Is That All There Is? こんなもんなの?

「ペギー・リー」の歌った曲に ” Is That All There Is?” というのがあります。1969年の作品です。しかし、最近の日本では「由紀さおり」の「1969」というアルバムに含まれている” Is That All There Is?”というタイトルの歌と云った方が話が通りやすい。アルバムの写真だと、彼女も若い時には必要でなかった種類の眼鏡をかける年齢になったようなので、この曲は歌いやすかったのかもしれません。
人は中年を過ぎると、世間的には、換言すれば、職業上のアイデンティティや自我の充足という点では満足していても、“Is that all there is?” 「(人生は)たったこれだけ?」 という気分にとらわれるようになります。これは、ハイテク業界のビジネスパースンでも生化学のエンジニアでも税理士でも医者でも野菜農家でも漁師でも工芸職人でも、あるいは企業経営者や政治家や歌手でも、同じです。以下は、その歌の最後の部分。まず元の歌詞。原文に続いて「高いお米、安いご飯」の直訳風の訳。そのあとの下線を引いた、とてもこなれているプロらしい訳詩はアルバム「1969」からお借りしました。
Is that all there is? Is that all there is?
If that's all there is my friends, then let's keep dancing
Let's break out the booze and have a ball
If that's all there is
たったこれだけ? たったこれだけ?
たったそれだけのことなら、さあ踊り続けましょう
飲んで騒いで、うんと楽しもうじゃない
たったそれだけのことなら
こんなもんなの? そんなもんよ
さあ 夜明けまで グラス持って
それだけのことよ 乾杯
踊りましょう
以上を、絵にしてみます。
「たった、これだけ?」の訪れは誰にも同じなので、「夜明けまでグラス持って、乾杯、それだけのことよ」で酔っぱらってしまうか、酔わずに(酔ってもいいのですが)、そのときまではその存在をとくには気にしなかった、あるいは接触をためらっていた「基底的なもの」と再接触して、そこから何かをもらうか、それと再び共鳴してみるか、さてどちらにするかな、というような雰囲気を表わしたつもりの絵です。
歌詞に関して勝手な感想を述べれば、オリジナルの「羽目をはずして いいじゃないの 楽しければ」風よりも、「いいじゃないの」という底のトーンは同じですが、アルバム訳詩の「夜明けまで グラス持って 乾杯」の静かな動きの方が好みです。
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