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2015年3月 5日 (木)

大豆雑感・・・必需品だけれど、ちょっと厄介なところもある食材

大豆は「畑の肉」といわれるくらいにタンパク質が豊富でその含有量は卵や牛肉を上回ります。大豆は植物油としても利用されます。植物油として使われる場合、脂肪の半分くらいがリノール酸です。

大豆は世界で生産量・消費量の多い豆です。しかし、日本や東アジアと欧米とでは利用の仕方が違います。「味噌・醤油・納豆・豆腐・煮豆・豆乳」といったタンパク質重視の食べ方が日本や東アジアの特徴、一方「植物油」という脂質重視の使い方が欧米の特徴です。

タンパク質が豊富な大豆ですが、性格にトゲもあって、そのトゲを取り除くために(正確にはできるだけ少なくするために)加工します。加工の仕方は「味噌・醤油・納豆・豆腐・煮豆・豆乳」からすぐに連想されるように、熱を加えること、そして加熱処理の後で発酵させることです。

熱を加えると、煮豆や豆乳、豆腐ができ上がります。さらに納豆菌で発酵させると納豆、麹菌だと味噌や醤油、豆乳に乳酸菌を加えると豆乳ヨーグルトが完成します。熟成期間は違いますがそのプロセスは同じです。こうして昔から大豆のトゲを人間に害がない程度に少なくしてきました。生活の知恵です。

そのトゲのひとつが「トリプシン・インヒビター」。膵臓(すいぞう)から分泌されているタンパク質分解酵素であるところの「トリプシン」を不活性化させてしまう。状況によっては、トリプシン・インヒビターは膵臓に「トリプシン」を過度に産生させるという悪さもする。だから、このトリプシン・インヒビターの活性度を下げるために加熱処理をしたり、発酵させたりする。

豆腐や豆乳は加熱の程度が比較的弱いのでトリプシン・インヒビターの活性残存率が比較的高い。といってもたいていの人には問題がない程度に低い。発酵させて納豆・味噌・醤油にすると、活性残存度は大幅に低下します。モノの本によれば、「木綿豆腐」の活性残存度が2.5%、「寄せ豆腐」だと3.4%、「絹ごし豆腐」だと4.3%、「充填豆腐」は7.9%、それから「豆乳」が13.0%。発酵食品の「納豆」は0.7%、「醤油」が0.8%、そして活性残存度がいちばん低いのが「味噌」で0.3%だそうです。

もうひとつのトゲが、これは大豆に限りませんが、大豆などの豆科植物と全粒穀物(玄米や全粒粉のパンなど)に含まれる「フィチン酸」。「フィチン酸」はこういう食材の成分であるところの亜鉛・鉄・カルシウム・マグネシウムなどのミネラルと固く結びついているため、その食材に存在するミネラルが邪魔されてうまく吸収されません。しかし、大豆なども煮豆や豆腐のように加熱すると半分くらいのフィチン酸を取り除くことができ、納豆や味噌のように発酵させると60%から95%くらいのフィチン酸を除去できるようです。やっかい者を手間をかけて排除する。

加熱という調理方法、発酵という食材の加工方法で、タンパク源としての大豆の持つトゲに日本人はひそやかに対応してきました。

ぼくたちの食生活がいわゆる「欧米化」して久しいですが、食生活の欧米化の特徴のひとつが「リノール酸」というω-6系の不飽和脂肪酸を多く含む「大豆油」や「コーン油」のような植物油の過度の摂取です。家庭料理でもよく使うし、それ以上に市販の加工食品(惣菜やお菓子も含まれる)を通して体内に取り込んでいます。(余計なことですが、大豆はヒト用の油としてだけでなく、しぼりカスという形で家畜のエサとしても利用され、肉食文化という食の欧米化を支えています。)

さて、ω-6系の過度の摂取とは、ω-3系の「α-リノレン酸」「DHA」「EPA」とのバランスが壊れるほど過度に大豆油やコーン油を炒め物、マヨネーズやサラダドレッシングなどを通して体内に取り入れることです。だから、そのバランスを補正するために、最近の食品関連会社が「DHA」「EPA」の入った錠剤のコマーシャルでかしましいのは皆さんよくご存じの通りです。ぼくはそういう錠剤にお金を使うくらいなら、そのお金を各種の青魚やインカインチオイルに回しますが、そういう錠剤のお好きな方も多いらしい。

我が家では自家製味噌や豆乳ヨーグルトなどを作るので、一般の家庭よりも原材料としての大豆の消費量は多いはずです。たまには、大豆の個性や性格をこういう形で調べ直すのも悪くはありません。

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