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2014年12月 4日 (木)

酸素と二酸化炭素(その1)

ガンは老人病です。歳をとるとガンになりやすい。なぜか。原因は酸素です。ぼくたちは呼吸によって体内に酸素を取り込みますが、このうちの2%が活性酸素に変わります。活性酸素にはウィルスなどの外敵から体を守るという大切な働きもありますが、これが曲者(くせもの)です。

世の中には、空気(酸素)を嫌う微生物がたくさんいて、これらは嫌気性の微生物と呼ばれています。この嫌気性の微生物の中にはとても役に立つのがいます。

微生物やバクテリアがエネルギーを作る時に、空気がある場合にはその行為というかプロセスは「呼吸」と呼ばれ、空気が無い場合は「発酵」と呼ばれています。発酵とは、微生物が空気の無いところで生きるための一つの方法です。微生物の中には、発酵でアルコールや乳酸などを作るものがあり、その産物として日本酒や乳酸発酵食品ができあがる。それらをぼくたちは発酵食品としてありがたく頂戴する。各家庭でおなじみのビフィズス菌は嫌気性微生物です。

「酸素」(ニック・レイン著)という刺激的な本があります。以前、「食と3種類の知とヘルシーエイジング」というブログ記事を書くときに参照しました。そのブログ記事の一部を以下に引用します。(『・・・』が引用部分)

『(ヒトは若い間は)たとえば、病原菌の侵入といった外部からの脅威があれば、細胞内で酸化ストレスを増大させ、そうすることで免疫を活性化し、外部からの感染に打ち勝つようなメカニズムとプロセスが機能します。しかし、再生産年齢に到達した後、つまり外部からの脅威がそれほど気にならなくなった時期以降、その年齢に見合った別の仕組みが採用されるかというとそうではなくて、若いときと同じ仕組みが継承されます。

仕組みは同じで変化しない。しかし、脅威の主因が変化する。

脅威の種類が年齢に応じて変化することにより、再生産年齢以前では個体にとって支援であり防御であったその同じ仕組みが、再生産年齢以降では、個体の存続という意味では、非支援的、ないしは有害となります。

齢をとるにつれて、脅威の中心は、外部から突然にやってくる感染から、細胞内のミトコンドリアの劣化(フリーラジカルの漏出)といった内的な現象へとシフトしていきます。細胞の工場機能の劣化がきっかけで細胞内の酸化ストレスが増大し、それによって活性化された防御作用が、外敵ではなく、自分自身を継続的に傷つけます。継続的に発生する(つまり、慢性的な)炎症が、自分自身の内部に心臓病やガン、関節炎などを引きおこすわけです。・・・中略・・・ヒトは、若いときには好都合な機能だが齢をとると不都合になるという意味でのトレードオフを、自然選択(種が生きのびるための知恵)として積極的に採用したらしい。』

ぼくたちは「光合成」というものについて小学校で習います。植物や藻類や植物性プランクトンなどが、二酸化炭素と水と光エネルギーをとりいれて、炭水化物を合成し、水を分解する過程で生じた酸素を同時に大気中に放出するという一連の作用が光合成です。

「むかしむかしあるところに」みたいな書き方をすれば、むかしむかしあるときあるところに、太陽の光エネルギーを利用して、空気中にふんだんにある二酸化炭素から有機物を作るのを得意とする光合成バクテリアというのが出現しました。これはほとんど経費がかからない省エネ有機物生産です。そうやって光合成バクテリアがおおいに繁殖した結果、地球環境に酸素がだんだんと蓄積されてきた。しかし、バクテリアなどはそもそもが非常に酸素に弱い。酸素は彼らにとっては猛毒のようなものです。

だから、そういうバクテリアは酸素がいっぱいに蓄積された新しい地球環境で生き延びるために画期的な適応戦略をとった。酸素に強いミトコンドリアの祖先と仲間になった。ミトコンドリアの祖先は、酸素を利用してブドウ糖からエネルギーを取り出す代謝経路の作成に成功した酸素に強い変な奴です。バクテリアは地中深くに潜り込み酸素を避けて逃げ回るのではなく、酸素に強いところの同類のミトコンドリアを自分の細胞内に取り込むことで酸素リッチな地球環境と折り合いをつけ、生き延びることに成功しました。

ぼくたちヒトの細胞の中でも、この細胞内発電機とでもいうべきミトコンドリアが活躍しています。

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