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2015年12月28日 (月)

寒冷化よりは、温暖化

大多数の人が同じ方向を向くように熱っぽい報道がなされるような場合は、そういう報道のもととなった「政治経済的な動き」とは一定の距離を置いてその動きを眺めるようにしています。

日本や世界の気温がこの100年間で上昇したそうです。上昇幅は、平年値との偏差で見て、世界はこの100年間で0.71度、日本はこの100年で1.16度。気象庁が観測データを採りはじめたのが1891年なので、日本に関してはそれ以前は対象外です。「世界の気温 最高更新」という見出しの新聞記事の中のグラフを下に引用しました。

日本の折れ線を静かに眺めると、この15年間くらいは、気温は横ばい状態かやや下降気味のようです。

18912015_20151222

ところで、しばらく以前から話題になっているCO2の大気中濃度は、産業革命当時が280ppm(0.028%)、そして現在は約400ppm (0.04%)です。気象庁は、1890年以降の気温やこの数十年の二酸化炭素濃度以外には興味がないようなので、ある書物を参照します(ニックレイン「酸素」)。

・6億年まえから4億5000年前くらいにかけては、地球の二酸化炭素濃度は、4,000ppm (0.4%) から 5,000ppm (0.5%) だった。同時期の酸素濃度は、だいたい15%程度(現在の酸素濃度は21%)。

・デボン紀(3億8500万年前)にさしかかるあたりから二酸化炭素濃度は3,000ppm (0.3%) に下がり始め、いわゆる石炭紀(3億6000万年前から2億9900年前、この地層から石炭が多く産出されるので石炭紀と呼ばれる)の終わった頃には、300ppm (0.03%) と低下した。その頃の酸素濃度は30%を超えている。

・その後、二酸化炭素濃度はいったん1,200~1,300ppmまで上昇し、そこからゆっくりと下がり始め、現在 (300ppm~400ppm) に至る。酸素濃度は現在の21%に徐々に落ち着いてきた。

さて、ここでは、地球の気温の変化・変動に関して、時間軸の単位が上に引用したグラフとは相当に異なる観察結果を対置してみます。「一定の距離を置いてその動きを眺める」ためです。

下は過去40万年の地球の気温変化(偏差)をグラフ化したものです(丸山茂徳「異論 地球温暖化」より引用)。だいたい10万年の周期で、ゆっくりと寒冷化し、そしてけっこう急に温暖化するというのが、太陽系の一部であるところの地球の好みのパターンらしい。もっとも直近の氷期最盛期は約 2万1000 年前なので、下の折れ線グラフだと、右下の-9℃あたりに相当します。

地球の気温の振幅は8℃、つまり、平均的な気温から、暖かい方向に4℃、寒い方向に4℃。そういう振幅の変動を、過去数10万年間は、10万年の単位で(1万年程度の誤差はありますが)繰り返しています。そして、現在は、暖かい側のピークの近辺にいるらしい。今後もっと暖かくなるのか、それとも寒冷化に転換するのかは、よくわからない。

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ある熱狂があると、それをビジネスに利用する才覚のある人たちが出現します。たとえば、アル・ゴアの「不都合な真実」などはそうでした。科学者も例外ではなくて、必要ならば、欲しい結論に合うようなモデルを作り、そういう結論に適合的なデータだけを選択的に集める、必要ならデータを捏造する。下のホッケー・スティック曲線と呼ばれたグラフはそういう例です。この曲線はかつてはIPCCの報告書に正式に掲載されていました。このモデルによれば、過去1000年地球の気温は穏やかに下降し続けたが、CO2排出量の急増する戦後の1950年くらいから地球の気温は急激に上昇したということになります。。

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ぼくは、寒冷化よりは温暖化の方がいいという考え方です。寒冷化への転換時期はできるだけ先に延びてほしいものだと思っています。理由は、寒いのはかなわない、からです。寒いと農産物の生産量が低下する。農産物が少ないと家畜はエサで苦労する。農産物と畜産物の収穫量が低下し、ぼくたちヒトは食糧で苦労する。

反対に暖かいと、農作物はよく育つ。CO2は植物の光合成には不可欠ですが、CO2濃度を自然環境よりも300 ppmといった単位で増加させると(つまり、現在が370~380 ppmなら、農作物の生育環境を670~680 ppmにまで高めると)コメや大豆やジャガイモやニンジンやトマトといった農作物の収穫量は30%から40%は増加するという実験結果も多いようです(「CO2 Science データベース」)。

「CO2 Science」のサイトでは、豆科植物である「ササゲ (Cowpea)」が、CO2濃度が450ppmの環境と1,270ppmの環境でそれぞれに栽培されると、葉や茎や根の成長力が42日間でどう違ってくるかを2分と少しで観察できるビデオも用意されており、CO2に関してバランスのとれた感覚を維持するには興味深い材料です。

ある種の熱狂からは、それがどのようなものであれ、一定の距離を置きたい。

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