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2015年7月 6日 (月)

平成13年3月発行の「おいしい北海道米 生産ハンドブック」と「ゆめぴりか」と「ゆきひかり」

北海道米高水準食味確立緊急対策協議会という漢字がいっぱい連なった協議会が発行した「おいしい北海道米 生産ハンドブック」と云うのがあります。

平成13年発行なので、今から14年前にリリースされた北海道米の生産に関するハンドブックです。ブランドを北海道以外にも浸透させつつある「ゆめぴりか」のような最近の北海道米の活況をご存知の方には、現在の知識とこのハンドブックの中に書かれている情報をつなぎ合わせると、「ゆめぴりか」にいたる北海道米の開発経緯が大ざっぱに俯瞰できます。

ハンドブックで取り上げられている北海道米は、うるち米が「イシカリ」「キタヒカリ」「ゆきひかり」「きらら397」「ほしのゆめ」など12種、もち米が2種類、比較対象としての道外(うるち)米は「ササニシキ」「コシヒカリ」「あきたこまち」です。「ゆきひかり」は、現在もニッチ米として細々と生産されていますが、「イシカリ」や「キタヒカリ」などは消えてしまいました。

このハンドブックは、美味しいお米とはどういうものか、から語り始めます。
 
<さて、おいしい「ごはん」、おいしい「お米」とはどのようなものでしょうか? お米のおいしさ「食味」は、炊いたごはんの白さ・ツヤ(視覚)、香り(嗅覚)、甘みなどの味(味覚)、粘り・口当たり・舌ざわり(触覚)など、五感のうち聴覚を除いた四感を総合したものとされます。その中でも、近年では「コシヒカリ」に代表されるように、おいしさのポイントは「つや」と「粘り」にあるとされています。>

お米の美味しさのポイントは、70年代以降は、「つや」と「粘り」であり、70年代以降に合意されるようになった米の美味しさを体現しているのが「コシヒカリ」なので、ベンチマーク対象は当然、デファクト・スタンダードであるところの「(新潟)コシヒカリ」です。

<では、ごはんの「粘り」はどのように決まるのでしょうか?・・・(中略)・・・通常の日本のお米(うるち米)は、アミロースを17~23%含んでいますが、アミロース含有率が低いほど粘りが強く、逆にアミロース含有率が高いほど、粘りの少ない硬いごはんになります。ちなみに、もち米はアミロースを含んでいないので粘りが強いわけです。>

<もう一つ、ごはんの粘りに影響する成分に蛋白含有率があります。・・・(中略)・・・蛋白含有率が低いほど食味の評価が高く、蛋白含有率の増加にともなって食味は直線的に低下することがわかります。また、同一蛋白含有率で比較すると、「きらら397」よりも「ほしのゆめ」の方が食味が良いことがわかります。・・・(中略)・・・米のおいしさの評価は基本的にはアミロースと蛋白を考えておけば良いでしょう。>

では、昔の北海道米や、このハンドブックが発行された頃の北海道米のレベルはどうだったか。

<昔の北海道米のアミロース含有率は、日本の品種の中でもかなり高いレベルにありました。・・・(中略)・・・一歩ずつアミロース含有率が低く、食味の良い品種が育成されてきました。>

上をもっと日常的な日本語に翻訳すると、昔の北海道米はほとんど「猫跨(また)ぎ」だったが、だんだんと猫が跨がなくなってきた、ということです。

<北海道米もたいへんおいしくなりました。・・(中略)・・品種改良の効果によって、20年前の主力品種「イシカリ」から比べると、粘りと食味が明らかに向上しています。「ほしのゆめ」の実力は、「ササニシキ」と同程度にまで達しています。また、近年は気象にも恵まれ、北海道米はかつての夢であった「ササニシキ」にも優る高い評価を受けています。>

蛇足ですが、1年ほど前から、我が家では「ゆきひかり」をとても細かく挽いた米粉をクッキー作りに使っています。その「ゆきひかり」の食味評価もそのハンドブックに実にあっさりと記述されています。すなわち、<「ゆきひかり」は食味の面ではふた昔前の品種です>。

だから、北海道米をもっと美味しくするためには、

<低温の年でもアミロースを低く保ち、粘っておいしいお米を作るには、ダル遺伝子などを活用した低アミロース品種の育成が必要です。> と、同時に、

<蛋白はアミロースに比べれば、施肥法などの栽培技術で調節できる成分といえます。 したがって、北海道米の食味・品質の地域間・地域内の変動を小さくするには、当面蛋白をターゲットとして、これを低下させる技術の開発と普及を進めていく必要があります。>

こうして、アミロース含有率とタンパク含有率の少ない品種が開発され、同時に栽培技術も改良され、そして「ゆめぴりか」が登場します。

以下は、<平成24年「ゆめぴりか」作付け生産者の皆様へ>と題したパンフレットの一部を引用したものです。以下の図を、ハンドブックから引用した今までの記述につなげると、新潟コシヒカリに追いつき追い越せと頑張ってきた過去40数年の北海道米の大ざっぱな軌跡になります。

なお、このガイドブックはWEBで見られます。

Photo

【註】この図の説明は少しわかりにくのですが、アミロース含有率が19%未満で、かつ、タンパク質含有量が7.5%未満なら問題なく「白くつやつたとした、粘りのある」良食味の「ゆめぴりか」です。しかし、アミロース含有率が19%以上であってもタンパク質含有率がぐんと下がって6.8%以下なら、新潟コシヒカリに匹敵するおいしさになるので、良食味の「ゆめぴりか」と判断するという意味です。

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