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2014年2月13日 (木)

六次化を進める農家の農産物や商品が必ずしも魅力的だと云うわけではない

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日本の農業がだらしないのは農家にビジネスマインドや経営者マインドが足りないからだ、と主張するのが好きな人たちがいらっしゃいます。そういう人たちのお勧めは、たいていは、農業の六次産業化です。一次産業(農産物を生産する)と二次産業(加工食品などを製造する)と三次産業(商品を販売する)のそれぞれの要素が組み合わさったような農業経営・農家経営にすると 1+2+3 ないし 1*2*3 で 6 になるので六次化ということになります。

六次化農家のつくる加工食品をとくに魅力的だとも思いません。雪に埋もれた農閑期は、翌年の生産計画・販売計画で忙しいとしても、それ以外にボーっとしていても仕方ないので外販用の漬物や味噌を作って追加収入というのはよくわかります。人を雇っている場合には仕事を用意しないといけないという事情もある。しかし、瓶詰などを手掛けるような、そんな余裕があったら農産物そのものの生産販売という本業にもっと力を入れた方がいいのではないかと心配になるような場合もあります。もっと魅力的な、もっとおいしい農産物を生産することをここでは農家の本業と呼んでいます。

我が家では味噌や梅干しを作るので、味の比較のためにある地域のある六次化農家が加工食品として外販(農家直販)している味噌を買ったことがあります。伝統的な手作りの味わいの味噌なので、スーパーなどで売っている大メーカーの味噌でなくそういう種類の味噌を好む知り合いにはその農家の味噌をお勧めしています。しかし、味噌汁や酢味噌や味噌煮などで食べ較べてみたところ、我が家の手前味噌の方が旨かった。味噌屋ではないので熟成期間を長くできないのでしょう。回転を押さえて味噌を寝かせるとお金がかかる

【註】北海道の農家やJAが道の駅などで直販するために作る味噌だと、二月上旬に仕込み、八月に切り返し(天地返し)、十一月から出荷というのが一般的のようです。熟成期間は、したがって九か月。

ある農家が六次産業化する(栽培する・加工食品を作る・それらを販売する、栽培したものを自営レストランで客に提供するなど・・)と云うこととその農家にビジネスセンスがあるということとは別のことです。両者に直接の相関はありません。六次化に乗り出すのですから、ビジネスマインドはあるのでしょうが。

たとえてみれば、機械部品や電子部品や素材を開発・製造・販売する企業が(その部品や素材をつかった)製品の製造販売という下流域に手を広げても、そうしない同業者よりも必ずしもビジネスマインドが高い、ビジネスが上手い、利益率や利益幅が大きいとは云えないのと同じことです。

野菜や穀物といった素材生産専門で、つまり六次化なんぞに興味のない農家で、ビジネスマインドとビジネスセンスに富んだ人たちはたくさんいます。たとえば販路の拡大や販路への浸透という意味でのチャネル向け販促は、食材改良や食材開発にも関係してくるので、簡単ではないし、いそがしい。エンドユーザである消費者への訴求点、エンドユーザの手前に位置するレストランのシェフや料亭の料理人への訴求点、それから味のわかった流通チェーンのバイヤーへのプロモーション・メッセージは同じではないし、相手から同じ種類の要求や要望が返ってくるわけではありません。

加工食品を作っている農家の農産物食材がそうでない農家のものよりもおいしい理由でもあるのなら六次化にも意味があるのでしょうが、「まかない」や「自家消費用」は別にして正の相関関係があるようには僕には思えない。

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