« 2013年2月 | トップページ | 2013年4月 »

2013年3月

2013年3月29日 (金)

どろぼう漬けと、酒盗(しゅとう)

配偶者が読んでいた「米糠(こめぬか)」関連の記事をあつめた本の中に「どろぼう漬け」というのがありました。

「あまりにおいしくてご飯を何杯もおかわりしてご飯がなくなってしまう」、あるいは「あまりにおいしいので、他所(よそ)からご飯を盗んでまで食べたくなる」ので「どろぼう漬け」。これは徳島県南部山間部の糠(ぬか)漬けで、材料はカブと白菜と塩と水と少量の糠。糠ごと温めて食べるそうです。つまり、ホットサラダならぬホット糠漬けということになります。

食べものや飲み物をどろぼうする、盗むとなると、すぐに連想されるのは、お隣の高知県の「酒盗(しゅとう)」。山と海の違いはありますが、おいしいので食の相方(あいかた)を盗むほどの気持ちになる、ないしは、盗むという形容がふさわしいほどに食べるというのは共通しています。

「酒盗」は高知県の酒の肴。本鰹(かつお)の胃と腸を塩漬けにして一年以上自然熟成させて仕上げた塩辛です。「お酒がどんどん進む、まるで酒を盗むようだ」、あるいは「おいしいので日本酒がどんどん進む、足りなくなると他所から日本酒を盗んででも飲み続けたくなるほど」なので「酒盗(しゅとう)」と呼ばれています。高知の方は、酒の肴に酒盗とむつかしい議論さえあれば、朝まで問題なく飲み続けられるそうです。

二年ほど前の札幌市内のあるデパートの魚売り場。売り場責任者のおやじさんと雑談していたら、上品な感じの熟年から初老にかけての女性が近づいてきて「シュトーとかいうものはどちらで買えますか」。おやじさんが「シュトー」とはそもそもいかなるものか、どの売り場で買えるかを簡潔に説明しています。「鰹の(内臓の)塩辛」という名称なら「イカの塩辛」は北海道でもおなじみなので迷うことなないのでしょうが「シュトー」では混乱してしまいます。しかし、それにしても、誰にどういう風に頼まれて、あるいはどういう理由で、そのご婦人が「シュトー」を買い求めに来たのかは今もって謎めいています。ケーキ売り場ではなく魚売り場に立ち寄ったので、おおまかな「土地勘」はお持ちだったようですが。

□□□

体脂肪計タニタの【公式】ショッピングサイト

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年3月28日 (木)

「火垂るの墓」の著者の日本語論

人気ブログランキングへ

「火垂るの墓」の著者のエッセイを久しぶりに読みました。ごく最近の書き下ろしを含んだ新書版(タイトルは「終末の思想」)ですが、その本の最後のあたりに印象的で説得力のある日本語論が登場します。あとで、一部を引用します。

「農林水産省栄えて、農業滅ぶ」「農協栄えて、農業滅ぶ」「農家栄えて、農業滅ぶ」「消費者栄えて、農業滅ぶ」というアフォリズム風の表現がありますが、それぞれに部分的な真実があります。「農家栄えて、農業滅ぶ」を「農業法人栄えて、農業滅ぶ」と「兼業農家栄えて、農業滅ぶ」に分けることもできますし、「製造業栄えて、農業滅ぶ」というのを仲間に加えることもできます。

もともと目を通したかったのは「これから起きるのは、農の復讐である」という章でした。この著者の少年時代の飢えの体験や、戦後の農地改革などを通過しながら農家(地主や小作農)がどのように変貌していったかについてこの著者独特の観察眼に興味があったからです。筆者は戦後の米国の農業政策と日本の食との関連にも、実体験的に触れています。農の復讐とはどういう形での復讐なのか。上記のいくつかの「◇◇栄えて、農業滅ぶ」と関連付けてみたら農の復讐はどういうことなのか。

ここではその詳細には入りませんが、このエッセイ集全体の内容を一文に代表させると、『言葉を失い、食いものを失った民族は滅びる』。

「火垂るの墓」の作者の日本語(国語)についての論述に戻り、印象的な部分を引用しますです(下線は「高いお米、安いご飯」)。

言葉があやふやでも、生きてはいけるだろう。だが、国の根幹は母国語にある。古来より植民地となった国は、支配国の言葉を強制され母国語を失い、母国語を基盤に、受け継がれた文化、伝統もこわされる。陸続きで国境を接する国は、だからこそ言葉を大事にする。自分の国の言葉をいい加減に扱うということは、自ら植民地を希望するようなもの。』

『言葉は大人が子供に教える第一のもの。自分の言葉で相手に伝えるためには、日本語の豊かな実りを血肉と化す必要がある。これは子供のうちから美しい日本語を身近にするしかない。教育と家庭、どちらも大事。ある程度、強制的に覚えさせなきゃ身につかない。』

『古典は、はじめ意味不明でもそのうち文法、言いまわしに通じれば判ってくる。古典はなにしろ現代の言葉の根っこなのだ。』

『だが、その日本語の豊かさを伝えるはずの身近な大人の言葉が貧しくなった。一番近くにいる大人である親は、言葉ではなく、物を与えて良しとする。親子がそれで完結してしまう。テレビや新聞によく登場する政治家はもはや言葉を持っていない。』

日本に生まれ日本語が使われる環境で育てば日本語を使って生きていけるし、他者とコミュニケーションもできますが、それだと賞味できる日本語はファスト・フード風のものか、「『カット野菜+カット肉+合わせ調味料』の組み合わせ」だけになる可能性が高い。そういう日本語の範囲にとどまっていると、思考の内容も商品棚に陳列されている「『カット野菜+カット肉+合わせ調味料』の組み合わせ」になってしまいそうです。

そのような状況に陥るのを避けるためには、「読書百遍 義(ぎ)自(おの)ずから見(あらわ)る」という超スロー・フード的な体験が役に立つと思われます。必ずしも「百遍」である必要はありませんが、そうした体験は結局はその後の言語生活の軸となります。短期的なコストパフォーマンスは非常に悪いとしても。

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年3月27日 (水)

桜はむつかしい

人気ブログランキングへ

札幌だと5月の連休あたりに梅と桃と桜が一斉に開花するので、梅から桜への景色の流れを楽しみたい向きには風情のない土地です。しかし、今年は、知り合いの話によれば、東京でも梅と桜が一緒に花を咲かせたらしく、時期は随分と違いますが、種類の違う花が隣通しで匂い立つ雰囲気は(桜は匂い立ちませんが)札幌に近い。

今年は札幌から遠く離れたところで桜狩(さくらがり)をしようと思いました。満開の時期を想定し週末を使った旅行です。個別にアレンジするのは面倒だったので、風情のある、しかし不便な場所にある複数の桜をめぐるツアーに申し込んでおきました。

