基本」や「切り方(千切り・みじん切り・乱切り・半月切りなど)の基本」が一覧でまとめられていて、当然難しいのは対象外なので、初めて庖丁を持つ女子・男子にも便利である。

調理時間だけでなく、準備と料理とあと片づけを合わせた所要時間は、自分の成果物をお酒と一緒に味わう時間を除いて、だいたい30分だと思われます。だから、全体では1時間。

ところで、下の2台は、ご飯とおかずが一緒にでき上がる炊飯器。忙しい自炊女子や料理男子には左の四角いのが便利かも。

□□□

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2012年12月 5日 (水)

「お里が知れる」の事例研究

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最近では一般には使用頻度の低い言葉のひとつが「お里が知れる」です。辞書的な意味は「言葉つきや動作によって、その人の素性や育ちが分る」(広辞苑)ということですが、僕はもっと広い意味で、つまりその対象を組織まで拡大して使っています。ただし、当該対象に関する僕の評価を他の人に伝える目的では、この言葉は通常は使わない。声にも出しませんが、頭の中でその言葉が響くときにはその響きが止むまでそのままにしておきます。しかし、今回は僕のこの感覚を他の方に伝えたいと思うので、この言葉を使うことにします。

お里が最もよく知れるのは、その人やその組織の余裕が瞬間的に消え去った反射的な反応の中においてです。反射的に発する言葉。反射的に出てくる攻撃的な発言。状況が自分に急に不利になった場面での、抑えが利かない牽強付会。そういうときに、お里が露呈します。

以下は、ある新聞(産経新聞ですが・・)のいくつかの記事を題材にした「お里が知れる」の事例研究です。僕が住んでいる札幌からそれほど離れていない場所(登別・室蘭)で起こった大規模な停電被害(送電事故)の客観的な事実報道が、段々と政治的なプロパガンダ記事へとエスカレートしていって、お里が知れてしまいました。(なお、下線は「高いお米、安いご飯」、それから記事中の個人名は、□□□□で置き換えてあります。)

(1) 最初の記事(産経新聞 2012年11月28 日)

『2万戸、停電のまま一夜 冷え込む北海道登別』

 『北海道登別市などの停電被害は28日朝、前日の最大約5万6千戸から約2万1千戸となった。気象庁によると、登別市の同日の最低気温は氷点下5・7度と今季一番の冷え込み。北海道電力が復旧を急いでいる。
 道によると、暖房が使えない住民のため同市など7市町に設置された避難所では約290人が一夜を過ごした。
 北電によると、27日午前、低気圧にともなう猛吹雪の影響で登別市の鉄塔が倒壊し、室蘭市でも送電線が断線し、停電となった。

(2) 2番目の記事(産経新聞 2012年11月28日)

『登別で4万2千戸なお停電「昨夜はろうそくの火で…」』

 『北海道登別市などの停電被害は28日午前11時現在、約4万2千戸となった。前日の最大約5万6千戸から28日朝にかけて約1万1千戸まで減少したが、雪の影響で電線がショートしたため再び増えた。
 停電の中、家族3人と自宅で一夜を過ごした登別市の薬店経営、□□□□さん(47)は「昨夜はろうそくの火を付け、石油ストーブで寒さをしのいだ。明かりがなく11歳の息子が不安そうだった」と話した。
 登別市の温泉街にある旅館「第一滝本館」では停電と断水が続いている。□□□□総支配人(55)は「いつから客を受け入れるのか決められない」と不安そうだった。
 北電によると、27日午前、低気圧にともなう猛吹雪の影響で登別市の鉄塔が倒壊、室蘭市でも送電線が断線し、停電となった。』

ここまでは、猛吹雪で送電用鉄塔が倒壊して送電線が断線し、登別と室蘭で大規模停電になったという報道です。しかし、以下の記事から急に、原子力発電が不可欠という主張が、事実報道と乖離した形で登場しました。一部は、署名記事になっています。送電線事故と発電方法は関係ありません。原子力発電でも火力発電・水力発電でも太陽光発電・風力発電でも、発電された電気は同じ送電線で送られます。

(3) 3番目の記事(一部が署名記事) (産経新聞 2012年11月29日)

