古いタイプの小麦、古いタイプのお米

小麦も米(稲)も、ともに、時代の味と収量(つまり生産性)を求めて「品種改良(雑種交配)」がすすみ、大雑把にいえば20世紀の後半から、それまでとは種類が変わってしまったといえます。僕たちが、現在、米屋や小麦粉小売店、スーパーのコメ売り場やパスタ売場、料理屋やレストラン、それから街のパン屋などで出会う小麦やコメはほとんどが新しいタイプです。
米(コメ)の場合は、その新しいタイプの特徴をひとことで云えば、甘くてもちもちとした食感の「もち米」風味の「うるち米」で、この系列に「コシヒカリ」、「あきたこまち」、「ひとめぼれ」それから「ミルキークイーン」などがあります。最近では「ゆめぴりか」や「つや姫」が加わりました。
古いタイプを食べてみました。
小麦の方は「カムート(KAMUT)小麦」で、食材はその粗挽き粉をスパゲティーにしたもの。米の方は「徳ばん」という銘柄の三部搗き(つき)。なお「徳ばん」は「徳島晩稲(ばんとう)」の略だそうです。(【蛇足的な註】:晩は晩成、つまり収穫時期が遅い品種のこと)
味わいを、「徳ばん」(徳島)の場合は「新潟こしひかり」(新潟)と、「カムート小麦のスパゲティー」(イタリア産)は「デュラム小麦のスパゲティー」(イタリア産)と比べます。
英語の基本構文練習で、<A is to B what C is to D. (AとBの関係はCとDの関係と同じ)>というのがありますが、古いタイプと新しいタイプのもちもち感、さっぱり度、素材の甘さといった食味の基本パラメーターを総合すると、古いタイプは交配によって作り込まれた甘さや粘りやもちもち感が控えめという意味で、おかしいくらいに違和感なく、<「徳ばんのご飯」 is to 「コシヒカリのご飯」 what 「カムート小麦のスパゲティー」 is to 「デュラム小麦のスパゲティー」>となります。
写真は、ステンレスボールで研ぐ直前の「徳ばん」(三分搗き)と、黒いのは「弥生紫」という名の野生種の黒米。
関連記事は「『甘口が食卓を席巻』: お米の場合」、「野生種の黒米」、「交配種の小麦や遺伝子組み換え品種の小麦と血糖指数(GI値)」。
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