どうも今年は桜の足が速い、というか速すぎる。気になるので、不便な場所の桜の情報などを掲載しているお役所ホームページに電話番号が出ているので、そこに開花の時期や満開の時期を尋ねてみました。開花から四~五日たったころが満開というのはその通りでいいのですが、開花の時期についての説明が曖昧です。いろいろと聞いていくと、分かったことは僕たちがそこに行く頃は、花ではなく柔らかい緑の葉が楽しめるであろうということでした。

4月中旬に入ってすぐの旅行はあえなくキャンセルとなりました。今年は札幌の桜です。

平安末期に佐藤さんという方が『ねかはくは 花のしたにて 春しなん そのきさらきの もちつきのころ』、あるいは 『ねかはくは はなのもとにて 春しなん そのきさらきの 望月の比』と詠み、昭和になったばかりのころに梶井さんという方が『桜の樹の下には屍体が埋まっている! これは信じていいことなんだよ。何故って、桜の花があんなにも見事に咲くなんて信じられないことじゃないか。』と書きましたが、僕たちにはこの感覚がいつの間にかすりこまれているらしい。

こういう感覚をほとんど感じさせない桜は、僕にとっては、仁和寺の遅咲きの「御室桜(おむろざくら)」。真言宗のお寺で、このお寺の背丈の低い桜にはお酒とお重が特によく似合います。ここでは佐藤さんも相当に酔っぱらうのではないかと思われます。

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年3月26日 (火)

恨みのJR北海道・千歳線、あるいは快速エアポート

人気ブログランキングへ

ケータイがピヨピヨ鳴ったので見てみると「JR千歳線 運転見合わせ 札幌~白石駅間で発生した電力設備故障の影響で、運転を見合わせています。2013年3月25日 8:45 現在」。

10日ほどまえのことです。飛行機便との接続や待ち時間を考え、最適な時刻の快速エアポートの座席を前もって予約しておきました。

その日の朝の天気は明朗。しかし、JR千歳線は機嫌が悪いことも多いので念のためにその朝に列車の運行状況をチェックしてみると、なんだかよくわからない理由で、僕の予約した列車だけが運休になっていました。一般的な云い方をすると、突然に小規模な間引き運転が発生。間引き運転の犠牲者は僕の予約していた列車など少々。運休の決定は前日の遅めの夕方。うーん。こうなったらひとつ前の快速エアポートに乗るしかありません。札幌駅でひとつ早い時刻への座席予約の切り替えを頼んだのですが、満席でダメ。

JR千歳線というか札幌や小樽と新千歳空港を往復する快速エアポートには以前から時々ひどい目(ただし、タクシーの運転手はよろこぶ)に遭っています。

25日の新聞の社会面に目をやると「『停車中の特急 床下から煙 JR東室蘭駅』24日午前11時40分ごろ、JR北海道の室蘭線東室蘭に停車中の函館発札幌行き特急北斗5号(6両編成)の床下から煙が出ているのを、ホームにいた乗務員が発見・・・列車は運休させ、乗客は後続列車に乗り換えた。」

1年ほど前のブログ記事に「JR千歳線、列車遅延のお知らせ」、「JR千歳線は、最近は車両故障も好きらしい」、「JR千歳線は、今日も機嫌が悪い。」、そして「号外: JR千歳線の運行状況(快速エアポート関連)」があります。この記事を書くついでにそれらを読み返してみると「JR北海道における保全技術とシステムの進歩とは何か」という命題について考察を深めてみたくなりました。

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年3月25日 (月)

続・いんげん豆と大豆

人気ブログランキングへ

大豆は、水に一晩つけたのを茹でて食べてもおいしいのですが、どちらかというと、豆腐に加工したり、豆乳ヨーグルトや納豆、味噌や醤油のように発酵食品にした方が味の深みが増すし体にもいいようです。

一方、「いんげん豆」はそのままを(といっても一晩水につけたのを)料理の素材として使っても、というか発酵などさせないそのままの方がおいしく食べられます。「いんげん豆」は種類が豊富です。パスタ料理に使われる「ひよこ豆」は「いんげん豆」の一種ですが主に輸入品なので、北海道の食品売り場で割によく目にする地元のものは「うずら豆」「貝豆」「虎豆」「金時豆」「手亡(てぼう)」「白花豆」などです。

配偶者に、まず、「うずら豆」が副次的な役割を演ずる料理を作ってもらいました。マカロニグラダンに「うずら豆」、オニオンスープに「うずら豆」。それから具材のひとつに「うずら豆」と「貝豆」を使ったサラダ。サラダの場合は豆の役割が重くなります。豆そのものの味わいは、「大豆」よりは断然「いんげん豆」です。

チリ(チリソースのチリ)料理の中にチリコンカーンという「ひよこ豆」の煮込み料理があります。とくにチリ料理が好きというのではないのですが、「ローハイド」というカウボーイを主人公にした古いテレビ番組に頻繁に登場していた「ひよこ豆」の煮込み料理がその料理人の風貌と一緒に僕の記憶に染みついています。その料理では、「いんげん豆」が主役です。

Photo
                   左から「うずら豆」、「貝豆」、そして「大豆」

Photo_2 
 これは、「白花豆(しろはなまめ)」

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年3月22日 (金)

素材のカットのしかたや味付け方法の事例研究(一般会計と特別会計に関して)

人気ブログランキングへ

『たいていの新聞記事やテレビのニュース番組などは、読者や視聴者が消化しやすい大きさにカットされ、メディアの好む味に味付けされています。そういう編集済みの結果がわれわれに向けて報道されるので、われわれがそれを読んだり見たりするというのは、われわれが「カット野菜+カット肉+合わせ調味料」の組み合わせをスーパーで買ってきてそのままフライパンで炒めて食べているのと、大差ないのかもしれません。』(『食べ物における「自由からの逃走」』)という視点で、一般会計と特別会計というものを眺めたらどうなるか、というのがこのブログ記事の主旨です。

新聞記事やテレビのニュース番組などには「一般会計」とその説明(たとえば、以下の財務省のグラフのようなもの)は高い頻度で登場しますが、「特別会計」について目からうろこのような説明記事や特集番組には出会ったことがない。

_

_24

財務省のホームページに行くと「特別会計ガイドブック(平成24年版)」や「国の財政規模の見方について(一般会計・特別会計を含めた国全体の財政規模)」といった資料が用意されています。以下は「国の財政規模の見方について」の一部をそのまま引用したものです。

Photo

上の文章を翻訳(ないし敷衍)すると、わが国の会計制度は一般会計と特別会計があり、(それからこれは書かれていませんが、そこに財政投融資が加わるという事情を考えると)その性格や目的は多種多様で複雑怪奇です、従って、われわれ(財務省)がわかりやすく整理し解説するので、つまりすぐに食べられるように「カット野菜+カット肉+合わせ調味料」の形で提供するので、どういう具合に肉や野菜がカットされているか、なぜその大きさにカットされたのか、なぜそういう味付けになっているのかなどということは気にせずに、そういうことは専門家に任せて、国民のみなさんは結果(だけ)を賞味してください、となります。複雑怪奇な制度や仕組みやキャッシュフローはできるだけ簡単明瞭な制度や仕組みやキャッシュフローに改革していただけるとわかりやすいのですが、当該サービスの提供者にはそういう気持ちはなさそうです。

