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2015年10月28日 (水)

「コメ油」雑感

北海道の農産物の展示即売会の会場で、北海道産米だけをつかった「コメ油」に出会いました。ある知り合いも「コメ油」に関心を持っていたので、納得のいくものなら我が家でも使ってみてもいいかもしれません。調べてみました。関心の対象は、コメ油の抽出方法と、コメ油の脂肪酸特性です。他の機能性にはとくには興味はありません。

米糠(コメぬか)を袋に詰めて木の廊下を磨いた経験があるので、米ぬかに油分が含まれているのは子供の時分から知っていました。下の図が参考になると思いますが、コメ油は、お米そのもの(お米全体)ではなく、玄米を精米したときに発生する米糠(ぬか)から作ります。だから、以前、コメ油ではなく、正確を期して「米ぬか油」と呼んでいたことがあったそうです。しかし、「え?『ぬか』で作った油?」と云うことで消費者の印象が良くなかったそうです。つまり売れなかった。マーケティングというかネーミングの失敗です。

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米糠(ぬか)から油を絞ってみようという試行は江戸時代からあったようです。しかし、米ぬかに含まれる油分は20%未満と低く、オリーブや椿や胡麻(ごま)とは大違いで、石臼などで強い圧力をかけても搾り出すことは簡単ではありません。だから「コメ油」は、たいていは、圧搾ではなく、大量消費の一般的な植物油の製法がそうであるように、化学溶剤を使って米ぬかから油分を抽出し精製するという方法が採用されています。

実際に製造元まで問い合わせてみたところ、上述の北海道米の「コメ油」も、商品の値段や製造コストを考えると当然のことですが、化学的な抽出プロセスを利用していました。

油分の抽出方法の次の関心事は、「コメ油」の「脂肪酸」構成です。「脂肪酸」の構成とは、ココナッツ油に多く含まれる飽和脂肪酸、オリーブ油に豊富に含まれるオレイン酸のような一価不飽和脂肪酸、シソ油や亜麻仁油などに多いαリノレン酸のようなω-3系の多価不飽和脂肪酸、そして大豆油やコーン油にたくさん含まれているリノール酸のようなω-6系の多価不飽和脂肪酸などが、それぞれどのくらい、どのような割合で「コメ油」に含まれているかということです。

「日本食品標準成分表」の「脂肪酸成分表」で調べてみると、「コメ油」は「オリーブ油」に似ている部分もありますが、脂肪酸バランスは「胡麻(ごま)油」にとても近いということがわかります。

(熱を加えても酸化しにくいという意味で)熱に強い植物油と云えば、オリーブ油やココナッツ油です。ごま油も熱に強い。だから(ココナッツ油は味の好みが分かれるとしても)オリーブ油は加熱料理用植物油の定番ですし、天ぷらにはごま油です。コメ油も、熱に強い。

だから、すでにコメ油は「揚げもの」加工食品業界ではけっこうな人気があります。揚げせんべい・ポテトチップス・かりんとうなどの揚菓子やインスタントラーメンなど、コメ油はぼくたちが普段はとくにはその関連を意識しない加工食品で以前から幅広く使われています。

ということで、我が家としては、なしで済ませられるタイプの植物油だし、コメ油を使ったからコメの国内消費量が増えるというものでもなさそうなので、コメ油に冷蔵庫の一部の空間を用意することにはならない模様です。

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