原発なければ冬乗り切れぬ…暗闇の登別 北海道大規模停電ルポ』

 『暴風雪の影響で北海道登別市などの大規模停電被害は29日も続いた。北海道を代表する観光地、登別の温泉街はひっそりと静まりかえり、夜のとばりが降りると信号も消えた街を暗闇が覆った。衆院選を戦う各党に「脱原発」の動きが目立つ中、ひとたび大規模停電に陥れば市民生活が脅かされる現実を見せつけている。(大竹直樹)
 「街は死んだような状態だ。町中真っ暗で電話もタクシー無線も通じない。商売あがったりだ」。JR登別駅前で客待ちをしていたタクシー運転手の□□□□さん(65)が嘆く。
 夜、小雪が舞う登別温泉街に着くと、観光客の姿はなく、凍てつく強風が土産物店のシャッターを揺らしていた。
 営業休止となった老舗旅館「第一滝本館」の□□□□総支配人(55)は「電気がなければ暖房も使えず、館内放送さえできない。宿泊客の連絡先もパソコンの中で、連絡を取るのも一苦労だ。山奥でラジオも入らず、情報も不足している」と話す。登別観光協会によると、営業休止による被害総額は4億円を超えるという。
 避難所となっている同市の施設では、急遽設置された非常用発電機が轟音を立てていた。28日夜には氷点下5・7度の厳しい冷え込みの中、242人が不安な一夜を過ごした。寝付かれずロビーにいた漁師の□□□□さん(62)は「自宅にいたが、寒くて耐えられなかった。電気のある生活に慣れていたが、今回ほど電気の必要性を実感したことはない」。』

新聞社や記者の一定の方向を向いた主張が目立つようになり、今までにはなかったタイプの市民コメントもさらっと挿入されています。繰り返しになりますが、送電用鉄塔の倒壊や送電線事故と発電方法は関係ありません。原子力発電でも火力発電・水力発電でも太陽光発電・風力発電でも、発電された電気は同じ送電線で送られます。

(4) 4番目の記事(署名記事)(産経新聞 2012年12月4日)

『衆院選 どうなる電気の行方 原発でもいい北海道、酷寒で停電の危機

(・・・前略・・・)

 ◆原発でもいい…

 北海道唯一の泊原発に全体の4割の電力を頼ってきた道内の電力不足は深刻だ。先月末には登別市や室蘭市などで一時5万戸以上に及ぶ大規模停電が襲った。暴風雪による鉄塔の倒壊が原因だったが、電力不足の先にある「危機」の姿が現実味を帯びた。

 「車のヘッドライトを店内に向けて、懐中電灯と携帯電話のライトを頼りに営業を続けた」。最大約3万戸が停電した室蘭市のコンビニエンスストアの店長、□□□□さん(41)は電気のない生活がいかに不便か痛感したという。店には長蛇の列ができ、おにぎりや弁当、電池はすぐに売り切れた。

 タクシー運転手、□□□□さん(64)は「電気のありがたさ、東日本大震災の被災者のつらさが分かった。原発でもいいから動かしてくれと思った」と話す

 停電が4日間も続いた登別市内はもっと深刻だ。

 温泉街の公民館に避難していた□□□□(さちこ)さん(75)は「これほどつらいとは…」。登別厚生年金病院の□□□□庶務課長(46)は「発電機がいつオーバーヒートするか不安でならなかった」と話した。

(・・・中略・・・)

 エネルギー自給率がわずか4%のわが国が原発を捨て去った後、脆弱(ぜいじゃく)なエネルギー構造しか残っていない状況に陥ることだけは避けなければならない

(・・・後略・・・)(大竹直樹)

以上、「お里が知れる」ことの簡単な事例研究でした。

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2012年12月 4日 (火)

オール電化住宅は料理に便利?