 
一般会計と特別会計の重複例として「ダムの建設」といった例が取り上げられていますが、お互いの関連状況に関しては説明も何もないので、読者はただ「ふーん」と云うしかありません。

国会議員にもこの多様性と複雑さが活動の障碍(しょうがい)になっている様子です。「民主党政策集 INDEX 2009」の「財務・金融」部分のなかに「公会計改革(特別会計改革等)」という項目がありました。その一部を引用します(以下の『・・・』部分)。

『・・(前略)・・・特別会計制度は、国の財政状況をわかりにくくし、また各省庁の「隠れた財布」となって、巨額のムダづかいの温床となっています。このムダづかいを止めるために、特別会計をゼロベースで見直し、最終的には「財政再建特別会計」「交付税特別会計」等に簡素化します。・・・(後略)・・』。

こういう記述から判断すると、『「財政再建特別会計」「交付税特別会計」等に簡素化』しない限り、多くの一般の国会議員にも特別会計の実態はよくわからないのだろうと推測できます。だから、少しでも実態をより正確に理解しようとすれば、この分野に関して深い知見をお持ちの方の著作物に依存するしかありません。2002年の秋、衆議院議員時代にお亡くなりになった石井紘基(いしいこうき)氏の「日本が自滅する日」(副題:「官制経済体制」が国民のお金を食い尽くす!)がそういう著作物のひとつだろうと思います。(【註】「日本が自滅する日」は2002年1月の出版。版を重ねたが、現在は古本でしか手に入らない。古本の値段も相当に高い。)こういう足と熱意と権限(国政調査権)の行使がないと書くことのできなかった内容を持つ著作物に目を通さない限り、僕たちは、一般会計と特別会計と財政投融資の「多種多様で」「様々な」の実際的意味やそれらの相互の関連への手がかりさえ得られない。

「日本が自滅する日」によれば『これら三つについては通常、一般会計を第一の予算とみなし、財政投融資を「第二の予算」ということが多いが、それはことの本質をみていない。規模の点でも、実質的な意味でも、特別会計こそ第一の予算であり、財政投融資はそれに次ぐ第二の予算、一般会計は単なるたてまえ予算といっても過言ではないのだ。』ということになります。

平成24年度は一般会計が90.3兆円で、特別会計が394.1兆円(歳出額)。つまり、特別会計は一般会計の4.4倍です。そして、特別会計には、一般会計から52.1兆円(90.3兆円の58%)が繰り入れられています。つまり、日本の会計は、IT分野の用語を使えば、一般会計が前処理用のフロントエンド・プロセサ、特別会計が大量のそして複雑なトランザクションを処理する基幹業務用のメインフレーム、財政投融資が特殊アプリケーションを担当するバックエンド・プロセサという役割の会計処理構造だと要約できます。「選択と集中」ではありませんが、日本の予算を考えるときは特別会計というメインフレームに着目すれば間違いがなさそうです。

一般の企業では、その理由が不景気対応か体質強化かは別にして、経費を削減し無駄な出費を抑えるために、いっせいに支出を3%から5%切りつめるということがあります。特別に不思議な光景ではありません。その特別に不思議ではない支出の切りつめ光景を、国の特別予算にもそのまま当てはめると(ユーセンジュンイの議論やデキル・デキナイの議論が始まると各省のケンエキが入り乱れて収拾がつかなくなるので、いっせいに当てはめると)、394.1兆円の3%は11.8兆円、394.1兆円の5%は19.7兆円。切りつめで浮いた11.8兆円や19.7兆円で、毎年の消費税の増税分や東日本震災支援分は賄(まかな)えます。

現金不足の時は、普通は、定期性預金を解約」や「判断の座標軸をいちおう整理しておくと・・」というブログ記事でも書いたように、日本が保有している米国の国債をたとえば10年間にだいたい均等に売却していけば消費税の増税などは不要となります。

2013年1月現在の日本の米国債の保有高は、米国財務省の資料によれば1兆1152億ドル。1ドル90円で邦貨換算しても100兆円、95円なら106兆円です。1年間に10兆円ずつ10年間にわたって現金が手に入ります。まあ、これがいろいろと相手の事情で実行が難しければ、その代わりに、特別予算から『官制経済』に回っている10兆円ないし20兆円を特別予算から切り出して、消費税や原発対策に振り向ければ、消費税を増税する必要もないし、また原発の廃炉化や核廃棄物の廃棄処理の速度を上げることもできます。

こういう視点で、特別会計を解説してくれる「特集記事」や「特別報道番組」はないものか。そういうタイプの『「カット野菜+カット肉+合わせ調味料」の組み合わせ』ならいつでも歓迎です。

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年3月21日 (木)

精米したてのお米(無洗米)を牛乳パックで宅配

家庭でご飯を作る人向けの宅配サービスの中でなるほどと感心したのが、お米(無洗米)の宅配サービスです。ひそかに拍手を送りたいような気分でもあります。きっと、お米をよく知っている、お米のご飯が好きな方がこのサービスの設計に肩入れしたのでしょう。

精米したお米は時間とともに劣化(酸化)するので、おいしく白米を食べる方法は、食べる量だけ、あるいはご飯として炊く量だけそのたびごとに自分で玄米を精米することです。多めに精米した時には、余りはきちんとした密閉容器にいれて冷蔵庫に保管するとおいしさが長持ちします。

10㎏袋や5㎏袋に入った白米を買ってきて、それを計量機能付きのコメ収納器具に常温で保管するというのも、ご飯好きの中家族や大家族ですぐに食べ切ってしまうようならとくに問題はないのですが、そうでない家庭がそういう保管状態で少しずつ消費し続けているとお米に元気がなくなってきます。つまり、少しずつお米の味が落ちてきます。

しかし、自宅で家庭用の精米機を持つのは嫌だ、自宅には適当な米の置き場もないし、そもそも5㎏など重くて、お店で買ってもとても持って帰れない。持ち帰れるとしてもせいぜい1㎏程度の少量パックだけという家庭も多い。

牛乳の宅配をしている乳業メーカーが、牛乳用の1リットル入り紙パックに精米したての無洗米(研ぎ洗いせずに水を加えて炊くだけで大丈夫なお米、そうでないお米よりもわずかに高い)の宅配サービスを提供しているそうです。牛乳宅配の流通インフラを持っている乳業メーカーが既存インフラを使って1年ほど前から始めた追加サービスです(日本農業新聞 2013/03/12)。

1リットル入りの牛乳パックにはお米(秋田県産のあきたこまち)が900g(6合)入っており、1パックの値段が570円だそうです。5㎏袋入りのおいしい無洗米が2,500円くらいなので、小口パックと宅配サービスを考慮すると、妥当な値段だと思われます。(【蛇足的な註】お米1合の容量は180ccで、1合の重さは150gです。)

