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2016年3月

2016年3月31日 (木)

「湯たんぽ」で感じる春

数年前から、冬は「湯たんぽ」になりました。最近の湯たんぽはよくできていると思います。

SG (Safety Goods) マークのついた一体成型のポリエチレン製で容量が1.8リットルのものを使っています。沸騰したお湯を使うと朝まで暖かいのですが、使い始めの熱すぎるのは嫌なので、フリースカバーは商品付属のものと、それより一回り大きいのを別に買って、二重にしています。

寒い夜は足先でその湯たんぽに直接に触るとほっとします。しかし、直接の暖かさではなく、掛布団の中の空気を通して足先に暖かさが間接的に伝わってくるのを感じるのも楽しいものです。知らぬ間に眠っています。

明日から湯たんぽは要らないかもしれない、と感じる夜があります。そういう時に札幌にも春がそのあたりにいるのを実感します。

きれいに洗い、内側をよく乾燥させてから次の冬まで収納です。

【註】「SG」は「Safety Goods」の略。一般財団法人製品安全協会の安全基準に合格した生活用品につけられるマーク。乳幼児用品、福祉用具、台所用品、家具類、スポーツ・レジャー用品などを対象とする。

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2016年3月30日 (水)

北海道新幹線の乗車率と他の新幹線の乗車率、羽田-札幌便の搭乗率

開業日の直前と開業日には例によって「大本営発表」みたいな雰囲気の報道ばかりでしたが、報道内容も三日目の夜になると、再び例によって、少し落ち着いてきました。

「北海道新幹線の乗車率、初日は61%、2日目37%」

「JR北海道は28日、開業2日間(26、27日)の北海道新幹線(新函館北斗―新青森)の乗車実績を公表した。26日は約1万4200人で乗車率は約61%。前年同期の在来線特急と比べ3・3倍増えた。27日は約8700人で同2・1倍増。乗車率は約37%だった。
 開業後9日間の平均の予約率は約24%(21日現在)で、JR北は平均の乗車率を約26%とみている。島田修社長は「平日になるとさらに落ち着いていく、と予測せざるを得ない」と話し、ゴールデンウィークや夏の行楽期に乗車率を上げていくための営業強化が不可欠だとした。」(朝日新聞デジタル 2016年3月28日20時40分)

この平均乗車率が25%程度というのは確かに低いようです。だから、夜の車両なら、昔のジャンボジェットのエコノミークラスみたいに、まん中4席がつながったところを独り占めして、幅の狭いベッド風に横になって、朝の到着時までひと眠りという贅沢に近い贅沢ができるかもしれません。もっとも、新幹線の場合はそんなことをしたら同一車両の他の乗客の顰蹙を買うという可能性が高いし、車掌も注意しに飛んでくるかもしれません。

乗客の利便性の高さと企業の収益性の高さという二つの観点からもっとも参考になるのが東海道新幹線の乗車率ですが、東海道新幹線の平均乗車率は58%~60%くらいだそうです。

北陸新幹線はどうかと云うと、開業3ヶ月間の平均乗車率は47%だそうです。相当に高い数字です。金沢やその周りの観光地や温泉地に行くには新幹線の方が圧倒的に便利なので、そういう利便性が反映された数字になっています。能登に直接に行きたいような場合を除いて、北陸への飛行機便は、新幹線が走ってしまえば、魅力がありません。

札幌は飛行機でないと本州の主要都市との往復が困難な土地ですが、ある程度の頻度で利用する札幌-東京便も、それから札幌-大阪便も、常にほぼ満席状態という印象のある路線です。念のために、その路線のJALグループとANAの2014年度の搭乗率を調べてみると非常に高い(JAL、ANA発表データ)。70%から80%という数字は、乗り込んだ乗客の皮膚感覚には、ほぼ満席状態と伝わってきます。

伊丹-札幌線: 79.0% (JAL)  77.8% (ANA)
羽田-札幌線: 74.2% (JAL)  68.4% (ANA)

そしてそういう便の乗客は、観光のハイシーズン以外は、ぼくの経験値でも60%から70%はビジネス客、あるいはビジネスではないのかもしれないけれど観光目的以外の目的で飛行機を利用する人です。観光客以外の利用客が安定して増えないと50%を超える乗車率や搭乗率はむつかしい。

同じく(JALグループとANAの2014年度の)旅客数は、上位4路線を並べてみると次のようになります。

羽田-札幌線: 3,089,196人 (JAL)  3,651,334人 (ANA)
羽田-福岡線: 2,960,727人 (JAL)  3,307,423人 (ANA)
羽田-伊丹線: 2,555,268人 (JAL)  2,719,359人 (ANA)
羽田-那覇線: 2,353,605人 (JAL)  2,330,048人 (ANA)

この数字に、その他の航空会社の数字を付け加えると、羽田と札幌を飛行機で飛んだ人は大ざっぱ計算で1年間に700万人くらいということになります。

最初に引用した記事の「27日は約8700人で・・・乗車率は約37%だった」という記述から、年間を通しての一日あたりの平均乗客数が10,000人、つまり、平均乗車率が42~43%とすると、年間乗客数は365日で3,650,000人になり、これはJALグループの羽田-札幌線の旅客数を超え、ANAの旅客数に匹敵します。

