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2013年5月 8日 (水)

コメの主要輸出国と輸出量:この数年間の変化

下のようなグラフ(主要コメ生産国のコメ輸出量状況)が目に入ると、インドと中国が急にお互いにそっぽを向き始めたように見えるので、世界のコメ市場に何か異変でも起きているのかと心配になりますが、タイやインドにおける政府の穀物政策の変更が引き起こした「想定内の変化」のようです。もっとも当該国がその変化を想定内の変化だと認識しているかどうかは知りませんが、マクロではそういうことのようです。

_20002012

【註】日本農業新聞が米国農務省 (USDA) の農産物統計をもとに作成したグラフ。
2013年4月27日号に掲載されていたものを引用。この数字が最新のもの。

グラフを見ると、従来からの流れに沿って推移しているのがベトナムと中国。ベトナムは従来からの流れに乗って着実に輸出量が増加し、中国も従来からの流れに乗って確実に輸出量が減少しています。一方、流れが変わったのがタイとインド。インドは、中国とともに、コメの生産量がとても大きいのでちょっとした政策変更が、生産量に比べて取引規模が大きいとは言えないコメ輸出入市場の景色を変えてしまいます。

2010年の1月初旬に「お米の輸出」というブログ記事を書きましたが、その中に2008年のFAO(国連食料農業機関)やUSDA(米国農務省)の農産物統計などを参照しながら、主要コメ生産国のコメ輸出について述べた一節があります。そこから関連部分を引用しながら(『・・・』部分)、そのすぐ下に( ⇒ )、2012年のコメの生産量と輸出量の状況をUSDA(米国農務省)の統計データを参考にまとめてみます(【・・・】部分)。この数年の変化(ないし変化していない部分の光景)がわかります。

◆『圧倒的に米の生産量が多いのは、中国、続いてインドです。この2国で世界の米生産量の53%程度を生み出します。』(2008年) 

⇒ 【中国の生産量は、世界の生産量の30.6%。インドの生産量は21.6%。合わせて、52.2%。この2国のコメ生産量はあいかわらず多い。】(2012年)

⇒ 【ついでに、日本のコメ生産量は、この統計によれば776万トンで、世界の生産量の1.66%です。この数字は農水省からUSDAに報告されたものをそのまま使っているはずです。】(2012年)

◆『圧倒的に生産量の多い中国とインドですが、輸出という点では、中国とインドは、現在は「わずかな」米の輸出国で、輸出比率は生産量に対してそれぞれ、1.0%と2.6%です。中国とインドは経済発展による都市化(農地の減少や高級品指向)と人口増加で、まもなく米の輸入国になると予想されます。』(2008年) 

⇒ 【中国のコメ輸出比率は0.2%、インドは増加して8.0%。『ともにまもなくコメの輸入国になると予想されます』というのはインドに関しては、間違いでした。】(2012年)

◆『工業製品と違って、食べ物は保存が利かないということから伝統的に自国消費が基本なので、食べ物の貿易量は多くありません。比較的保存の利きやすい穀物でも、小麦の貿易比率が18.4%、トウモロコシは10.4%、そしてお米は比率が一番少なくて6.7%です。主な輸出国はアメリカを除きほとんどがタイ・ベトナム・パキスタンなどのアジア諸国です。輸入国は、少量ずつ輸入する国がばらついた状態ですが、フィリピンやバングラデシュやマレーシアのアジア諸国と、イラン・サウジアラビア・イラクのような中近東の国が目立ちます。つまり、お米は自国で作って自国で食べる傾向の強い穀物、あるいは、アジアという範囲内で地産地消される度合いの強い穀物だといえます。』(2008年)

⇒ 【コメの貿易比率は8.08%と少し増えました。コメ主要輸出国は、輸出量の多い順に並べると、インド、タイ、ベトナム、米国、パキスタン。非アジア国は、米国だけ。】(2012年)

◆『お米に関して、輸出指向が強くて輸出余力の大きい国はタイ・ベトナム・パキスタンおよびアメリカの4カ国で、その輸出量合計は世界のお米総生産量の5.1%です。ちなみにタイ・パキスタン・アメリカは生産量の約半分を外国に売り、ベトナムは2割と少しを輸出に振り向けています。』(2008年)

⇒ 【タイの輸出比率は40%で約半分という2008年の割合から10ポイントほど減少、パキスタンは55%、米国は54%で約半分と少しという比率を維持、ベトナムの輸出比率は27%で2割と少しから増加。】(2012年)

なお、日本農業新聞は最近の状況(グラフ参照)の背景を以下のように分析しています。

(1)世界1のコメ輸出国だったタイが3位に転落したのは、タイ政府が2011年にコメを高値で買い取り農家の所得を下支えする仕組みを導入し、そのために国内価格が高騰して輸出競争力を失ったため。

(2)インドが1位になったのは、コメの輸出規制の解除で、国内在庫を輸出向けに放出したため。

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