無洗米の入った牛乳パックは冷蔵庫のドアポケットにスポッとおさまるので収納が便利で、冷蔵庫保管なので品質劣化(酸化)が防止できる。お米のご飯が好きだけれど食が細くなって量はそれほど必要ないといった家庭だと、1週間に2パックくらいを届けてもらえれば十分です。

高齢者家庭だと夕食弁当などの宅配サービスも便利でいいのですが、そういう場合もおかずセットだけは利用して、あつあつご飯は精米したてを自宅で炊いて食べるというのも賢い選択肢かもしれません。

関連記事は、「2合と2kg(その1)」、「2合と2kg(その2)」、「『2合と2kg』補遺」です。

旬の美味しい食材を厳選! 大地を守る会の「とくせん定期便」 子どもたちへの安心コース! 大地を守る会の「とくせん定期便」

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年3月19日 (火)

行ったり、来たり (その1)【増補版】

人気ブログランキングへ

いい長編小説であるかどうかの僕の判断基準は、次のふたつです。

ひとつは、物語が面白いので、速く先に進みたいという気持ちが読み進む途中で強くなる一方、文章の味わいにその気持ちを引き留められて、ページを開いたまま、しばし立ち止まってしまうような小説。

もうひとつは、これは厚さと重みのある紙の本でないと味わえない感覚ですが、残りの分量があと三分の一くらいに近づいた時に、このままだと、あと一日か二日で読みおわってしまう、読み終るのはもったいない、読む速度をもっと落として最後のページに到着する時刻を先送りするか、そういう気持ちになるような小説。

そのふたつの要素を相当に感じさせてくれる長編小説に久しぶりに出会いました。今から10年ほど前に出版された日本の小説で、こちらとあちらの往還の物語です。書き手が書きながら、とても幸せな気持ちで二つの世界を行き来したに違いないという波動のようなものが作品から伝わってきます。この著者の著作物とは今までほとんど縁がなかったので、他の作品をこの小説と同じように楽しめるかどうかはわからないけれども。

この世とは別の「冥界」や「異界」、あるいは日本の古い用語だと「黄泉平坂(よもつひらさか)の向こう側」という言葉で指し示される世界があります。あの世とこの世の「橋掛かり(はしがかり)」が夢幻能の基本構図ですが、登場人物が向こう側の世界とこちら側を自由に行き来するような魅力的な物語は現代でも書かれています。

しかし、「冥界」や「異界」という区切り言葉で、我々が今生きているこの現象の世界と向こう側の世界との間にわざわざ区分線を引くことが必ずしも深い意味を持つわけではありません。だとすると、「存在のもともと」とか「存在の奥底」、あるいは「玄のまた玄(老子)」や「渾沌(こんとん)(荘子)」といった昏いぼんやりとしたもので「こちら側」と「むこう側」と「それらのもともと」の全体を指し示すこともできるわけで、だから、登場人物がそういう全体を軽やかに歩き回っている物語というのも身近に存在しています。唯識(ゆいしき)風に言えば、生死を離れず、涅槃(ねはん)も離れず、結局は同じものであるところの生死と涅槃の両方の世界を、彼(あるいは彼女)が往還する物語です。

物語という言葉が曖昧なら、小説、ないしは形而上学的な論考という言葉で補足しますが、そういう形式をとった著作、現代の日本語で書かれた「こちら側と向こう側の往還の物語」の中で僕にとって魅力的ないくつかを並べると、以下のようになります。今までは、20世紀の後半から21世紀の初頭にかけて鬼籍に入られた方の著作(最初の四冊)しか思い浮かばなかったのですが、最近読み終えたばかりのさきほどの小説を五冊目としてここに付け加えることにします。

・ 折口信夫(1887-1953): 「死者の書」(小説)
・ 吉田健一(1912-1977): 「金沢」(小説)
・ 井筒俊彦(1914-1993): 「意識と本質」(形而上学書)
・ 倉橋由美子(1935-2005): 「夢の通い路」(小説)
・ 村上春樹(1949-    ): 「海辺のカフカ」(小説)

なまめかしいのは「死者の書」と「夢の通い路」です。「金沢」と「意識と本質」もなまめかしいと言えますが、「死者の書」の粘性や「夢の通い路」の湿った感じに対して、こちらの方はもっと神秘的で乾いていて、なまめかしさの種類が違います。これらの書物の共通点は繰り返し読みたくなること。ただし、読み進むためには、読者にもそれなりの蓄積が要求されます。

「金沢」は小説ですが哲学風味のエッセイともいえます。「意識と本質」は、神秘的な形而上学の著作で、そこで著者は、「玄のまた玄」の昏(くら)い世界から身近な現象の世界までを格別に叡智なシャーマンとして自由に飛翔したり泳ぎ回ったりしています。

「海辺のカフカ」は一人称の文体と三人称の文体がそれぞれに紡ぎ出す「往還」の物語が美しい。二つの物語はやがて交差し、そして離れます。

こちらが、もともとの「行ったり、来たり(その1)

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年3月18日 (月)

素材のカットのしかたや味付け方法の事例研究(TPPの経済効果報道に関して)

人気ブログランキングへ

食べ物における「自由からの逃走」』という記事の最後に『「アナウンサーの実況なし・解説者の解説なしのスポーツのライブ中継」などを別にすれば、たいていの新聞記事やテレビのニュース番組などは、読者や視聴者が消化しやすい大きさにカットされ、メディアの好む味に味付けされています。そういう編集済みの結果がわれわれに向けて報道されるので、われわれがそれを読んだり見たりするというのは、われわれが「カット野菜+カット肉+合わせ調味料」の組み合わせをスーパーで買ってきてそのままフライパンで炒めて食べているのと、大差ないのかもしれません。』と書きましたが、メディアがどういう具合に素材をカットしどういう風に味付けをしているかを、例えば「TPP参加による経済効果試算」に関する報道記事からも確かめられます。

政府が発表した「TPP参加に伴う経済効果試算」の骨子は以下のようです(ただし、下線は「高いお米、安いご飯」)。

◇ 関税をすべて撤廃すると仮定してTPPに参加した場合、農林水産物の生産は、米が1兆円減るなど、33品目で3兆円のマイナスになるが、他の産業の生産の伸びや消費の拡大があるので、全体としては、10年後に国内総生産 (GDP) を実質で3兆2000億円 (0.66%) 押し上げる効果がある。

いくつかの新聞記事を拝見すると、農業関連の新聞が大きな活字で「農林水産3兆円減」と見出しをつけるのは当然として、経済が専門とされる新聞や発行部数の多い全国紙で共通するのは、「TPP参加でGDP 3.2兆円拡大」の部分がポイントの大きな活字で強調されていることです。

政府発表の同じ試算数字を用いても、メディアのそれぞれの意思でデザインされた「選択と集中」というフィルターを通すと以下の(その1)や(その2)といった具合になります。