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ガスがないと料理ができないという考えなので、我が家では引っ越しなどで住居を何度も変えたことがありますが、住むのは常に納得のいくガス調理設備や調理器具のあるところです。暖房設備も、今は札幌なので、天然ガスを利用したものです。

電力会社のビジネス戦略に家電メーカーが相乗りしたのが、IHクッキングヒーターなどをビルトインしたオール電化住宅だと思います。ガス配管は、電線を引き回した上での追加設備なので住居コストが高くなる。だから、住居建設会社・販売会社もオール電化住宅を好んだのでしょう。しかし、最近は、ある種の反省からか、ガスと電気を併用した家庭向け・マンション向けのコジェネレーション・システムも採用されています。

専門技術を使って働く知り合いの女性が、別の分野で働く男性と結婚しました。その女性はあまり料理が得意な方ではありません。一方、男性は料理が好きで得意だそうです。どういう経緯があったのかは聞いていませんが、おそらくは住居の立地や居室の雰囲気や備え付けのIHクッキングヒーターなどが良かったのでしょう、女性の意見が通ってオール電化の新築賃貸マンションを新居に選びました。

結婚から7か月ほどたったころ、つまり結構寒くなりはじめたころ、その女性と話す機会がありました。配偶者が実際に使ってみて使い勝手の良い調理道具を結婚祝いにプレゼントしたこともあって、話はまず料理に向かいます。その女性の料理の仕方がこの7か月でどれほど進歩したかはさておき、料理の得意なご主人が頻繁にこぼすそうです。「ガスじゃないので料理がやりづらい」。それから暖房はエアコンだけなので、11月以降は寒くて仕方がない。「電気ストーブを買うことになりそうです。」(【註】その賃貸マンションでは石油ストーブは禁止されている。)

「間違えたと思って、ガスのあるところに引っ越したら」と我々は気軽に引っ越しを勧めています。さて、どうなるか。

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2012年12月 3日 (月)

相当に明快と、相当に曖昧

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判断の座標軸をいちおう整理しておくと・・」の関連記事です。

各政党から「政策綱領」や「選挙公約」が発表されています。ここでは、2つの政党の「原子力発電」に関する考え方を、政党名を出さずに、簡単に比べてみたいと思います。ひとつは考え方や方向や選挙民への伝達の仕方が相当に明快であり、もう一つの方(ほう)は、それらが相当に曖昧です。

相当に明快な方(ほう)は、その党の政策綱領をPDFで配布しており、個人用の情報閲覧機器を持つたいていの人たちは自分でその内容を確認できます。

相当に曖昧な方(ほう)は、その公約や補足資料を紙でメディアには配布したらしいのですが、われわれにはその全文が手に入りません。メディアが親切にその内容を要約してくれたものと、メディアが重要と判断した箇所をカギ括弧(「・・・」)で引用した記事があり、内容の要約はそのメディアの解釈を通したものになっている気配なので、ここでは複数のメディアの引用部分のうち共通なところも合わせて対象としました。

まず相当に明快な方から。政策綱領のなかから該当箇所の一部をそのまま引用(『・・・』部分)します。

『卒原発 原発稼働ゼロから全原発廃炉の道筋を創ります。

安全や雇用・経済対策など「原発稼働ゼロ」の現実で直面する課題に責任ある対応をし、全ての原発が確実に廃炉となる「卒原発」への道のりを定めます。原発に代わって再生可能エネルギーを普及させるエネルギーの大転換で、地域産業を育成し雇用を拡大させます。昨年に脱原発を決めたドイツでは、すでに5 兆円規模の産業と38万人の雇用が生まれ、地域が活性化しています。

● 東京電力は破綻処理し、国が直轄して福島第一原発からの放射能汚染の拡大を防ぎ、責任をもって損害賠償や被ばく安全に対応する。
● もんじゅと六ヶ所再処理工場の廃止、世界最高水準の安全規制、大間原発など新増設の禁止、使用済み核燃料の総量規制からなる「卒原発プログラム」を定める。
● 原発稼働ゼロに伴う雇用・経済対策などを実施し、国民生活や経済の混乱を避けつつ、全原発の廃炉への道のりを定める。
● 発送電分離など電力システム改革を貫徹して公正な競争を促し、地域分散ネットワーク型のエネルギー地域主権を実現する。
● 大胆な省エネルギーと再生可能エネルギーの飛躍的な普及を実現して、石油・石炭への依存度を減らし、地域の雇用拡大と経済の活性化を図る。』

