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2013年9月19日 (木)

お米が甘くなって、お米の消費量が低下?

ここ二か月ほど、ご飯に古いタイプのお米を食べ続けていました。久しぶりに新潟のコシヒカリを炊いたところ、甘くて食べられない。より正確にいうと、コシヒカリの持つ甘い粘りが邪魔をして、いつもの量のご飯を食べるのにけっこう苦労したということです。

仮説を立てます。「ある時からお米が甘くなって、それ以降、お米の消費量が低下した。」少し表現を変えると「コシヒカリが登場したので、お米の消費量が低下した。」ミクロな経験を拡大し一般化して、それらしき理屈に仕立て上げるというのは珍しくない光景ですが、この仮説もその類かもしれません。ひょっとして、そうでないかもしれない。

コシヒカリが人気を博し始めたのが1970年代の後半からですが、コシヒカリは新しいタイプの米の走りです。この新しいタイプの米の特徴をひとことで云えば、甘くてもちもちとした食感の、「もち米」風味を持ち込んだ「うるち米」。この系列に「あきたこまち」、「ひとめぼれ」それから「ミルキークイーン」などがあります。最近では「ゆめぴりか」や「つや姫」も加わりました。

「ゆめぴりか」の粘りがあってさっぱりとした風味も、「コシヒカリ」の豊満な甘さも、せんじ詰めれば、「『もち米』の粘りと甘さを上手に取り入れた『うるち米』という土俵」の中での違い(食味や色つやの差別化)ということかもしれません。

世の中には大福餅をいくら食べても飽きることを知らないような方もいらっしゃるかもすれませんが、一般には、餅やもち米は甘くて粘りが強いのでたくさんは食べられない

「食料需給表」(農水省)によれば、日本での米と小麦のひとりあたり1年間の純供給量(輸入を含む)は以下のような具合に減少しています。ここでは、純供給量 = 消費量 と考えてさしつかえないので、そうすると、日本における米と小麦のひとりあたりの年間消費量は、この50年で以下のような感じで減っています。

Photo

米60㎏に対して小麦は30㎏というのが最近の米と小麦のひとりあたり年間消費量の大雑把な対比ですが、時間をさかのぼってみると、米の消費量は1965年の112㎏から最近の60㎏を下回るレベルまで減少しました。60㎏台に回復する見込みは薄いようです。一方、小麦の消費量は、ここ数十年は30㎏を少々超えるあたりで水平に推移しています。小麦の消費量が、パンやピザ、ラーメンやうどんやお好み焼き、ケーキやクッキーなどのお菓子類の需要増加によって特別に増えたというわけではなさそうです。

要は、平凡にまとめると、主要穀類の消費量が総体としてこの数十年で減少してきた。小麦の消費量はほぼ一定なので、肉類の消費量が増えた分だけ米の消費が減った、ということになります。

しかし、前述のようにコシヒカリの人気が急上昇してきたのが1970年代の後半からで、コシヒカリやコシヒカリと似た特徴を持つ米の人気は現在まで続いています。だから、「魚・野菜・漬物・味噌汁」から「肉類・牛乳」へと変化した日本人の味覚の変化(換言すれば、甘い味、わかりやすい味への傾斜)がコシヒカリのもち米的な甘さや粘りを求めたと云えるし、同時にその甘さと粘りが朝餉・夕餉ごとのご飯(お米)の消費量を抑え、結果として徐々に確実に日本人のお米の消費量を減らしてきたとも云えそうです。

関連記事は「『甘口が食卓を席巻』: お米の場合」と「古いタイプの小麦、古いタイプのお米」。

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