【註】ちなみに日本のGDPは、2011年の実質GDPが509兆円、2012年の実質GDPが520兆円、2011年の名目GDPは471兆円、2012年の名目GDPは476兆円(内閣府GDP統計)。3兆2000億円は、たとえば509兆円の0.63%ですが、今後のGDPの伸びやGDPデフレータの推移が関係するので、ここでは0.66%という政府の数字を使います。

(その1)『TPPに参加すると、なんと、GDPが3兆2000億円も拡大する。』 TPPへの参加を強く支援するタイプの報道で、ここでのポイントはプラス3兆2000億円という数字を強調すること。しかし、3.2兆円はGDPのわずか0.66%の増加に過ぎないということや、その増加分が期待できるのは来年や再来年ではなく10年後であることにはとくには言及しない。かりに言及したとしても目立たないように記事の後半部分に本文活字で。

(その2)『TPPに参加しても、GDPの増加分は10年後にわずか0.66%でありほとんど意味のない数字である。』 投資効果が悪すぎる。(若い女の子なら「ひどいコスパね」。)わずかに円高になればそんなもの (0.66%) はすぐに吹き飛んでしまうし、日本の農業・金融・医療などの基盤がこうむる悪影響を考えると(たとえば、農業の3兆円のマイナスとは8兆5000億円の農産物生産額から3兆円が奪われるということなのでその被害は壊滅的である)、TPPに参加する意義など何もない。TPP参加に反対する立場の報道(【註】農業と林業と水産業を合わせた農林水産業全体の生産額は10兆円)

こういった感じで、「読者や視聴者が消化しやすい大きさにカットされ、メディアの好む味に味付けされた新聞記事やテレビのニュース番組など」を拝見しています。

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年3月15日 (金)

「ときどきこういう不思議な国語意識を持った人たちが出てくる」・補遺

人気ブログランキングへ

ときどきこういう不思議な国語意識を持った人たちが出てくる」というブログ記事の補遺です。そのブログ記事で引用したニュースを再び引用しますが、前回とは少し違った視点でそれを眺めてみます(以下の『・・・』部分が引用)。

『参院選公約に「英語公用語化」? 楽天・三木谷氏が自民党教育再生実行本部で英語教育強化訴え』『楽天の三木谷浩史社長兼会長は21日、自民党本部で開かれた教育再生実行本部で「英語ができないため日本企業が内向きになり世界の流れに逆行している」などと指摘し、大学入試の英語試験にTOEFLテストを導入することや実用英語教育の強化などを提言した。これに山谷えり子参院議員が「(大学入試でのTOEFL導入は)突破口になる。第2次安倍内閣で実現する」と賛同。出席者の意見は次第に熱を帯び、「参院選で英語公用語化を訴えるべきだ」などという意見も飛び出ていた。』(産経ニュース 2013.2.21)

この記事の内容を敷衍(ふえん)すると次のようになります。

あるグローバル企業(ないしはその予備軍)が、国民国家・国民経済の持つ社会資本(このニュースにおける社会資本とは国民教育制度、その原資は国民の税金や国債)を自社の売上と利益の拡大のために使いたいので何とかしろ、つまり政府はグローバル企業(ないしはその予備軍)向けの即戦力教育をやれ、国はグローバル企業(ないしはその予備軍)のビジネスにそのまま役に立つような内容に英語教育を変更せよと主張し、それに賛同する議員や、「英語の公用語化」といったもっと先鋭的なところまで踏み出してもいいのではないかいう意見も見られた。

「国民国家の一員として生き続けるための知恵と知識の教育」と「グローバル企業で即戦力になるための実務知識の教育」は、教育対象項目が一部は重なるにしても、目的や方向は相当に違います。この会議に出席された方たちは、前者のタイプの教育については関心がないのかもしれません。(国語との関連でいえば、前者のタイプの教育の中には、「日本語という漢字・ひらがな・カタカナからなる国語は、どこの伝統的な国語もそうだが、過去との連続性を維持しようとすると適当に身につけられるほど甘いものではない」という認識にもとづいた長期の日本語教育プログラムが含まれます。)

グローバル企業の目的ないしビジネス・モチベーションは特定の国家の枠にとらわれない短期の利潤追求なので(だから、法人税や労働者賃金の安い国、カントリーリスクの少ない国へと資本投下先を、四半期ベースでどんどんと移していく)、国民経済や国民福祉の長期の増大や維持という国民国家の目的とは一致しません。

TPP論争などにもこの二つの考え方の戦いがきれいに反映されています。TPPの場合には、米国系のグローバル企業が、米国以外の参加各国の社会資本を食いつぶすという側面が大きいのですが(日本の場合だと、農業・金融・医療といった分野の社会資本がその対象となっている)、ここで取り上げた新聞記事での英語教育に関して云えば、日本のグローバル企業(ないしはその予備軍)が、教育という日本の社会資本投資を自分の都合の良い方向に誘導して活用しようとしていることになります。

本籍地の意味が徐々に希薄になるのがグローバル企業共通の特質ですが、この新聞記事で登場した企業にも米国系グローバル企業と同質の体質(自国ないし他国の社会資本を、国や政府に同意・承認された形で私企業として活用する、そういう方向に国や政府を仕向ける、という体質)が現れているようです。

関連記事は、「グローバリゼーション: その意味の私的な利用の仕方」。

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年3月14日 (木)

食べ物における「自由からの逃走」

大げさなタイトルですが、対象を少し広げ、そして少し深く考えると、それほど大げさなものではないような気もします。

自宅で料理をする人が増えているというのは、外食産業の経営者や従事者を除けば、好ましい傾向だと思います。しかし料理と云っても以前とは違って、包丁やまな板を使わないタイプの調理が浸透中のようです。

少し前から、人気野菜のキーワードは「あまくておいしい」と「調理が簡単で食べやすい」です。そのキーワードのひとつである「調理が簡単で食べやすい」に「ひとり分ないし二人分用の少量パッケージ」という別の簡便さを組み合わせるとスーパーやコンビニの野菜売り場でよく見かける「カット野菜」ができ上がります。最近はこの手のマーケティングがさらに歩を進め、「カット肉」と「カット野菜」と「合わせ調味料」の組み合わせにまで到達したようです。同時に、そういう調理と組み合わされる用語も「調理は『簡単に』」から「調理は『手抜きで』」に進化しました。

「何とかの素」という「合わせ調味料」がスーパーなどの棚にはにぎやかに並んでいます。「回鍋肉」「青椒肉絲」「麻婆茄子」など中華料理系が比較的よく目立つのですが、和風料理風、朝鮮料理風、パスタ料理風なども引けを取りません。その「何とかの素」の袋に記載されている食材(肉や野菜など)が調理しやすく食べやすそうな大きさに前もって切りそろえられパッケージングされていたら、調理には包丁やまな板は不要で、フライパンや鍋があればこと足ります。使い捨てのアルミ容器に盛られた出汁の素つき「鍋ものセット」なども食材がオールインワンで、食べやすい大きさに切り分けられているのでこれに近い。

