国産小麦の「産地・品種」別の価格差
コメは、取引量の多いものについては、農林水産省から毎月、例えば今なら「平成24年産米の相対取引価格(平成25年3月)」という資料が公表されているので、玄米60㎏あたりの最新の「出荷業者と卸売業者等の主食用の相対取引契約相対取引価格」(一般用語でいえば一次卸売り価格)がわかります。
平成25年3月の全銘柄平均価格は16,534円(玄米60㎏)、いちばん高いのは「魚沼・コシヒカリ」で 23,908円、一番安いのは「青森・まっしぐら」で15,446円。全銘柄平均価格を100とすると、「魚沼・コシヒカリ」の相対値は145、「青森・まっしぐら」のそれは93となり結構な開きがあります。
コメの一次卸売り価格に相当するような国産小麦の取引価格は、一定量以上の取引が見込まれるものに関してその指標となるのが、播種(はしゅ:種まき)前入札の平均落札価格です(農水省資料)。小麦はコメとは違いその単位は1トンで、全銘柄の落札加重平均は1トンあたり 49,333円。一番高いのが「北海道・春よ恋」で97、815円、一番安いのが「茨城・さとのそら」で30、546円。こちらも平均落札価格を100とすると、「春よ恋」は198、「さとのそら」は62。(「北海道・ハルユタカ」は日本で一番おいしい強力粉ですが、生産量・取引量が小さいのでこういう場所には出てこない。)
国産小麦の平均価格を(1トンではなく)60㎏あたりで見ると、2,960円。コメが16、534円なので価格差が分かります。
ちなみに、「タイ米」などに代表されるコメの国際指標価格は為替レートの変動もありますが(1ドル=100円くらいだと)、60㎏換算で約3,100円から3,300円。コメの種類(インディカ米、ジャポニカ米短粒種)や食味(パサパサ、もっちりとして甘い)を考慮しなければ、国際価格は国内価格の5分の1です。このブログのタイトルの『高いお米、安いご飯』のうちの『高いお米』はこの価格差に由来します。『安いご飯』の方は、自分でご飯を炊けばどんぶり飯一杯の値段は30円から40円、缶コーヒーやカップ麺やその他のジャンクフードの値段と比べてとても『安い』ので『安いご飯』です。
さて、国産小麦の取引価格(播種前入札の落札価格)の『相対値』(全銘柄の落札加重平均を100とした場合の相対値)を「産地・品種」別に並べると以下の棒グラフのようになります。
我が家でパンやパスタや麺の料理に使ったことのあるのは、「北海道・春よ恋」「北海道・ゆめちから」「北海道・キタノカオリ」「北海道・きたほなみ」。それから、ここには登場しない「北海道のハルユタカ」。北海道以外では、「さぬきの夢2009」の前の世代の「香川・さぬきの夢2000」です。
北海道の小麦の種類と用途は以下の通りです。
(農水省などの資料を参考にして作成)
参考までに、2011年産米の「相対取引価格」です(ただし、2011年10月現在)。最新のものではありませんが、コメの「産地・銘柄」別価格の相対位置を参照するには役に立ちます。
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コメント
とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます!!
投稿: 履歴書の住所 | 2013年6月15日 (土) 12時14分