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2014年9月 9日 (火)

季節の果物の放射性セシウム濃度と地方自治体による発表表現の違い

福島民報ウェブサイトに次のようなQ&A記事があります(2014年8月24日)。

Q: モモの出荷が最盛期を迎えています。現在、福島県産のモモから放射性セシウムは検出されているのでしょうか?

A: (前略)モモの中に含まれる放射性セシウムについてですが、東京電力福島第一原発事故発生直後の平成23年に出荷されたものからは、現在の基準値である1キロ当たり100ベクレルをずっと下回る低いレベルの放射性セシウムを検出したものが散見されました。しかし、今年に入ってから福島県で測定されたモモについては、ほとんど全てで放射性セシウムは検出されていません。(後略)(下線は「高いお米、安いご飯」)

一方、厚生労働省の報道発表資料「食品中の放射性物質の検査結果について(第893報)(東京電力福島原子力発電所事故関連)」(2014年8月25日)によれば、「札幌市保健所の測定した福島県産のモモ(流通品)の放射性セシウム濃度は、Cs-134が 0.860 Bq/kg未満、Cs-137が 2.86 Bq/kg、Cs合計は 2.9 Bq/kg(資料中の項目番号は2344)」。

同じ測定値でも、いろいろな表現の仕方、発表の仕方が可能です。

1. 測定数値をそのまま表示する。例えば札幌市保健所のように「福島県産のモモ、流通品、放射性セシウム 2.9ベクレル/kg」。

2. 現在の国の基準値はモモなどに関しては1㎏あたり100ベクレルなので、100ベクレル未満は、検出されなかったことにする。

3. 100ベクレルで線を引くとさすがに気まずいので、25ベクレル以下(ないしは10ベクレル以下)というとくに気にしなくてもよいと主張できるレベル以下であれば検出されなかったことにする。

4. 一部に測定値の高いものがあってもそれが国の基準値と比べて気にする必要のないものなら、その他おおぜいは大丈夫なのでたとえば、先ほどの福島のメディアのように「ほとんど全てで放射性セシウムは検出されなかった」と書いて、個別データの詳細には言及しない。

以前にも紹介したように(「事実の継続確認対象としての、福島の魚」)、札幌市は学校給食食材に放射性物質で汚染されたものを使わないように気を遣っています(「学校給食食材の放射性物質検査について」)。

その骨子は

・放射性物質の検査対象とされている1都16県(福島県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県、神奈川県、宮城県、岩手県、青森県、秋田県、山形県、新潟県、長野県、埼玉県、東京都、山梨県、静岡県)で生産された青果物、上記生産地の食肉(鶏肉・牛肉)、そして、その他(魚介類)」を対象に

・放射性セシウム(セシウム134及びセシウム137)と放射性ヨウ素(ヨウ素131)を測定、

・検査の結果、検出限界値である4ベクレル/kg以上の値が検出された場合は、念のため学校給食での使用を控え、

・検査結果を公表する。

先ほどの札幌市保健所の精度の高い機器で測定した2.9ベクレルのモモは、ガイドライン通りなら学校給食に使われるかもしれません(実際には使わないでしょう。)重要なことは測定数値の報告・公表と共有、そしてそれに基づく各自の判断です。非数値表現の情緒的な応援メッセージは「Under Control」演説と同じで日常生活には役に立ちません。

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