自由というのは自己裁量で何でもできるということですが、自由の中には、包丁を砥石で研ぐ自由、包丁でキャベツをザクッと切る自由、キャベツを千切りにする自由、ゴボウをささがきにする自由、野菜を切っている時に指を切る自由、糠床(ぬかどこ)をかき混ぜる自由なども含まれます。「カット野菜+カット肉+合わせ調味料」を好んで選択するということは、だから、そういう自由からの逃走だと云えなくもありません。

手抜きは、たいていは、ひとつの場面や分野で腰を落ち着けてしまわない。対象範囲を広げ始めます。手抜きとは、誰かから与えられた数少ない選択肢を効率的である・無駄がない・便利だと判断しそのまま受け入れるということなので、手抜きが身に着くということは、そういう態度が定常化し、所与の選択肢に含まれる以外の他の目的や方向や手段についての思考とそのために必要な時間を排除するか抑制する姿勢を身につけるということです。

「アナウンサーの実況なし・解説者の解説なしのスポーツのライブ中継」などを別にすれば、たいていの新聞記事やテレビのニュース番組などは、読者や視聴者が消化しやすい大きさにカットされ、メディアの好む味に味付けされています。そういう編集済みの結果がわれわれに向けて報道されるので、われわれがそれを読んだり見たりするというのは、われわれが「カット野菜+カット肉+合わせ調味料」の組み合わせをスーパーで買ってきてそのままフライパンで炒めて食べているのと、大差ないのかもしれません。

□□□

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年3月13日 (水)

加熱料理用の国産トマト

北海道は「夏秋トマト」の産地で、大玉の桃太郎やミニトマトのアイコなどの栽培が盛んです(「冬春トマト」と「夏秋トマト」)。しかし、我が家が待ち遠しいのは地元産の(というよりもご近所農家の栽培した)加熱料理用トマト。サンマルツァーノ・タイプの「オスカー」や「なつのこま」。これら(特にオスカー)を使った自家製トマトソースの味は、けっこう病みつきになります(「地元の加工用トマトで、トマトソース」)。

我が国の家庭の人気食材は、魚だとマグロ、野菜ではトマト、果物はバナナ。この3つの食材の人気は安定しています(総務省家計支出調査)。野菜では人気のトマトですが、その消費量を世界と比べてみると、意外なことに、非常に少ないことがわかります。

日本の1人当たりの年間トマト消費量は9㎏で、これは世界の平均の半分程度。おそらく世界でいちばんトマト料理がすきに違いないイタリアと比べると、イタリア人は1人当たり1年間で、日本人の約7倍のトマトを食べています(2007年、FAO)。

日本では、トマト収穫量の94%が生食用トマト、加工用トマトはわずかに6%(2009年、農水省統計)。つまり、日本では、トマトはサラダやジュースといった形での消費がほとんどで、もちろん生食用トマトがトマトピューレに加工されたりもしていますが、本格的な加熱料理の素材としてトマトが利用される機会は、イタリア料理などが好きな人の家庭料理か、あるいはイタリア料理店でのメニューに限定されています。

そういう事情で、調理用・加熱料理用タイプのトマトは日本ではほとんど生産されていません。そういうトマトが必要な人たちは、おもにイタリアやトルコから輸入されたホールトマト(トマトを丸ごと湯むきしたもの)の缶詰を利用することになります。

だから、国産トマトの国内消費量をもっと増やしたいと考えているトマト農家やトマト販売推進グループは「すずこま」という名前の調理用トマトの生産とプロモーションに力を入れ始めているようです。(関連記事は「日本の調理用トマトと新品種」

Photo

「すずこま」。写真はJA全農のプレスリリース記事 (2013/02/19) からお借りしました。

輸入ホールトマトの置き換え需要というのは味と値段が折り合えばわかりやすいターゲットですが、それ以外に需要を喚起しようと思えば、イタリア料理以外の家庭向き加熱料理というアプリケーションの提示、国産の調理用・加熱料理用トマトの安定生産と市場認知が前提になります。

もっともそれがうまくいったとしても、例えばイタリア人は日本人の7倍もトマトを食べているのでそれに近い数字を想定するのは無理がありそうです。トマトは食材であると同時に調味料です。ドライトマトといった保存食材と調味料の中間的な応用もあります。日本で調味料と云えば、醤油です。醤油は大豆ベースの調理料です。両方の味の微妙に重なり合うあたりが新規需要拡大の思案のしどころかもしれません。

□□□

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年3月12日 (火)

その不在が春を感じさせてくれるもの: 根雪とセロリ

春がきているらしいということを、いちばん感じさせてくれるのは陽の光です。日の出の位置や朝日の差し込む角度、陽の光の柔らかさなどに春が現れます。週末の午後に甲子園球場の野球中継などをテレビで見ていると(阪神と日本ハムのオープン戦)、春の暖かそうな光がいっぱいでうらやましい。まだ雪の降り続く札幌と比べるとちょっとフェアじゃないという気もしますが、夏のうだるような暑さは札幌にはないので、そこは我慢。春は、陽の光だけではなく、各種の春野菜からも伝わってきます。

しかし、その登場ではなくその不在で、つまり、それがなくなることで春を感じさせてくれるものもあります。

まず、道路などの根雪です。これが消えると春が確信できます。それからセロリ。

我が家ではセロリが好物なので、セロリが季節の変わり目を教えてくれます。渥美半島(愛知県)のセロリが市場に出回り始めると冬が来たという連絡、そして、渥美半島のセロリを見かけなくなると春が来たというお知らせです。渥美半島のセロリもそろそろ最後です。その不在が春を感じさせてくれます。

北海道のセロリが野菜売り場に並ぶのは遅い夏になってからで、その期間は3か月ほどです。

関連記事は「セロリの季節」。

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年3月11日 (月)

糠(ぬか)漬けはキャベツに始まる、らしい

糠漬けは、キャベツに始まるらしい。理由は、キャベツには乳酸菌がいっぱいあるので、初心者の糠床作りに向いているからだそうです。そう、配偶者から教えられました。

通常の原子力発電所はウランを燃やす軽水炉ですが、軽水炉でウランが燃える時の副産物としてプルトニウムが生まれます。そのプルトニウムをウランに混ぜて(MOX燃料)燃やす原子力発電の方法はプルサーマルと呼ばれています。各電力会社のプルサーマルの稼働実績という重要な事柄に関する配偶者の知識が、僕のそれよりも正確だったので、それ以降は、ともかく配偶者の言うことをまずは素直に聞くことにしています。「糠漬けはキャベツに始まる」と言われたら、ともかく何かしら意味のある発言だとして、まずは受け入れます。

