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2014年12月 5日 (金)

酸素と二酸化炭素(その2)

気象庁のウェブサイトに「二酸化炭素濃度の経年変化」というページがあります。一部を引用します(『・・・』部分とグラフ)。

『温室効果ガス世界資料センター (WDCGG)の解析による2013年の世界の平均濃度は、前年と比べて2.9ppm増えて396.0ppmとなっています。工業化以前(1750年頃)の平均的な値とされる278ppmと比べて、42%増加しています。(ppmは体積比で100万分の一を表します。)』

Sep_2014

つまり、産業革命頃は二酸化炭素濃度が300ppm、現在はその濃度が400ppm、つまり、この260年くらいの間に0.03% (300ppm) だった二酸化炭素濃度が0.04% (400ppm) まで上昇してきたというのが気象庁の記述やこのグラフのメッセージです。しかし、気象庁は、それが責任守備範囲の外であるという理由からか、産業革命よりずっと前の二酸化炭素濃度には興味がないようです。

(その1)で触れた「酸素」(ニック・レイン)という本は、地球や人を素材にした酸素についての著作なので、酸素と関連の深い二酸化炭素についても興味深い(そういう知識のある方にはあたりまえの)記述が含まれています。

・6億年まえから4億5000年前くらいにかけては、地球の二酸化炭素濃度は、4,000ppm (0.4%) から 5,000ppm (0.5%) だった。同時期の酸素濃度は、だいたい15%程度(ちなみに現在の酸素濃度は21%)。

・しかし、デボン紀(3億8500万年前)にさしかかるあたりから二酸化炭素濃度は3,000ppm (0.3%) に下がり始め、いわゆる石炭紀(3億6000万年前から2億9900年前、この地層から石炭が多く産出されるので石炭紀と呼ばれる)の終わった頃には、300ppm (0.03%) と低下した。その頃の酸素濃度は30%を超えている。(【註】300ppmという石炭紀終わりの二酸化炭素濃度は、イギリスの一部で織物機械や蒸気機関車が動き始めたころの二酸化炭素濃度とほぼ同じ。)

・その後、二酸化炭素濃度はいったん1,200~1,300ppmまで上昇し、そこからゆっくりと下がり始め、現在 (300ppm~400ppm) に至る。酸素濃度は現在の21%に徐々に落ち着いてきた。

IPCC(第5次報告書「政策決定者のための要約」など)や気象庁、メディア報道は二酸化炭素(温暖化ガス)濃度が上がって大変だ、CO2を削減しよう間歇泉のようにあいかわらずかしましいようです。「IPCCの第5次報告書(政策決定者向けの要約)に関する雑感」に書いたように、「政策決定者向けの要約」の媒体向けリリース骨子をそのときの日本経済新聞から引用すれば、以下のようになっています。

・気温上昇が人間活動に起因する可能性は95%以上
・温暖化ガスの濃度は少なくとも最近80万年で前例のない水準
・CO2濃度は産業革命前から40%増加
・今世紀末までに気温は0.3~4.8度上昇
・同期間で海面は26~82センチ(メートル)上昇

「政策決定者のための要約」を、僕の気になる点を含めて三行程度に凝縮すると、以下のようになります。

・地上でも大気中でも海洋でも地球の温暖化が進行しており、このことには疑いの余地がない。人類が、1950年代以降の、この地球温暖化の主要原因であることは非常に高い確率(extremely likely: 95-100%)で確かである。なお、過去15年間は温暖化は休止しているが、温暖化の長期トレンドへの影響はない。 (【註】①下線は「高いお米、安いご飯」による②以前は、「1950年代以降」でなく、「産業革命以降」の地球温暖化の主原因は人間の産業活動と云っていたようだが、対象期間が変化した。)

ある主張をする時に、その主張と適合的な範囲の対象を選び取るというのは比較的よく観察されるやり方ですが、「最近の80万年」や「1950年代以降」というのもそういうやり方だと思われます。

80万年前というのは、これも大ざっぱにいえば、ジャワ原人や北京原人が暮らしていた頃の少し前です。北京原人は火を使い鹿の肉を焼いて食べた。

最近の80万年を切り取って「温暖化ガス(二酸化炭素)の濃度は少なくとも最近80万年で前例のない(高い)水準」というのと、最近の数億年を切り取って「過去数億年を見ると、ここ数千年の二酸化炭素濃度は異常なほど低い。しかし21世紀の現在は、250年前の最悪の事態は脱しつつあるようだ。」というのでは景色がまるで違ってきます。

農産物に関して云えば、彼らは二酸化炭素濃度が300ppmの地球環境より600ppmのもとで暮らす方が、成長や再生産と云う意味では、幸せなようです。

(酸素と二酸化炭素の終わり)

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