米の食味ランキング(2014年産米)について
日本穀物検定協会のホームページに2014年(平成26年)産米の「米の食味ランキング」が掲載されています。「米の食味ランキング」の状況をいくつかの視点から眺めた(あるいは切り取った)表や数字も提供されていてそれぞれに興味深いものがあります。ぼくの興味をとくに引いたものは以下の三つです。
ちなみに、2014年にはじめて「特A」を取得したお米(産地と品種の組み合わせという意味で)は三つあり、「岐阜(飛騨)のコシヒカリ」、「島根のつや姫」、そして「愛媛のヒノヒカリ」ですが、飛騨と云えばコシヒカリの突然変異種である「龍の瞳」(関連ブログ記事は「龍の瞳(りゅうのひとみ)というニッチなお米」)、それから島根だと「仁多コシヒカリ」(関連ブログ記事は「『島根は鳥取の左側です!』、それから、島根のお米」)の味が忘れられません。
さて、三つの興味深い表のうち「平成元年から(平成26年にかけて)の特Aランク一覧表」を拝見すると、おいしいとされるお米の産地と銘柄の推移の全体がわかります。たとえば、昭和に評価の高かった「ササニシキ」の人気が平成になって急に衰えてきた様子や、「北海道」や「九州」といった、従来の良食味米の産地以外の地域でおいしいお米が生産されるようになってきた様子が感覚的に把握できます。
その推移を別の言葉で表現すると、昭和の終わりくらいから、白くて甘い粘りのあるお米がおいしいとされるようになり、食生活の変化も影響して、消費者の好みがそういう風に変わってきました。糯米(もち米)風味の粳米(うるち米)が基準の味となり、新品種もそういう方向で開発されてきたということです。
次にぼくの関心を惹いた表は、
この表を素直に解釈すれば、日本のお米の味がどんどんとよくなっているということになります。その理由は、農家の良食味米生産努力なのか、食味ランキングにおける食味評価が少し甘くなったのか、それとも二酸化炭素濃度がわずかに上昇してそれがお米の食味上昇に貢献したのか(関連記事は「CO2濃度と農産物の収量」)。
それからもうひとつの表は、農業ビジネスや農業マーケティングに関するもので、ぼくはけっこう以前から「北海道の『ゆめぴりか』」と「山形の『つや姫』」の(最近のはやり言葉を使えば)ビジネスモデルの違いに興味を持ってきましたが、その違いがこの表からも読み取れます。北海道という広大な農地を背景に単独で消費者市場に直接に訴求・販売するか、あるいは山形以外の地域に仲間を作りチャネル販売を通じて徐々にブランドイメージを拡大するか。
「米の食味ランキング」は、いろいろなことを考えさせてくれます。
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