たんぽぽ
ずっと以前、たしか「語源で覚える英単語」というような新書版の本で英語の単語などを覚えようとしていた頃、「たんぽぽ」はdandelion(発音は頭にアクセントが来て、ダンダライオン)で、その原意というか語源はフランス語で「ライオンの歯」(dent-de-lion)。ぎざぎざした葉っぱがライオンの歯を連想させるからだそうです。違和感があったので今でもよく覚えています。だから、英語だと歯に関した単語にはdent が含まれるdental や dentist などがあります。
言葉の響きとしては「ダンダライオン」よりも「たんぽぽ」の方がよほど上等だと当時は思い、その思いは今でも変わりません。調べてみると、もうすっかり忘れてしまったドイツ語でも「たんぽぽ」は Loewenzahn ( oeはoウムラウト) で、英語だと lion’s tooth という意味です。英・独・仏語に関する限り、ヨーロッパでは「たんぽぽ」は優雅な響きの単語ではなさそうです。「たんぽぽをめでる」が、「ライオンの歯をめでる」となり、どうも感じが出ない。
2種類のたんぽぽが身近にあるのは以前から気づいていました。たんぽぽについてのある記事がきっかけでそのことを鮮明に思い出したというか、なるほどそういうことだったのかと納得しました。在来種と外来種。
ひとつは、白っぽい花のたんぽぽで、背丈は低い。春から夏にかけて近所の遊歩道や道端に、いっぱいというかそれなりの本数で咲くので、週末の夕方の散歩などでその姿と風情を楽しめます。(【註】植物にとって札幌の春はゴールデンウィークから始まります。今年の春は、先週も雪がちらついたので、遅いかもしれません。涼しい夏は春の延長みたいなものです。)
もう一つは、花が黄色くて背が高い。実にいろいろなところで咲いています。夏の稚内(わっかない)とか稚内の東の猿払(さるふつ;ホタテガイ産地として有名)とか北海道の最北部でもいっぱいに(黄色い方のいっぱいは、白いたんぽぽのいっぱいと違って、わーというくらいのいっぱい)野原に咲いているのを見かけました。
白くて背の低いのが在来種だそうです。在来種は季節限定。黄色くて背が高いのが外来種。外来種は繁殖力が旺盛で花の時期も長い。他にも見分け方があるようですが、それらは僕の関心の外です。「たんぽぽ」という名前と「ライオンの歯」という名前の違いが、花の風情の違いにも現れているようです。
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