綱領にはスケジュールへの言及がありませんが、目標や目的が明快・明確なので「卒原発プログラム」が納得のできる時間軸上に展開されると好意的に考えます(討論会などでは『10年後までの原発からの卒業をめざす』、公約では、『原発の稼働をゼロとし、遅くとも10年以内に、すべての原発が確実に廃炉となる「卒原発」への道筋を作る』など)。ただ、「石油・石炭への依存度を減らし」とあるのには違和感があり、なぜなら、石油・石炭・天然ガスなどの化石燃料への依存度は、一定期間は維持というより増加させないと「卒原発」ができないというのが僕の考えですが、その考え方の差については、地球温暖化についての見方の違いからきていると思うので、ここではとくには気にしません。

次に、相当に曖昧な方です。

ある大メディアに、その党の公約で原子力発電に関連した部分の要約(『・・・』部分)が掲載されていました(毎日新聞)。

『エネルギー供給体制を賢く強くする
 <基本方針>
・先進国をリードする脱原発依存体制の構築
・原発政策のメカニズム・ルールを変える=ルールの厳格化
(1)安全基準
(2)安全基準適合性のチェック体制
(3)使用済み核燃料
(4)電力供給責任・賠償責任
・電力市場の自由化
・発送電分離
・最小のエネルギーで最大のパフォーマンスを上げる最先端モデルの国へ』

これだけでは意思や目標がよく見えない。つまり『先進国をリードする脱原発依存体制の構築』とはいくつかの原発がいつまでも稼働し続けてている状態を含んでそうなのか、それともそうでないのかよくわからない。だから、複数のメディア(たとえば、産経新聞)がそれを補足する形で、「政策実例には『既設の原子炉による原子力発電は2030年代までにフェードアウト(徐々に削減)する』と明記した」と報道したのでしょう。『(徐々に削減)』という日本語の説明がもともとあったものなのか、メディアの親切な付加解説なのかはわからないにしても、『既設の原子炉による原子力発電は2030年代までにフェードアウトする』という文言が実際に配布された政策実例に明記されていたのは確かなようです。

『既設の原子炉による原子力発電は2030年代までにフェードアウトする』という一文には曖昧な言葉遣いが二箇所あります。ひとつは『原子力発電は・・』、それから、もう一つは『フェードアウトする』。

僕は、日本語の「・・・は」というのが好きで、たとえば、「象は鼻が長い」「僕はウナギだ」「コンニャクは太らない」というような表現は、かつてパリで日本語を教えていた日本人哲学者はどういう風に感じられるかわかりませんが、僕にとっては明快でわかりやすい。しかし、選挙公約のような文書では「既設の原子炉による原子力発電は2030年代までにフェードアウトする」という表現は不親切で、もし意思を明快に選挙民に伝えたいのなら「既設の原子炉による原子力発電を、2030年代までにフェードアウトする」と、「フェードアウト」という不思議な言葉についてはすぐあとで問題にするとして、政策行為主体をもっとはっきりとさせた方がいい。

「フェードアウト」です。なぜここで「フェードアウト」というカタカナ用語をわざわざ選んだのか。『フェードアウト (fade out) 』とは、映画の画面が徐々にぼんやりと暗くなって観客の目から消えてしまうような表現方法です。念のために手元の英和辞典からその意味をお借りすると「(映・放送)音[映像]が[を]次第にぼんやりする[させる]、溶暗する」とあります。似たような英語表現に「フェーズアウト (phase out) 」というのがあり、これは「段階的に取り除く、徐々に撤去・廃止・削減する」という意味です。原子力発電所や使用済み核廃棄物の廃止・廃棄処理には、無理にカタカナ表現を使うにしても「フェーズアウト」の方がまだ似つかわしい。しかし、当然のことながら、もっともわかりやすいのは「既設の原子炉による原子力発電を、2030年代までに、段階的に廃止する」です。

といった感じで、私的な視座(「原子力発電と火力発電や代替エネルギー」、「TPPとグローバリゼーション」、「税金と米国債という定期性預金」、「日米安保条約と日米地位協定」の4つ)をもとに、各政党の考え方や意思の堅さの具合と揺らぎの様子を眺めています。揺らぎに関して言えば、それが一定方向に収斂していくプロセスで生じる制御された揺らぎなのか、それとも、定見のなさが引き起こすバタバタした揺らぎなのか。

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