木登りの女の子たちからもらったサクランボ
配偶者と土曜日午後の散歩の途中である遊歩道に入ったら、すぐ先の歩道に熟したサクランボがいっぱい落ちていました。誰かがサクランボの入ったパッケージを落としたのが道にころがって、拾わずにそのまま歩き去った跡かなと一瞬思いましたが、そういう様子ではありません。
目の前に大きな桜桃(あるいは実桜の樹)が一本あり、見上げると熟したサクランボがいっぱいなっていました。小学校高学年くらいの女の子三人組が、その実桜の樹に登ろうとしています。男の子はいません。多分、サクランボ狩りをするのでしょう。軽やかな樹の登り方です。昔を思い出しました。
しばらく散歩をつづけた後、そこに戻ってくると、女の子たちは木登りの成果を草の上にいっぱいならべてあります。「おじさんたち、サクランボ持っていかない?わたしたち、いっぱい食べてもう食べられない。そこにあるの全部あげる。」洗わずにそのまま食べたようです。無農薬だからいいか。子供のころはそうです。実っているのをそのまま食べてしまう。まあ、観光客相手の果樹園のサクランボ狩りもそうですが。
「ありがとう。」お礼を言い、袋も何もないので、全部は無理。配偶者とぼくがそれぞれ左手の掌でつくったお椀に入る分だけいただいて帰りました。
それを水洗いしたのが下の写真。品種は不明。これがたとえば佐藤錦なら、1,000円はする量です。食べてみました。甘くておいしいサクランボでした。女の子たちはひとり2,000円分くらい味わったのかもしれません。それにしても木登りの上手な女の子たちでした。大きくなってセンスのある料理系女子になるかもしれません。
札幌近郊の余市町や仁木町は、山形県には及びもつきませんが、おいしいサクランボの産地です。しかし、サクランボの樹が札幌市内で街路樹の一本として育っているというのは、誰かが「花の桜」と「実の桜」を間違えて植えてしまった結果なのかとも思いましたが、いろいろと調べていると、サクランボの産地であるところの山形県・寒河江(さがえ)市のホームページの「さくらんぼの歴史(国内)」と題する箇所に出会いました。
そこに以下のような記述があります。
「七重官園 (ななえかんえん): 明治元年、日本に初めてさくらんぼを導入した(プロシア人)ガルトネルは、渡島国七重村(現在の北海道七飯町)に農場を開き、果樹栽培をはじめとし本格的西洋農業を試みた。この開墾地は明治4年ガルトネルが去った後も、官園として北海道の農・畜・蚕業の基礎を築いた。」
七飯(ななえ)町は、函館の北側にある町ですが、そこから、余市、仁木、札幌とサクランボが伝わってきた。そういう歴史を背景に、誰かの明確な意思のもとで、札幌の街路樹の一本としてサクランボの樹が植えられた。そして現在、その大きな樹に元気な女の子がよじ登ってサクランボ狩りを楽しんでいる、と考えると、全部がすっきりと落ち着いてきました。したがって、そういうことにしておきます。
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