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2014年4月23日 (水)

「食糧は力」とWFP(国連世界食糧計画)に関して

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以下は、WFP(国連世界食糧計画)の事務局長だったキャサリン・ベルティーニが1995年に、北京で、主に女性の聴衆に向けて行った演説の一部です。

「WFPは、食糧支援が、人々の行動を変えるのにどれくらい価値のある道具なのかを認識しています。非常に多くのもっと貧しい国では、食糧はお金であり、食糧は力です。とてもうまくいったいくつかの食糧支援プロジェクトでは、私たちは、少女たちを学校に通わせてもらうために、教育といったものを信じていないその家族に文字通りにお金を払いました。タダでもらえるわずかの料理油が持つ意味は大きいのです。5リットルの料理油をあげると、その見返りに、少女は30日間通学させてもらえます。そうです、これは買収です。私たちはそのことで言い訳はしません。私たちは行動を変えているのです、少女に希望と機会を与えているのです、そして、そのことが重要なのです。」

参考までにその原文をつけておきます。

At the World Food Programme we have recognized what a valuable tool food aid can be in changing behaviour. In so many poorer countries food is money, food is power. In some of our most successful food aid projects, we literally pay families who do not believe in educating their daughters to send those girls to school. A little free cooking oil can go a long way. We trade a 5 litre can of oil for 30 days of school attendance by a young girl. Yes, it's bribery. We don't apologize for that. We are changing behaviour, we are giving hope and opportunity to young girls -and that is all that counts.

ここでは、「少女の一か月の学校教育」と「5リットルの調理油」が「バーター貿易」されるという美しい話になっていて、このスピーチだけを聞くと「食べものはお金」「食べものは力」といってもレトリックの趣きが強いのですが、ここで鍵となっている単語を、グローバルに展開するアグリビジネスと、それに対峙する貧しい国・途上国の政府や農業・農民という文脈で、もっと一般的なものに、ナオミ・クラインの「ショック・ドクトリン」風の味付けでそれらしく置き換えてみると、以下のようになります。

「国連の食糧関連機関と複数の通貨・金融関連機関が一緒になり、財政危機に陥った途上国に〈構造調整プログラム〉を強烈に売り込んだ。この〈プログラム〉の目標は、その国を財政危機から救済する替わりに、当該国は教育や医療に対する財政支出を縮小し、国内環境規制を緩め、遺伝子組み換え作物の導入に合意し、農作物生産は輸出換金力のある単一作物に集中して外貨を獲得することだった。その結果、欧米の巨大アグリビジネスと一部の富裕農家がその国の農業を支配し、地元の農民たちは自分たち本来の農産物とその農産物を生産するための土地を失ってしまった。農民たちは、巨大アグリビジネスの非正規労働力となった。」

WFPは途上国の食糧支援のために、米国から遺伝子組み換え作物を持ち込むといった行動も得意なので(米国の農業ビジネスはその分潤い、当該途上国はお金を払って輸入した遺伝子組み換え作物が国内で蔓延していく)、こういう置き換えもとりたてて不自然ではありません。

なぜ、こんな妙な作業をしているかというと、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の非常に政治的な動きを拝見して以降、国連という名前の帽子をかぶったグループ(たとえば、国連世界食糧計画<WFP>、国連食糧農業機関<FAO>、世界保健機構<WHO>などは、眉にいくぶんかの唾をつけながら、その動きを見た方が安全かもしれないと思い始めたからです。

世界銀行やIMFが財政危機に陥った途上国に「構造調整プログラム」を売り込み、それがグローバルビジネスに利得をもたらすのは、いわば、シナリオ作成者のシナリオ通りの光景なので、好き嫌いを別にすれば、驚かないのですが(ダニ・ロドリク著「グローバリゼーション・パラドックス」と、下村治著「日本は悪くない(悪いのはアメリカだ)」:グローバリゼーションと国民経済」 )、「国連」の活動がそれと二重写しになる場合もあります。

たとえば、「トップクラスの気候専門家ということになっている十代の悪ガキ」の後半部分に出てくる「東京電力福島第一原発事故の健康への影響を分析した国連科学委員会の報告書」などは、そういう例のひとつかもしれません。

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