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2012年12月 5日 (水)

「お里が知れる」の事例研究

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最近では一般には使用頻度の低い言葉のひとつが「お里が知れる」です。辞書的な意味は「言葉つきや動作によって、その人の素性や育ちが分る」(広辞苑)ということですが、僕はもっと広い意味で、つまりその対象を組織まで拡大して使っています。ただし、当該対象に関する僕の評価を他の人に伝える目的では、この言葉は通常は使わない。声にも出しませんが、頭の中でその言葉が響くときにはその響きが止むまでそのままにしておきます。しかし、今回は僕のこの感覚を他の方に伝えたいと思うので、この言葉を使うことにします。

お里が最もよく知れるのは、その人やその組織の余裕が瞬間的に消え去った反射的な反応の中においてです。反射的に発する言葉。反射的に出てくる攻撃的な発言。状況が自分に急に不利になった場面での、抑えが利かない牽強付会。そういうときに、お里が露呈します。

以下は、ある新聞(産経新聞ですが・・)のいくつかの記事を題材にした「お里が知れる」の事例研究です。僕が住んでいる札幌からそれほど離れていない場所(登別・室蘭)で起こった大規模な停電被害(送電事故)の客観的な事実報道が、段々と政治的なプロパガンダ記事へとエスカレートしていって、お里が知れてしまいました。(なお、下線は「高いお米、安いご飯」、それから記事中の個人名は、□□□□で置き換えてあります。)

(1) 最初の記事(産経新聞 2012年11月28 日)

『2万戸、停電のまま一夜 冷え込む北海道登別』

 『北海道登別市などの停電被害は28日朝、前日の最大約5万6千戸から約2万1千戸となった。気象庁によると、登別市の同日の最低気温は氷点下5・7度と今季一番の冷え込み。北海道電力が復旧を急いでいる。
 道によると、暖房が使えない住民のため同市など7市町に設置された避難所では約290人が一夜を過ごした。
 北電によると、27日午前、低気圧にともなう猛吹雪の影響で登別市の鉄塔が倒壊し、室蘭市でも送電線が断線し、停電となった。

(2) 2番目の記事(産経新聞 2012年11月28日)

『登別で4万2千戸なお停電「昨夜はろうそくの火で…」』

 『北海道登別市などの停電被害は28日午前11時現在、約4万2千戸となった。前日の最大約5万6千戸から28日朝にかけて約1万1千戸まで減少したが、雪の影響で電線がショートしたため再び増えた。
 停電の中、家族3人と自宅で一夜を過ごした登別市の薬店経営、□□□□さん(47)は「昨夜はろうそくの火を付け、石油ストーブで寒さをしのいだ。明かりがなく11歳の息子が不安そうだった」と話した。
 登別市の温泉街にある旅館「第一滝本館」では停電と断水が続いている。□□□□総支配人(55)は「いつから客を受け入れるのか決められない」と不安そうだった。
 北電によると、27日午前、低気圧にともなう猛吹雪の影響で登別市の鉄塔が倒壊、室蘭市でも送電線が断線し、停電となった。』

ここまでは、猛吹雪で送電用鉄塔が倒壊して送電線が断線し、登別と室蘭で大規模停電になったという報道です。しかし、以下の記事から急に、原子力発電が不可欠という主張が、事実報道と乖離した形で登場しました。一部は、署名記事になっています。送電線事故と発電方法は関係ありません。原子力発電でも火力発電・水力発電でも太陽光発電・風力発電でも、発電された電気は同じ送電線で送られます。

(3) 3番目の記事(一部が署名記事) (産経新聞 2012年11月29日)

原発なければ冬乗り切れぬ…暗闇の登別 北海道大規模停電ルポ』

 『暴風雪の影響で北海道登別市などの大規模停電被害は29日も続いた。北海道を代表する観光地、登別の温泉街はひっそりと静まりかえり、夜のとばりが降りると信号も消えた街を暗闇が覆った。衆院選を戦う各党に「脱原発」の動きが目立つ中、ひとたび大規模停電に陥れば市民生活が脅かされる現実を見せつけている。(大竹直樹)
 「街は死んだような状態だ。町中真っ暗で電話もタクシー無線も通じない。商売あがったりだ」。JR登別駅前で客待ちをしていたタクシー運転手の□□□□さん(65)が嘆く。
 夜、小雪が舞う登別温泉街に着くと、観光客の姿はなく、凍てつく強風が土産物店のシャッターを揺らしていた。
 営業休止となった老舗旅館「第一滝本館」の□□□□総支配人(55)は「電気がなければ暖房も使えず、館内放送さえできない。宿泊客の連絡先もパソコンの中で、連絡を取るのも一苦労だ。山奥でラジオも入らず、情報も不足している」と話す。登別観光協会によると、営業休止による被害総額は4億円を超えるという。
 避難所となっている同市の施設では、急遽設置された非常用発電機が轟音を立てていた。28日夜には氷点下5・7度の厳しい冷え込みの中、242人が不安な一夜を過ごした。寝付かれずロビーにいた漁師の□□□□さん(62)は「自宅にいたが、寒くて耐えられなかった。電気のある生活に慣れていたが、今回ほど電気の必要性を実感したことはない」。』

新聞社や記者の一定の方向を向いた主張が目立つようになり、今までにはなかったタイプの市民コメントもさらっと挿入されています。繰り返しになりますが、送電用鉄塔の倒壊や送電線事故と発電方法は関係ありません。原子力発電でも火力発電・水力発電でも太陽光発電・風力発電でも、発電された電気は同じ送電線で送られます。

(4) 4番目の記事(署名記事)(産経新聞 2012年12月4日)

『衆院選 どうなる電気の行方 原発でもいい北海道、酷寒で停電の危機

(・・・前略・・・)

 ◆原発でもいい…

 北海道唯一の泊原発に全体の4割の電力を頼ってきた道内の電力不足は深刻だ。先月末には登別市や室蘭市などで一時5万戸以上に及ぶ大規模停電が襲った。暴風雪による鉄塔の倒壊が原因だったが、電力不足の先にある「危機」の姿が現実味を帯びた。

 「車のヘッドライトを店内に向けて、懐中電灯と携帯電話のライトを頼りに営業を続けた」。最大約3万戸が停電した室蘭市のコンビニエンスストアの店長、□□□□さん(41)は電気のない生活がいかに不便か痛感したという。店には長蛇の列ができ、おにぎりや弁当、電池はすぐに売り切れた。

 タクシー運転手、□□□□さん(64)は「電気のありがたさ、東日本大震災の被災者のつらさが分かった。原発でもいいから動かしてくれと思った」と話す

 停電が4日間も続いた登別市内はもっと深刻だ。

 温泉街の公民館に避難していた□□□□(さちこ)さん(75)は「これほどつらいとは…」。登別厚生年金病院の□□□□庶務課長(46)は「発電機がいつオーバーヒートするか不安でならなかった」と話した。

(・・・中略・・・)

 エネルギー自給率がわずか4%のわが国が原発を捨て去った後、脆弱(ぜいじゃく)なエネルギー構造しか残っていない状況に陥ることだけは避けなければならない

(・・・後略・・・)(大竹直樹)

以上、「お里が知れる」ことの簡単な事例研究でした。

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