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2015年6月24日 (水)

大本営発表に関する雑感

大本営(だいほんえい)とは、辞書的に云えば、「戦時または事変の際に設置された、天皇直属の最高統帥機関」という意味です。明治26年に制定され、第二次世界大戦後廃止されました。

大本営が、国民に向け、新聞社などを通していろいろな発表を行ったのですが、とくに大本営発表(だいほんえいはっぴょう)と云った場合には、太平洋戦争中に、大本営の陸軍部及び海軍部が行った、戦況などに関する公式発表をさします。公式発表だからといって内容の正確さが保証されているわけではありません。大本営に都合のいいように嘘を吐く。攻撃面をより華美に、損害を実際よりも相当に矮小化して発表するという意味で最初に有名になったのが、おそらく、以下の「ミッドウェー海戦に関する大本営発表」です。

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政府の一方的な、政府にとって何らかの意味で都合の良い発表を大本営発表だとすると、ぼくたちの健康に関する最近の大本営発表には愉快なものがいくつかありました。ひとつは正常な血圧の上限に関するもの、もうひとつは食べ物とコレステロールの関係についてのものです。

血圧の上限は、少し前までは、「収縮期血圧は129以下、拡張期は84以下」とされていて、結構な割合の日本人が病人だったのですが、その数値が「収縮期は147以下、拡張期は94以下」と変更され、急に血圧健常者が増えました。以前は、健康診断などでも、収縮期血圧が130代の後半だと、医者のこわそうな視線を浴びたものです。食べ物と体内コレステロール量の関係も、「関係あり」から「関係なし」へと変化しました。そういえば、以前は WEBブラウザーに「ウソっ、血圧130もある!」といった広告メッセージが頻繁に現れたものですが、最近は見かけなくなりました。

憲法論議が盛んです。違憲論議が盛んと云った方がいいかもしれません。憲法に関して、今でもよく覚えていることがあります。正確な時期の記憶は曖昧ですが、違和感だけはよく記憶しています。

おそらく高校生のころの英語の授業で、英語では憲法のことを Constitution というということを知り、両者の意味の違いにわけのわからなさを感じたことがあります。とりあえず、憲法は Constitution、 Constitution は憲法と覚えたのですが、違和感は消えません。なぜなら「憲」も「法」の規則という意味です。だから、同じクラスに「憲雄(のりお)」などという名前の同級生がいると、窮屈な名前を持ったものだと同情していたからです。しかし、 Constitutionはそういう風ではない

どうせなら楽しく英語の単語を覚えたいと思い、英語の語源や語根や接頭辞・接尾辞に興味を持っていたので、constituition は con + stitute、con は一緒に (together) という意味、それから stitute は set upという意味だと云うことは辞書やその頃はやっていたその手の新書版参考書を見ればわかります。だから con-stituteはいっしょに作る、in-stituteは中に作る。

しかし、そういう stituteの感じ、すなわち、con-stituteであれば「いっしょに作る」、con-stitution であれば、「いっしょに作り上げたその構造や内容」と、「憲法」すなわち「規則・規則」がうまくつながりません。

後年、聖徳太子の「十七条の憲法」に目を通した時に、これはまさに規則という意味での憲法だと思ったものでした。「十七条の憲法」は有体に云えば官僚の行動規範・倫理規範で、官僚は朝早くから夜遅くまで一生懸命働くように、といったことが書かれています。だから「憲法」すなわち「規則また規則」というわけです。

「いっしょに作り上げた構造や内容」は作った人たちが活動の場面でその内容に準拠する、行為に際してその内容を守るという意味では「規則」的な側面も持ちますが、それは本質的な側面ではありません。Constitutionには「構成」や「体格」「体質」という意味もあります。「いっしょに」「作る」というニュアンスが良く反映されています。

ぼくにとって現代の憲法とは、「政府が守るべきことを定め、政府の行動を制限した法律」のことです。政府は気に入らないからと云って好き勝手なことをしてはいけない。言論統制をしてはいけない、集会の自由を邪魔してはいけない。勝手に戦争をしてはいけない。「日本国憲法」の実際の起草者が誰であったかは別にして、そういう構造と内容を持ったものを、ぼくたちは、「日本国憲法」として、第二次世界大戦後にいっしょに (con) 作った (stitute) わけです。

以下の最近の大本営発表(時事通信 2015年6月12日)も「攻撃面をより華美に、損害を実際よりも相当に矮小化して発表する」という意味ではミッドウェー海戦発表によく似ているかもしれません。

 「政府は12日、東京電力福島第1原発の廃炉作業について関係閣僚会議を開き、1~3号機の使用済み燃料プールに保管されている核燃料の取り出し開始時期を、最大で3年遅らせることを決めた。福島原発事故の廃炉工程表で、使用済み燃料の取り出し開始時期を遅らせるのは初めて。廃炉完了まで30~40年とする従来の目標は維持する。

 これまで2015年度上半期としていた3号機プールの燃料取り出し開始は17年度に、17年度下半期だった1、2号機プールの燃料取り出し開始は20年度に遅らせる。

 水素爆発で原子炉建屋が大破した3号機は、プールに落ちた燃料交換機などのがれき撤去が難航。放射線量も想定通りに下がらず、15年度上半期の取り出し開始は事実上不可能になっていた。

 1号機も建屋カバーの解体に伴う放射性物質の飛散防止対策に時間がかかっている上、作業に使うクレーンの不具合などトラブルが発生。大幅な遅れは避けられない見通しになっていた。2号機は使用済み燃料の取り出し計画が確定していない。

 1~3号機の原子炉内部で溶け落ちた燃料(デブリ)の取り出し開始時期は、最も早い場合で21年中とする目標を維持した。政府と東電は13年6月、1、2号機のデブリ取り出し開始時期を1年半早めて20年度上半期とする計画を示していたが、今回の見直しでは触れていない。」

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