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2014年5月21日 (水)

「大本営発表」を求めて午前六時の急ぎ足

大本営(だいほんえい)発表とはたとえば1942年6月の以下のような新聞記事のことを云います。

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【蛇足的な註】 大本営とは「戦時または事変の際に設置された、天皇に直属する最高の統帥機関。1893年(明治26年)に制定。第二次大戦後廃止」(広辞苑)。

たいていの戦後生まれにとって、大本営発表が日常であった当時の国の雰囲気や国民の息遣いというのは、当時のこういう新聞記事のコピーやニュース映像をみても、肌に伝わってくるような細部までは実感できません。

丸山真男の「軍国支配者の精神形態」「超国家主義の論理と心理」といった論文、あるいは井上ひさしの小説(「東京セブンローズ」)は、「大本営発表」を徐々になし崩し的に受け入れるようになっていったであろう日々の市民感覚・生活感覚に読者を引っ張っていってくれますが、僕に関しては、近いところまででした。

ところが、1942年から72年も経過した2014年に、「大本営発表」の雰囲気を、政府や国民の息遣いを含めて、実感できることになりました。(その傾向は以前から強くあったのですが、それについてはここでは触れません。関連記事は「気になる本を本棚から取り出して(「自由からの逃走」)」、「憲法雑感」)

その「大本営発表」を求めて昨日の午前六時に急ぎ足で散歩しました。五月下旬の札幌の早朝は大気がひんやりと乾いていて気持ちの良いものです。犬と早朝の散策を楽しんでいる人たちと出会います。台所の前を通り過ぎる家からは朝食の焼き魚の香りが漂いでてきます。「大本営発表を求めて」と書きましたが、正確には、「『大本営発表にはなじまないもの』を求めて」二軒のコンビニをハシゴしたという意味です。

五時半の急ぎ足でもいいのですが、あまり早朝だとコンビニへの最初の搬入便の到着前になる恐れがあるので時間を合わせました。一軒目は、地元展開のコンビニでしたが、目的のものが見あたりません。「有料ゴミ袋」をいくつか手に持ち、レジで当該商品の入荷状況を調べてもらいました。「今日はまだ入荷していないようです。」「東京だと昨日の発売、札幌は今日の発売になると思うのですが、確かですか?」「昨日も入荷していませんね、すみません。」

次はけっこう離れたところにあるナショナルブランドのコンビニに向かいます。けっこう離れていると云ってもコンビニなので500~600メートルくらいの距離です。捜しものは、棚の一番手前、「本日発売」の札がかかった場所に立てられていました。

目的の商品とは「美味しんぼ」(という料理漫画)が短期連載された漫画週刊誌のことです。今朝買い求めたのが三冊目。一冊目は、通販サイトで他のものとの抱き合わせ販売で購入。二冊目は所用で出かけたオフィス街の高層ビル一階の、今日とは別のナショナルブランドのコンビニで手に入れました。

この漫画をめぐっては、その内容が福島原発爆発の放射性物質による内部被曝に関することだったので、「under control」という「大本営発表」を繰り返す人たち、「大本営発表にすり寄る人たち」、「実体験に基づいて大本営発表と同じ見解の人たち」、そして「実体験に基づき、大本営発表の内容とは相反する、自分たちにとっての事実を求める人たち」が登場し、その結果、村八分などといういささか古い言葉が似合う状況も垣間見ることもできました。

情報の流通という意味では2014年は、1942年という太平洋戦争の最中よりもはるかに自由なはずですが(当時は「特高(特別高等警察)」などという恐ろしい存在の活動もありました)、現在の大きな新聞の新聞記事やテレビ局のニュース報道は、最初に引用した1942年6月の大新聞社の新聞記事の内容とその本質はたいして変わっていないようです。誰かが当時とそっくりだと云っても、その意見や解釈にとくには反対しません。一方、この漫画週刊誌は、一般のマスメディアとは違って、自分の見解をお持ちだし考え方のバランスも取れているようです。

三冊の漫画週刊誌は、「2014年の大本営発表の実感記念」に保存しておくつもりです。

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