« 2013年の春の七草粥(かゆ) | トップページ | 気になる本を本棚から取り出して(「自由からの逃走」) »

2013年1月 9日 (水)

慈姑(くわい)を焼いて食べる

「土を喰う日々」という精進料理についての文庫本が本棚にあります。著者は作家の「水上勉」で、副題は「―わが精進十二か月―」。配偶者が以前に買ったもので、発行は平成五年の第八刷。最初の章である「一月の章」に、「くわい」を焼いて食べる話が出てくるので、その一部を引用します(引用部分は『・・・』)。

『くわいを焼くのは、この頃(引用者註:禅宗寺院の小僧さんの頃)からのぼくのレパートリーだった。(・・略・・)一般には煮ころがしか、あるいは炊き合わせにしかされないこれを、ぼくは、よく洗って、七輪にもち焼き網をおいて焼いたのだった。まるごと焼くのだ。・・・ぷーんとくわい独特のにがみのある匂いが、ぷしゅっと筋が入った亀裂から、湯気とともにただようまで、気ながに焼くのだ。(・・後略・・)』

全部の「くわい」をおせち料理の煮物にするだけではつまらない。で、2年前の正月にこの本のマネをして「焼きくわい」を試してみました。1年前はうっかりとこの楽しみを実行するのを忘れてしまい悔しい思いをしたので、今年の正月はそういうことのないように用心していました。

さすがに「七輪」と「もち焼き網」というわけにはいかないので、サツマイモやパイを焼くのと同じような要領で、つまりクッキングシートに「くわい」をのせてオーブンで丸ごとゆっくりと焼き上げ、焼き上がったらあつあつを縦に半分に切ります。あつあつのお尻の部分だけわずかに皮を剥き(焼けた皮も芽もおいしいのでそのまま残す)、中の淡い黄色になったほかほかの実に塩をつけてかじると、実のほのかな苦みと甘さと、そして焼けた皮の香ばしい渋さが口中に広がります。塩味の効いた焼き栗(くり)に近い風味と風情です。「くわい」はこの時期以外は手に入らないので、年に一度のちょっと贅沢な食の遊び。

_b
                    <焼く前の「くわい」(慈姑)4個>

□□

人気ブログランキングへ

|

« 2013年の春の七草粥(かゆ) | トップページ | 気になる本を本棚から取り出して(「自由からの逃走」) »

季節と時節」カテゴリの記事

野菜と果物」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1317632/48518116

この記事へのトラックバック一覧です: 慈姑(くわい)を焼いて食べる:

« 2013年の春の七草粥(かゆ) | トップページ | 気になる本を本棚から取り出して(「自由からの逃走」) »