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2015年8月 5日 (水)

TPPが先送りされ、各国の国民経済はしばらくは安定です。

今回ハワイで開かれた、TPPに関する12か国閣僚会議の取材記事で、読み物としていちばんおもしろかったのは、日本経済新聞一面の「TPP先送り 日米誤算」(2015年8月2日)でした。書き出し部分を引用します。

「環太平洋経済連携協定(TPP)を巡る12カ国の閣僚会合が7月31日(日本時間8月1日)、交渉の妥結を見送って閉幕した。「これが最後」(甘利明経済財政・再生相)と閣僚らが切り札を懐に臨んだ会合は、国益のぶつかり合いで最後までもつれた。背景には指導力を発揮すべき日米の読みの甘さと誤算があった。」

その記事のなかの「TPP、もつれる思惑」と題された絵を参考までに下にお借りします。

Tpp_20150802

主なOECD諸国の政府は、たいていは、その国に仮想的な本籍を置くところのグローバル企業(たとえば、グローバルなアグリビジネス、グローバルな医薬品ビジネス)の強力な支援媒体です。したがって、ある分野を得意とするあるグローバル企業と他の分野を得意とする他のグローバル企業の利害と欲望がぶつかり合ったとき、政府はそれぞれ関連のあるグローバル企業を懸命に支援します。

その結果、今回のTPP交渉のようにお互いの利害の追及が三すくみに近い状態になって話がまとまらないと言った事態も発生する。結果として、その国に仮想的な本籍を置くところのグローバル企業の支援ではなく、当該政府が責任を持つべき国民経済の支援とその維持につながったという、なかなかに含蓄のある結末の今回のTPP騒動でした。

ワインとラシャのどちらをとるかと云った古典的な例に見られるように、農産物生産と工業物生産のどちらをとるかいう単純な産業の棲み分け提案に始まり、たとえば農産物一般では範囲が広すぎるので、農産物を細分化して一種類の農産物を機械化農業で大規模生産する「単作農業」へととめどなく誘導しがちなのが「比較生産費説(比較優位論)」ですが、今回の「TPP 先送り」で「比較生産費説(比較優位論)」に、しばし歯止めがかかったとも云えそうです。

大規模な単作農業とは、それ以外の食料・食材の生産を止めるということなので、過去の東南アジアや南米のいくつかの国がそうであったように、食べもの(基礎食料)の自給を放棄して、基礎食料や基礎農産物は外部の誰かに依存するという状況を招き寄せます。

関連記事は、「古くて新しい農業経済の本(その1)」、「古くて新しい農業経済の本(その2)」。それから「比較生産費説について以前から気になっていたこと」、および『ダニ・ロドリク著「グローバリゼーション・パラドックス」と、下村治著「日本は悪くない(悪いのはアメリカだ)」:グローバリゼーションと国民経済』。

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