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2014年6月25日 (水)

高オレイン酸タイプの「ひまわり油」のことなど

スナック菓子類まで含めて加工食品が廉価で大量流通している国では、n-6系の多価不飽和脂肪酸であるところのリノール酸が、加工食品に大量に使われている大豆油やトウモロコシ油を通して、人々に過剰に摂取されているようです。

リノール酸はどんどんと加工食品経由で体に入ってきますが、一方、n-3系の多価不飽和脂肪酸であるα-リノレン酸やDHA/EPAなどの摂取には忙しすぎるのか無関心な人が多い。その結果、両者のバランスがn-6系が多くなりすぎるという方向で崩れると、だんだんと健康が蝕まれていくというのが、最近の合意事項だろうと思います。ハンバーガーショップでハンバーガーとフライドポテトを注文し、マヨネーズをかけたインスタント焼きそばを頬張り、魚は嫌いだから食べない、缶コーヒーを一日に何本も飲むというのが、それを戯画化した若い人の食事風景ですが、そんな食の風景が健康にいいとはたいていの人は思わない。

マグロ・イワシ・サバ・アジ・サンマなどDHA/EPAの豊富な背中の青い魚は好きな人がそれなりに多いとしても、紫蘇油(エゴマ油)・亜麻仁油(フラックス油)といったα-リノレン酸の豊かなn-3系の植物油は、味に癖があるので好きな人は少ない。値段も高い。食べて嫌いというよりも食わず嫌いに近いのかもしれません。n-3系の油は酸化されやすいので、サラダドレッシングには向いても炒め物には向いていない。それも需要の少ない原因のひとつになっていると思われます。

リノール酸やα-リノレン酸とは性質の違った脂肪酸にオレイン酸と云う一価不飽和脂肪酸があり、この脂肪酸をもった代表的な食物油がオリーブ油で、「オリーブ」と「オイル」と「オレイン酸 (Oleic Acid)」 は同義語みたいなものです。オリーブ油は比較的酸化されにくいので、サラダドレッシングにも加熱料理にも向いています。応用範囲の広い植物油です。

だから、大豆油や大豆油のいっぱい入った加工食品やヨーグルトや市販のサラダドレッシングをひかえめにして、青魚をできるだけ食べる、しかし、亜麻仁油や紫蘇油は癖が強いし高価なので遠慮し、そのかわり汎用性の高いオリーブ油をいろいろと料理に使うというのが、簡略化しすぎていますが、脂肪酸全体のバランスをとるための穏当な方向なのかもしれません。

Kit Oisix

「ひまわり油」は、もともとは、リノール酸(n-6系)がいっぱいの植物油でした。しかし、ここ十数年でリノール酸を減らしてオレイン酸を多くするという方向での交配による品種改良がすすみ(ひまわり自身に品種「改良」されたという思いがあるかどうかはわからないので、交配による品種「修正」がすすみ)、その植物油の持つオレイン酸の多さ(たとえば、脂肪酸100g中のオレイン酸の量)という点では、高オレイン酸タイプ(ハイオレイック・タイプ)のひまわり油はオリーブ油と同等か、種類によってはそれを凌駕しています。

北海道では一部の北の地域でそういう「ひまわり」を栽培し、圧搾で抽出した「ひまわり油」を販売しています。ある食品に使われている「ひまわり油」について調べていたら、道北産のその「ひまわり」に行きつきました。オリーブ油以上にオレイン酸が豊富でリノール酸は少ない、また抗酸化作用の強いビタミンEの含有量も多いというのがマーケティング・メッセージになっているようです。

ここまでは、「ひまわり」の品種改良・品種修正ということでいいのですが、世の中には、生まれが高リノール酸タイプの低価格大量生産農産物を人為的な方法で強引に高オレイン酸タイプに組成変化させ、あたらしいビジネスにつなげようとする動きもあります。「高オレイン酸タイプの大豆」がそれで、業務用途ではすでに利用されていますが、ヨーロッパでは使用が禁止されているところの、また米国でも使用禁止が決まっているところのトランス脂肪酸(冷凍ピザ、マーガリンやショートニング、コーヒー用クリームなどに大量に使われている)の代替品としての利用が検討されているようです。

JAS法などを拝見すると、日本の政府(農林水産省や消費者庁)は、遺伝子組み換え農産物や遺伝子組み換え食品に関しては、国民にはそれらに関する情報は提示するが、遺伝子組み換え農産物や食物の国内への持ち込み、国内加工・国内流通は禁止しないという立場です。では、そういう立場で「高オレイン酸タイプの大豆」を見るとどうなるか。

Jas

こういう表示を義務づけているだけでも、よしとしますか。

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