手前味噌の寒仕込み
寒い季節に味噌を仕込むことを寒仕込みと云いますが、札幌では今がその季節です。先週末から月曜日にかけて手前味噌の仕込みを完了しました。
我が家の大豆使用量は5㎏で、作業は一度には無理なので、2㎏、2㎏、1㎏といった具合に3日間に分けて全体を実施します。この前の土曜と日曜に2㎏ずつ片づけ、こういうのは一気にやったほうがいいので、残りの1kgは月曜の夜遅くまでがんばって仕込み終えました。
大豆は国産(青森<北津軽>と北海道の産)で普通の白い大豆が3㎏、黒大豆が2㎏。麹(こうじ)は米麹(白米麹)を3㎏と玄米麹を2㎏、塩を2.5㎏用意しました。塩は、伝統的な製法でミネラル分が豊富な自然塩を使います。我が家の大豆と麹と塩の重量配分は、大豆が1㎏、麹が1㎏、そして塩が450gです。大豆と麹の組み合わせを変えてみると味の差を楽しめるので、今年は「白い大豆と玄米麹」、「黒大豆と米麹」、そして「白い大豆と米麹」にします。
去年までは、茹でて柔らかくした大豆をすりつぶすのは手作業で、その道具はマッシュポテトなどを作る時のマッシャー(すりつぶし器)でしたが、大豆相手の長時間作業だと手首を痛めるので、今年から電動ミンサーという文明の利器を導入しました。さすがに便利です。このミンサーは我が家では味噌作りにしか使わない単能器具ですが、味噌を作り続ける間は使うので年に一度の長い付き合いになると思います。
使用する甕(かめ)は5.4リットル容量の物を5個。あまり大きな甕を使うとあとで持ち運んだりするときにつらいので、比較的小ぶりなサイズの物を選びます。
味噌玉をつくって甕に投げ入れるときは共同作業が望ましい。なぜなら、甕に均等に味噌玉を投げ入れようとすると、単独作業だと、まん中上、外角高め、外角まん中、外角低め、真ん中低め、内角低め・・・という具合にコントロールよく投げ分ける必要がありますが、これがなかなかにむつかしい。ひとりが甕を少しずつ回転させて、投げ手は常に真ん中高めを狙って投げるとわりに簡単だし、二人がともに野球好きだと楽しい作業になります。我が家の場合は甕を回転させる係りが僕で、ピッチャーは配偶者です。
仕込みが完了すれば甕の蓋に大豆の種類、麹の種類、仕込み日付、それから天地返しの日付記入欄(空白)を用意した少し大きめのポストイットを貼っておきます。
その他の必需品は、これは常にストックしてあるのですが、アルコール分44%の麦焼酎。もっぱら、甕などの雑菌消毒用です。普段は飲まない。
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蛇足ですが、我が家の作業手順。
①夜中から翌日の遅い午後まで、15時間ほど大豆を鍋の水に浸しておく。
②2時間くらいは、やわらかくなるまでゆっくりと大豆をゆでる。
③ゆでる時間を利用して、麹の塩切りをする。要は麹と塩を混ぜ合わせることだが、なぜかこう呼ばれている。酢飯は飯切りのなかで切るように混ぜるが、そういう「切る」ではない。しかし、慣習的に塩切りという。調べてみると、生(なま)麹に塩を混ぜることで発熱を抑え保存期間を長くするという方法がもともとの「麹の塩切り」の意味らしい。とすると、現在の習慣はその変形なので納得できる。
④ゆでた大豆をミンサーで挽(ひ)く、あるいは、すりつぶす。
⑤すりつぶした大豆が適度な熱さになったら、その大豆と塩切り麹を混ぜる(適度な熱さとはだいたい50℃くらい。熱すぎると麹菌が死んでしまう。甘酒を作るときは麹菌の活躍温度を60℃に維持するのでそのあたりまでは大丈夫。70℃だとヤバい。)。
⑥混ぜ合わせたのを味噌玉にして甕に投げ入れ、全体を整えて重石をし、蓋を閉めて、眠りにつかせる。味噌玉にして投げ入れるのは中に空気が入らないようにするため。中に空気が入らないようにするのは、カビの発生を抑えるため。
⑦延べの必要時間は1ロット(大豆2㎏)につき19時間くらい。
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