« 北海道の調理用トマトでソースを作る | トップページ | ためしに、夏に、麹(こうじ)をつくる »

2014年8月19日 (火)

料理と炊事

辞書の定義や説明を気にせずに、料理と炊事という言葉の違いについて勝手に考えてみます。

「あの人は炊事しかできない。」料理の得意なある年配女性が知り合いのひとりをそう小声で評するのを、かつて、耳にしたことがあります。

料理と炊事と云う言葉を次のようにならべてみるとその使われ方の違いや射程距離の差が現れてきます。

・料理の得意な主婦 と炊事の得意な主婦
・料理人と炊事人
・料理当番と炊事当番

「料理の得意な主婦」のいらっしゃる家庭の手料理はお酒でも飲みながらゆっくりとごちそうになりたいと思いますが、「炊事の得意な主婦」の料理を食べたいとは思わない。「炊事の得意な主婦」の前では、一定時間内にてきぱきとご飯を食べ終わらないと怒られそうです。後片付けを手伝わされるかもしれない。

「お仕事は?」「料理人です。」は意味のある会話として成立しますが、「お仕事は?」「炊事人です。」は、答える方が自己韜晦(じことうかい)をしている場合を除き、普通はまともな受け答えではない。しかし質問されている人がどこかの給食センターの従業員なら、これも意味のある会話となります。

同様に、「料理当番」と「炊事当番」は学校用語で「給食当番」と同義語だと考えると、その範囲では両者に違いはない。

お惣菜と加工食品をいっぱい買ってきて、必要なものはさっとチンしてきれいにお皿に盛り付ける。これは炊事です。コンビニ弁当とコンビニ惣菜とペットボトルのお茶を買ってきてそのまま食卓に並べる。これも炊事です。

一方、野菜や肉や魚といった素材を、塩・胡椒・味噌・醤油・オリーブオイルなどを使い、頭の中の設計図に従って臨機応変においしい食べものに仕上げていくのが料理です。しかし、プロの料理人ではない場合は、出刃がないと始まらない丸ものの魚を捌(さば)く力量がなくてもかまわない。そうできればすばらしいですが、切り身から始めて何の問題もないし、料理バサミでイワシの頭を落としてもよい。肉料理が、骨付き肉のかたまりをチョッパーで叩き切ることから始めないといけないというわけではないように。

炊事には、ルーティーンワーク、仕方なくやっている、おいしくない、作る人の情熱や付加価値がない、手抜き、といった内容が含まれているようです。料理はその反対。知恵と手間と熱意が感じられます。

料理人の料理は口にしたいが、炊事人の作った食べものに手を付けたいとは思わない。そう考えると「あの人は炊事しかできない。」と云う表現における話し手の意図(底意地の悪さ)が明らかになってきます。けっこう恐ろしい発言ではあります。

関連記事は『聡明な女は料理がうまい』

□□□

人気ブログランキングへ

|

« 北海道の調理用トマトでソースを作る | トップページ | ためしに、夏に、麹(こうじ)をつくる »

雑感」カテゴリの記事

食べもの」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1317632/57085538

この記事へのトラックバック一覧です: 料理と炊事:

« 北海道の調理用トマトでソースを作る | トップページ | ためしに、夏に、麹(こうじ)をつくる »