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2013年3月 5日 (火)

植物の種(タネ)の流通管理

植物の種(タネ)の流通管理には2つのタイプがあります。1つは法的な制度を利用すること、もう1つはマーケティング的な手段を活用することです。

植物のタネは、書物や映画と同じで著作権の対象物です。正確には、たとえば日本では、植物の新品種はその育成者権(知的財産権)が種苗法で25年間(ないし30年間)保護されています。現在スーパーなどで売られている野菜はほとんどがF1交配種ですが、そのタネの知的財産権は、種苗業者が登録をし忘れているということはまず考えられないので、種苗法で守られていることになります。

新たに開発された野菜や穀物の保護という意味では当然にそういう法的措置が必要ですが、グローバルな視座で考えると、それがGM(遺伝子組み換え)作物の得意な巨大アグリビジネスや大きな種苗会社に有利に働いて、各地の固定種・従来種の野菜や穀物の衰退につながる可能性も高い。

たとえば、米国の「食品安全近代化法案(H.R.2751 FDA Food safety Modernization Act)) というFDA (U.S. Food and Drug Administration) の機能強化・権限強化を目的とする法案の骨子を眺めてみると、明示的な書き方はされていないのですが、つまり、米国が農産物を外国から輸入する場合、その農産物の品種(タネ)は米国で承認されたものに限るとは書いていないし、また米国内に話を限ると、固定種や従来種のタネ(つまり、自前のタネ)を使った地産地消ビジネスを地理的に狭い範囲で行う小規模農家やそうした食材を加工販売する小さな食品会社は当該法案の適用対象外となってはいるのですが、運用の仕方によっては流通品種を米国アグリビジネス開発のものへと強引に誘導していくことは可能かもしれません。

マーケティング的な流通管理には、たとえば、次のようなものがあります。

農産物のブランド価値と品質を維持し他の品種と差別化するために、そのタネの流通を管理することはあたり前の農業ビジネス戦略です。マーケティング的なタネの流通管理とは、タネの提供先(販売先)を、特定地域内の生産者に限定すること、また、その地域のなかでも有機栽培や特別栽培(減農薬栽培)に同意してくれる農家や農業法人に絞り込むこと、あるいは、ブランド認知を広げるためにそうした条件に賛同してくれる生産パートナーを別の地域に開拓することなど指します。

新潟の「コシヒカリ(コシヒカリBL)」や山形の「つや姫」、北海道の「ゆめぴりか」などはそういう方法(サブセットを含む)を採用しています。

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