ロシアの保有する米国債残高の推移
3月25日の「消費税増税と米国債」の続きです。その記事で、ロシアが、自国で保有している米国の国債を、米国との軋轢の結果、大量に売りぬいたかもしれない、そういうウワサがあると書きましたが、その続きです。資料の数字は正しいと考えて、同一資料でその推移を確認します。
「消費税増税と米国債」から関連部分を引用します(以下の『・・・』が引用部分)。
『ロシアが今回のウクライナ問題・クリミア問題に関する米国の経済制裁(資産凍結など)を避けるために1000億ドル(10兆円)規模の米国債を、市場を混乱させずに、売り抜けたらしい。それが事実なら(僕には現在は確かめるすべがないが)、前もって周到にそういう準備をしていたことになる。・・・・略・・・・このレポートによれば、2014年1月末現在のロシアによる米国債の保有高は1318億ドル(1ドル100円で約13兆円)で、世界で10番目くらいの保有高です。なお、その1年前、つまり2013年1月の保有高は1644億ドルでした。この1年で3兆円ほど少なくなっている。』
『2014年5月中旬のこのレポートが楽しみです。レポート作成国の数字操作という恣意が入らないという前提で、ロシアの保有高がどう変化しているか。』
1月の保有残高1,318億ドル(1ドル=100円換算で13兆1800億円)が、3月には1,004億ドル(同様に10兆400億円)へと、314億ドル(3兆1400億円)減少しています。2か月で24%の減少です。
この数字は微妙な数字で、まず、対象がいろいろと「タッチ―な米国債」なので、3兆円は、米国債取引市場にとっては、まあ、米国債保有主要国の日常生活規模の売却額に過ぎなくて、下手をすると為替市場を大きく混乱させるかもしれない10兆円規模の売り抜けではなかった。しかし、10兆円規模の売り抜けはできなかったとしても、3兆円は、ロシアが米国債から徐々に離れていくためにはそれなりの意味のある売却額であったとも考えられます。
既述のように2013年1月のロシアの米国債保有残高は1,644億ドルでしたが、これが1年後の2014年1月には1,318億ドル、その2か月後の2014年3月には1,004億ドルへと、この1年3か月で640億ドル(1ドル=100円だと6兆4000億円)減少しました。比率で云えば39%の減少です。
日本の2014年5月15日現在の米国債保有高は120兆円です。この1年3か月の推移はロシアとは対照的で、逓増傾向が、それ以前と同様に、続いています。中国の米国債保有残高は増えもせず減りもせず、一定水準を保っている。
各国政府の米国に対するスタンスがこういうところにも如実に現れています。
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