しかし、釣りが鮒(フナ)に始まり鮒(フナ)に終わるといわれるような意味で、糠漬けがキャベツに始まってキャベツに終わるかどうかはよくわからない。

キャベツは我が国へは明治初期に導入されたはずなので、それ以前には、日本にはキャベツがなかったとすると、たとえば江戸時代の糠漬け教材はなんだったのか。

糠漬けというと、定番は、胡瓜(キュウリ)や茄子(ナス)。モノの本によれば、キュウリは日本には平安時代に伝わったらしい。ナスも8世紀ごろ、つまり奈良時代から平安初期に日本に入ってきたそうです。つまり、キュウリやナスの我が国での栽培の歴史は古い。

いろいろと調べるのは面倒なので、ここでは、糠漬けはキュウリに始まりキュウリに終わるとしておきます。茄子紺という言葉がありますが、ナスの糠漬けはあの深い青紫がないと意味がない。その色をきれいに出すのはそれほど簡単ではない。糠漬けとしてはキュウリの方が簡単です。旅行中は仕方ないにしても、糠床さえ毎日かき混ぜていればまず大丈夫。

糠漬けはキャベツに始まる、と配偶者が云うので、僕は我が家ではキャベツの糠漬けは食べたことがない、そう配偶者に指摘すると(あるいは、文句を云うと)、さっそくキャベツを糠床に漬け込んでくれました。その味は・・・。

どうも、キュウリやナスを超えるものではないように思われます。キャベツは浅漬けの方がおいしいかもしれません。

□□□

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年3月 8日 (金)

ときどきこういう不思議な国語意識を持った人たちが出てくる

人気ブログランキングへ

ある新聞記事の引用から始めます(『・・・』が引用部分)。

『参院選公約に「英語公用語化」? 楽天・三木谷氏が自民党教育再生実行本部で英語教育強化訴え』

 『楽天の三木谷浩史社長兼会長は21日、自民党本部で開かれた教育再生実行本部で「英語ができないため日本企業が内向きになり世界の流れに逆行している」などと指摘し、大学入試の英語試験にTOEFLテストを導入することや実用英語教育の強化などを提言した。これに山谷えり子参院議員が「(大学入試でのTOEFL導入は)突破口になる。第2次安倍内閣で実現する」と賛同。出席者の意見は次第に熱を帯び、「参院選で英語公用語化を訴えるべきだ」などという意見も飛び出ていた。』(産経ニュース 2013.2.21)

新聞記事というのは、内容が捻じ曲げられていたり、事実の一部だけを背後の状況文脈から切り離す形で取り出されている場合も少なくありません。この記事がそういうタイプのものかどうかわからないのですが、ここでは簡潔にまとめられた正確な報道記事だとします。

英語をベンキョーしろというのは、英語ができたらレイモンド・チャンドラーやロバート・パーカーやインターネットの経済記事やスポーツニュースなどを楽しめるので、それから、英語はできるけれど日本語のできないきれいな女性と酒の席の会話を楽しめたりするので、まあ、いいとします。ビジネスにも当然役に立つ。

しかし『英語ができないため日本企業が内向きになり世界の流れに逆行している』とか、それがさらに舞い上がって『参院選で英語公用語化を訴えるべきだ』などということになると、こういう場合に持ち出される英語はたいていは実用検定風の英語ですが、日本語を廃止して国語を英語にしたかった明治の初代文部大臣の森有礼や、太平洋戦争敗戦後に国語はこれからはフランス語に替えたらいかがなものかと論じた小説家の志賀直哉が形を変えてまた出てきたかという思いにとらわれます。その自民党の会合で、どういう出席者がどのような興味ある意見を陳述したか議事録でも読んでみたい。

日本語をカタカナによる横書きにすれば日本の文化レベルが上がると主張したグループもあって(今も存続していますが)、そのグループの名前は「カナモジカイ」。最初は仮名文字協会(かなもじきょうかい)という名称だったようですが、片仮名推進団体が漢字の名前ではおかしいと思ったのか「カナモジカイ」に名称変更。

このグループの設立者のひとりが伊藤忠兵衛(いとう ちゅうべえ)、伊藤忠財閥の二代目当主です。経済界にはときどきこういう不思議な感性を持った方が現れます。現在の「カナモジカイ」のホームページを拝見すると、なぜカナモジを推進するのか、その理由が書かれており、その骨子は、原文をそのまま引用すると、以下のようです(下の『・・・』部分)。

『 1.漢字は、日本語を正しく書き表わすことのできない不完全な文字です。
  2.漢字は日本語の伝統を破壊しました。
  3.漢字は、日本語の発達を妨げてきました。
  4.漢字は、コトバの弱者を生み出しました。
  5.漢字は、教育の上で重荷となっています。
  6.漢字は、外国人にとっても大きな壁となっています。
  7.漢字は、社会生活の能率を低いものにしています。』

漢字は国際化を阻み、社会生活を非効率なものにし、世界の流れに逆行していると要約できないでもありません。

英語のベンキョーを強調するのはいいとしても、英語を公用語にとか、英語ができないので世界の流れに逆行しているとか、漢字を覚える暇があったら英語の単語でも覚えろということになると、控えめな云い方だとそういう意見は僕の理解を超えてしまう。控えめでない云い方だと、そういう意見は僕の我慢の限度を超えている。漢字と平仮名・片仮名からなる日本語という国語は、どこの伝統的な国語もそうですが、過去との連続性を維持しようとすると適当に身につけられるほど甘いものではありません。

関連記事は「インターネットの時代では英語が世界標準言語というのは本当?」、および「『東京セブンローズ』という日本語論(その2)」。

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年3月 7日 (木)

日陰と少ない水と風と寒さに強い常緑植物があれば・・

さる事情があって、四重苦と折り合いをつけないと生きていけないような植栽場所に向いた植物を、まあ、常緑植物しかないと思いますが、探している最中です。園芸職人さんに訊ねても即答は得られません。いい候補が見つかれば、春になったら植える(正確には職人さんに植えてもらう)つもりです。

その植栽場所の四重苦とは、以下の通り。

・陽がよく当たらない(早朝の東からの光と遅い午後の西日が当たるけれども、南からの陽の光がまったく差し込まない)
・雨がほとんど当たらない(雨がほとんど降りこまない作りの植栽場所なので植物にとってはひどい環境で、水遣りはもっぱら人の手による)
・風が吹き抜ける(強い風が主に東西に吹き抜けて、土を乾かせる)
・札幌なので、冬はとても寒い。

今までそこには、年替わりで、ビンカミノールやアイヴィーやその他の強そうなのを植えてきたようですが、2~3か月で枯れてしまいます。シャクナゲは3回は冬を越しましたが、4度目の冬を迎えるころに力尽きてしまいました。

札幌では夏の花として、公園や個人住宅のベランダで各種のペチュニア系の花をよく見かけるのですが、この四重苦の場所では生き続けられません。

その植栽場所の近くの、四重苦でなく二重苦から三重苦くらいの場所だと、シャクナゲもアイヴィーもペチュニアも順調に生育し、常緑のものは冬を問題なく生きのびます。アイヴィーは夏にはどんどんと伸び、そして青々と葉を茂らせる、シャクナゲは葉を広げ花を咲かせる。

