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2013年3月13日 (水)

加熱料理用の国産トマト

北海道は「夏秋トマト」の産地で、大玉の桃太郎やミニトマトのアイコなどの栽培が盛んです(「冬春トマト」と「夏秋トマト」)。しかし、我が家が待ち遠しいのは地元産の(というよりもご近所農家の栽培した)加熱料理用トマト。サンマルツァーノ・タイプの「オスカー」や「なつのこま」。これら(特にオスカー)を使った自家製トマトソースの味は、けっこう病みつきになります(「地元の加工用トマトで、トマトソース」)。

我が国の家庭の人気食材は、魚だとマグロ、野菜ではトマト、果物はバナナ。この3つの食材の人気は安定しています(総務省家計支出調査)。野菜では人気のトマトですが、その消費量を世界と比べてみると、意外なことに、非常に少ないことがわかります。

日本の1人当たりの年間トマト消費量は9㎏で、これは世界の平均の半分程度。おそらく世界でいちばんトマト料理がすきに違いないイタリアと比べると、イタリア人は1人当たり1年間で、日本人の約7倍のトマトを食べています(2007年、FAO)。

日本では、トマト収穫量の94%が生食用トマト、加工用トマトはわずかに6%(2009年、農水省統計)。つまり、日本では、トマトはサラダやジュースといった形での消費がほとんどで、もちろん生食用トマトがトマトピューレに加工されたりもしていますが、本格的な加熱料理の素材としてトマトが利用される機会は、イタリア料理などが好きな人の家庭料理か、あるいはイタリア料理店でのメニューに限定されています。

そういう事情で、調理用・加熱料理用タイプのトマトは日本ではほとんど生産されていません。そういうトマトが必要な人たちは、おもにイタリアやトルコから輸入されたホールトマト(トマトを丸ごと湯むきしたもの)の缶詰を利用することになります。

だから、国産トマトの国内消費量をもっと増やしたいと考えているトマト農家やトマト販売推進グループは「すずこま」という名前の調理用トマトの生産とプロモーションに力を入れ始めているようです。(関連記事は「日本の調理用トマトと新品種」

Photo

「すずこま」。写真はJA全農のプレスリリース記事 (2013/02/19) からお借りしました。

輸入ホールトマトの置き換え需要というのは味と値段が折り合えばわかりやすいターゲットですが、それ以外に需要を喚起しようと思えば、イタリア料理以外の家庭向き加熱料理というアプリケーションの提示、国産の調理用・加熱料理用トマトの安定生産と市場認知が前提になります。

もっともそれがうまくいったとしても、例えばイタリア人は日本人の7倍もトマトを食べているのでそれに近い数字を想定するのは無理がありそうです。トマトは食材であると同時に調味料です。ドライトマトといった保存食材と調味料の中間的な応用もあります。日本で調味料と云えば、醤油です。醤油は大豆ベースの調理料です。両方の味の微妙に重なり合うあたりが新規需要拡大の思案のしどころかもしれません。

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