在来種のタンポポを空地で発見し、転居させたつもりだったが・・・
「歩道にタンポポがいっぱい」の続きです。(実際には「続き」になっていませんが、それはさておき。最後までお読みください。)
以前、確か、趣のあるレンガ造りの倉庫があった場所が更地になっており、雑草が茂っていました。その更地(なつかしく原っぱとでも言い換えましょうか)の道路にすぐ近いあたりに、雑草に混じって、背の高い黄色いタンポポが群れることなく2メートルおきくらいに黄色い花を咲かせていました。花が終わり加減のと、つぼみが多くてこれからというのといろいろです。
「歩道にタンポポがいっぱい」という記事を書いたときに「白いタンポポは、白いというそのことによって在来種です。黄色いタンポポは「総苞(そうほう)、細かくは総苞外片(そうほうがいへん)」が上向きだと在来種。「総苞外片(そうほうがいへん)」が大きく反り返って下向きになっていると外来種のセイヨウタンポポ」であるという知識や実際の違いを島根県のホームページ(「タンポポを探しに出かけよう」)などで仕入れたので、その背の高い美人が在来種か外来種かをそばによって確かめてみると、そこで優雅に揺れているのはすべてが「総苞(そうほう)」が上向きでした。
【註】上は「タンポポを探しに出かけよう」からお借りした写真に注釈をつけたものです。
在来種と云うと、おそらくは白いタンポポの記憶の影響で、背丈が低くで可憐なものという先入主があります。しかし、この在来種は、美人ではあるのですが可憐という形容詞が似合う風情ではない。どちらかというと強靭な印象です。だから、外来種に負けずに生き残ったのだと思います。今回出会ったのが背が高いのも、背丈の高い雑草の中で生き残るための知恵かもしれません。
強靭そうであっても在来種はやはり珍しいので、空地の雑草にはとくに係争の原因となるような所有権問題は発生しないと云うことにして、気に入ったひとつを根ごと引き抜いて、持って帰ることにしました。所用先からの徒歩での帰り道です。手提げに運よくポリ袋があったので、根に土をわずかにつけた状態で包みました。根からは茎が7本ほど出ていて、花やつぼみの総数は24~25くらいです。家にはとりあえず余っている鉢植えがあるので、その鉢植えが忙しくなるまでそのタンポポにそこで過ごしてもらうことにしました。強引な転居の勧めです。
面白いなと思ったのは、今まで開いていた黄色い花が、ぼくといっしょに自宅に到着する頃には、つぼみ状態に戻ってしまったことです。根から抜かれてしまったので水分の蒸発を極力少なくするためなのか、それともなにかの野生の自己防衛行動なのか。あるいは、単に、夕方が近づいてきたので眠くなって丸まってしまったのか。植物も外的強制力によって急な居住地移動をすると、新しい環境が古い環境よりも断然によくても、落ち着くまでいくぶんの時間がかかることはわかっているので、水をたっぷりと遣り、翌朝を待つことにしました。夕方になったので寝てしまうというのは、強靭な美人の取る行動ではないようにも思えます。
朝になると花は徐々に開き始めました。夕方からはどうも就寝時間だったようです。おそらく昼には、元通りに満開です。
写真を2枚。上が近所で咲いていた西洋タンポポ(外来種)。総苞(そうほう)が反り返って下向きになっています。下が今回の背の高い美人。総苞は上向きです。朝になったので、雨模様の空ですが、わずかに開き始めています。
近所の西洋タンポポ。総苞(そうほう)が反り返って下向き。
今回の背の高い、強靭そうな美人。総苞(そうほう)は上向き。
◇ ◇ ◇
配偶者からクレームがつきました。花は何となく似ているが、タンポポの茎がこんなに長いはずはないし、そもそも茎の感じがまったく違う、それにタンポポらしいかわいらしさがない、わたしはタンポポとの付き合いは長いの、これはブタ草とかなんとか、ブタという名前のついたタンポポに似た雑草があるらしいけれど、それじゃないかな?
調べてみました。この背の高いのは「タンポポもどき」あるいは「ブタナ(豚菜)」という植物のようです。
「日本で1933年に札幌市で初めて発見された際はタンポポモドキと命名されたのだが、翌年の1934年に兵庫県六甲山で見つかった同種の植物にはブタナと名付けられ、現在はブタナのほうの名称が主流となっている(Wikipedia)」などと云う記述を読み、インターネット上の「ブタナ」の写真を「強靭そうな黄色の美人」と比べると、これが「ブタナ」あるいは「タンポポもどき」であることは間違いなさそうです。
美人とは週末のたった1日の短い付き合いでした(事実の発覚後、背の高い黄色は配偶者によりきれいに処分されてしまったので)。小学校の夏休みの理科自由研究を思い出します。花びらが散ったあとはタンポポと同じような、しかしタンポポよりは硬い、タンポポよりは大きい綿毛になるそうです。
下は、近所の西洋タンポポの綿毛。とても柔らかい。ご参考まで。
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