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2014年7月16日 (水)

原子力発電と火力発電の投資金額や維持/廃棄コストなどについて

北海道の現在の原子力発電に関する解説記事が、ある全国紙の地方経済欄に掲載されていました。「泊原発、見えぬ再稼働」という見出しで、泊(とまり)原子力発電所の現在の状況や建設費、原発再稼働に必要な今後の追加投資額などが、ザックリとまとめられています。この記事の基本トーンは、原子力発電再稼働の応援だと思われますが、事実や数字の客観的な記述も多い。

「(再稼働のための)投資額はかさみ、昨春に5年で900億円とした計画は今春には8年で1600億円に増えた。(泊原子力発電所の)3号機の建設費3千億円の半分以上に達する規模に膨れあがる。」(日本経済新聞「北海道経済」2014年7月10日、なお、括弧の中の説明は「高いお米、安いご飯」が追加)

この記事の基調は前述のように北海道における原発再稼働の応援なので、そのトーンに適合的な「事実」を選んで使うという傾向も見られます。「適合的な事実」とは、たとえば、以下のようなものです。

「原発の代わりに石油火力発電では1日6億円の燃料費が余分にかさむ。」(下線は「高いお米、安いご飯」)

おっしゃる通りで、石油火力発電は燃料費が高い。しかし何故、比較対象に石油火力発電か。

火力発電には「石炭火力」「LNG火力(コンバインドサイクルを含む)」「石油火力」の3種類があります。それぞれの方法のkWhあたりのコスト(「発電コスト」と「社会的コスト」を合わせた「合計コスト」)を見ると、「原子力発電」と「石炭火力発電」と「LNG火力発電」の「合計コスト」は、だいたい同じです。「発電コスト」には資本費・運転維持費・燃料費が、「社会的コスト」にはCO2対策費用・政策経費・事故リスク対応費用がそれぞれ含まれています(経済産業省・資源エネルギー庁「コスト等検証委員会」資料〈2011年12月19日〉)。

だから、今後の火力発電では、石油火力発電ではなく、石炭火力(東北・関西・東京・中部・九州)やLNGコンバインド火力(北海道)が計画されています。

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さて、記事の中で「(泊原子力発電所の)3号機の建設費3000億円」「再稼働のための投資金額が1600億円」というザックリとした数字が提示されているので、僕もザックリとしたとした数字を使って、原子力発電と火力発電の比較をしてみたいと思います。

北海道電力の場合、原子力発電の再稼働に向けての追加投資金額で、100万キロワット級の最新火力発電所が新たに建設できるという数字の事実、今後半永久的に必要な放射性廃棄物の処理費用のことなどを考えると、地元の一電気消費者、ひとりの電気料金の負担者として自分の構図を持ちたいからです。僕は、日本における原子力発電は不要だと考えています。

以下で使う数字は自分で納得をした複数のソース(上記の日本経済新聞を含む)からの「ザックリ数字」なので、とくにデータソースには言及しません。

ただ、廃炉費用(解体費用、廃棄物処理費用など)については、「東海原発(出力16.6万kW)」の廃炉費用(総額885億円、ただし解体で発生する低レベル放射性廃棄物は敷地内に置いてあり最終的な保管場所は決まっていない、そういう状況での885億円。2013年5月)や「電気事業連合会」の2002年の試算(「再処理工場(青森県・稼働期間40年)」、「商業運転原発(52基・稼働期間40年)、一定の増設を見込んだうえの解体・撤去のための積み立て費用や高・低両レベルの放射性廃棄物の貯蔵・処分など一連の費用が26兆6000億円」を参考にしています。

<出力が100万キロワットクラスの原子力発電所>

・建造費: 4000億円(【註】泊原発3号機は出力が91.2万kW、建造費は3000億円)
・維持費: 400億円
・作業員数: 1000人(【註】1号機・2号機・3号機の3基を持ち、合計出力が207万kWの泊原発では通常の作業員数は1500人)
・廃炉費用: 5000億円

<出力が100万キロワットクラスのコンバインドサイクル火力発電所>

・建造費: 1300億円(【註】泊原発再稼働のための追加投資は1600億円)
・維持費: 40億円
・作業員数: 100人
・廃炉費用: 特には考慮しない

関連記事は「石炭火力発電所の新設が計画されているそうです」。

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