四重苦の場所での候補について園芸職人の方に聞いてみました。

「富良野あたりのラベンダーはどうですか?」「陽が当たらないと花が咲かない。花が咲かないと枯れます。」「ではアオキはどうですか?」「風が強いと、アオキもダメでしょう。」「そういうところでも大丈夫なものはありませんか?」「うーん、考えてみます。」

職人さんの知恵を期待しつつ、思案中です。

□□□

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年3月 6日 (水)

肉なしミートソース

人気ブログランキングへ

あまり肉を食べなくなったので、「肉なし肉じゃが」というのもジャガイモの北海道に暮らしている身としては晩ごはんのおかずにいいのですが、それも割にすぐに飽きるので、あるいは、イモの煮つけは里芋の方が断然に好みなので、最近は日曜のお昼には「肉なしミートソースのスパゲティー」を楽しんでいます。

自宅で豆乳を作ると、「オカラ」がともかくいっぱいできます。オカラを和風味にして、たとえば「卯の花」風にして、それを日本酒の肴にすると乙な味で便利です。しかし、量が多すぎるので、ご近所に半分差し上げたとしても、やはり食べきれない。そこで、肉なしミートソースというわけです。

材料は

・オカラ
・にんじん
・玉ねぎ
・セロリ
・にんにく
・トマトピューレ
・比内地鶏の自家製スープストック
・ローリエ
・塩。

Photo

パスタとからめ、最後にパルミジャーノ・レッジャーノを上からすりおろして、でき上がり。

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年3月 5日 (火)

植物の種(タネ)の流通管理

植物の種(タネ)の流通管理には2つのタイプがあります。1つは法的な制度を利用すること、もう1つはマーケティング的な手段を活用することです。

植物のタネは、書物や映画と同じで著作権の対象物です。正確には、たとえば日本では、植物の新品種はその育成者権(知的財産権)が種苗法で25年間(ないし30年間)保護されています。現在スーパーなどで売られている野菜はほとんどがF1交配種ですが、そのタネの知的財産権は、種苗業者が登録をし忘れているということはまず考えられないので、種苗法で守られていることになります。

新たに開発された野菜や穀物の保護という意味では当然にそういう法的措置が必要ですが、グローバルな視座で考えると、それがGM(遺伝子組み換え)作物の得意な巨大アグリビジネスや大きな種苗会社に有利に働いて、各地の固定種・従来種の野菜や穀物の衰退につながる可能性も高い。

たとえば、米国の「食品安全近代化法案(H.R.2751 FDA Food safety Modernization Act)) というFDA (U.S. Food and Drug Administration) の機能強化・権限強化を目的とする法案の骨子を眺めてみると、明示的な書き方はされていないのですが、つまり、米国が農産物を外国から輸入する場合、その農産物の品種(タネ)は米国で承認されたものに限るとは書いていないし、また米国内に話を限ると、固定種や従来種のタネ(つまり、自前のタネ)を使った地産地消ビジネスを地理的に狭い範囲で行う小規模農家やそうした食材を加工販売する小さな食品会社は当該法案の適用対象外となってはいるのですが、運用の仕方によっては流通品種を米国アグリビジネス開発のものへと強引に誘導していくことは可能かもしれません。

マーケティング的な流通管理には、たとえば、次のようなものがあります。

農産物のブランド価値と品質を維持し他の品種と差別化するために、そのタネの流通を管理することはあたり前の農業ビジネス戦略です。マーケティング的なタネの流通管理とは、タネの提供先(販売先)を、特定地域内の生産者に限定すること、また、その地域のなかでも有機栽培や特別栽培(減農薬栽培)に同意してくれる農家や農業法人に絞り込むこと、あるいは、ブランド認知を広げるためにそうした条件に賛同してくれる生産パートナーを別の地域に開拓することなど指します。

新潟の「コシヒカリ(コシヒカリBL)」や山形の「つや姫」、北海道の「ゆめぴりか」などはそういう方法(サブセットを含む)を採用しています。

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年3月 4日 (月)

桃色の甘酒

人気ブログランキングへ

桃の節句で、桃色の甘酒です。配偶者は、甘酒は酒粕(かす)を使った簡易版ではなく、麹(こうじ)を使ったまじめなタイプをよく作るのですが、黒米を混ぜると桃色の甘酒ができ上がります。

その工程は以下の通り。

・うるち米をお粥にする。そのときに、黒米(弥生紫という野生種の黒米)を少し混ぜる。
・お粥を60℃に冷ます。
・そこに麹を入れて混ぜる。
・そのあと60℃で10時間発酵する。
・でき上がる。

こうして作った甘酒は、上品ですがけっこうな甘さになるので、米(コメ)というものが持っている甘さを実感できます。

Photo

  A                 
 

     (弥生紫という名の野生種の黒米)

60℃を10時間維持して発酵させるために、我が家ではヨーグルトメーカーを使っています。それから料理用の温度計も必需品。

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年3月 1日 (金)

F1交配種のお米(コメ)

現在、市場に流通している野菜の大部分はF1交配種ですが、ではコメの場合はどうなのか。

コメは自家受粉する作物なのでF1交配種に依存する必要はないのですが、より高い収量を求めてF1交配種を好む国もあります。

FAO(国連食糧農業機関)の資料(Hybrid rice for food security, 2004)によれば、コメのF1交配種は1974年に収量増を目的に中国で初めて開発され、その後は中国を中心に広がっているようです。

◇中国ではF1交配種の作付面積が1,500万ヘクタールで、これは中国の米全体の作付面積(3,000万ヘクタール【註】2009年の作付面積が2,990万ヘクタール)の50%。

◇中国以外のアジア諸国のF1交配種の作付面積(2001年/2002年度)は、ベトナムが48万ヘクタール、インドが20万ヘクタール、フィリピンが9万ヘクタール、バングラデシュが2万ヘクタール、ミャンマーが1万ヘクタール、インドネシアが0.1万ヘクタール、合計80万1000ヘクタール。

この合計面積を、日本の米の作付面積である162万ヘクタール(2009年)と比べると、日本のコメ作付面積の半分くらいの農地でF1交配種が栽培されていることになります。

◇もっとも、インドのコメの作付面積は4,410万ヘクタール(2009年)なので、インドにおけるF1交配種の作付面積比率は0.45%。この数字はほとんどゼロとみなしてさしつかえないので、要は、F1交配種米の生産には、中国だけがえらく入れ込んでいるということになります(ベトナムが少し気になりますが、それはさておき・・)。

中国のどんな種類のコメがF1交配種なのか、つまりインディカ米(籼米:せんまい)なのかジャポニカ米(粳米:こうまい)なのかはこの資料ではわかりません。しかし、中国と中国以外の上述のアジア諸国の共通点を考えると、おそらくインディカ米でしょう。

日本の商用ベースのF1交配種のコメは、僕の知る範囲では、ある化学会社が開発したもの(日本晴改良品種とコシヒカリ系改良品種)があるだけだと思います。

□□□

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2013年2月 | トップページ | 2013年4月 »