ただし、こういう数字が生まれるためには、飛行機の様に観光客だけでなくビジネス客も安定的に利用することが条件になります。その条件とは、つまり、

1. 北海道新幹線が札幌まで来ていること

2. 東京-札幌間は4時間前後(今の東京-函館間の4時間2分程度)

3. そのために、新幹線と青函トンネルを共用している貨物列車との棲み分け具合の変更。

【3.の註】 青函トンネルを新幹線といっしょに通過する貨物列車はJR(JR貨物)にとって高収益ビジネスであるはずで、しかも、旬の季節には北海道の三大農産物であるところのジャガイモ・タマネギ・ニンジンなどの農産物が北海道から本州に臨時便で大量搬送されていく。だから、そういう意味では、新幹線は貨物列車の隙間を、貨物列車の速度で走らせてもらっていることになる。この状況の住み替え、ないしは、画期的に格安な工法でもできない限りは無理な選択肢ですが、現在の青函トンネルを新幹線用とし、別に安価な貨物用のトンネルを用意。

現在の北海道新幹線の乗車率がある程度上がっていかないと今後の見通しも悪くなるので、函館市や北斗市、およびその周辺にお住まいの方は(函館市の人口は27万人、北斗市は5万人)、首都圏方面に出かけるときは、飛行機を利用せずに、少々余計に時間がかかっても往復とも必ず新幹線、ということにしたらいかがでしょうか。食べて応援ではなくて、乗って応援です。

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2016年3月28日 (月)

先日の「国際金融経済分析会合」におけるスティグリッツ教授の提言資料に目を通してみた

先日(3月16日)、「国際金融経済分析会合」が開催され、そこで講師に招かれたのが、米国コロンビア大学のジョセフ・スティグリッツ教授です。そのときの報道を立場の違う二つのメディア(産経新聞と日本農業新聞)から引用すると以下のようになります(引用は【・・・】部分)。

<産経ニュース 2016年3月16日>

【スティグリッツ氏発言要旨 消費税引き上げ「今のタイミングは適切ではない」】

 【今の世界経済は大低迷の状況だ。まだ危機ではないが成長は減速している。2015年は金融危機以降、最悪の状況だったが、16年はさらに弱体化すると思っている。
 最も根本的な原因の一つは、総需要の不足だ。日本が今年議長国を務める主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)などで、需要を刺激するような各国間の調整策を議論してほしい。
 日本は総需要をつくり、成長を引っ張る模範を示すべきだ。非常に強い金融政策を実施し、それが景気刺激策になったが、もう限界に達している。次に財政政策をとることが重要だ。
 消費税は総需要を増加させるものではないので、引き上げるのは今のタイミングは適切ではない。炭素税や相続税、累進制の高い所得税などで増税し、一方で教育、経済を下支えする投資支出を拡大していくことで、経済を刺激する効果があると考える。】

<日本農業新聞 2016年3月17日>

【TPPは悪い協定 米議会で批准されぬ ノーベル経済学賞・スティグリッツ教授】

 【5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に向け、政府は16日、安倍晋三首相らが有識者と意見交換する「国際金融経済分析会合」を初めて開いた。講師に招いたノーベル経済学賞受賞者で米コロンビア大学のジョセフ・スティグリッツ教授は、環太平洋連携協定(TPP)について、米国での効果はほとんどなく、米国議会で批准されないとの見方を示した。
 日本政府は、TPPの早期発効に向けて、今国会に協定承認案と関連法案を提出し、成立を急ぐ。だが、TPP発効には、米国議会の批准が不可欠。世界的に著名な経済学者がTPPの効果や批准の見通しについて否定的な見解を示したことで、日本国内でも一層、慎重な対応を求める声が強まりそうだ。
 (中略)
 この会合をめぐっては、来年4月に予定される消費税率10%への引き上げを再延期する布石との憶測も出ていた。スティグリッツ氏は「消費税を引き上げるのは今のタイミングは適切ではない」と、引き上げを見送るよう提言した。】

会合で使われたスティグリッツ提言資料は、3月18日に政府からPDFファイルで原文日本語訳(ただし「仮訳」と表記)がWEB上に公開されました。しかし、実際の会合の席上で提言資料以外にどんな発言があったかはぼくにはわかりません。当該資料には消費税への直接の言及はありませんが、会議では、需要の喚起という文脈で、そのことに口頭で触れたのかもしれません。

ここでは公開されたスティグリッツ提言を、「世界経済と日本経済の病状診断」および「病気から回復するための処方箋」という観点から、「日本語訳」を3ページだけ(ただし各ページはページ単位でまるごと)引用してみます。彼の提言骨子になると思います。

① 病状診断(症状とその原因) 44ページ

VII. 遠近法で今の世界を見る

• 30年ほど前、多くの先進国では、税率の引き下げや規制緩和といった実験を始めた。
• 変化する経済環境に対応し、経済の枠組みを調整する必要があった。
   • しかし、誤った調整がなされてきた。
• 結果として、経済成長は鈍化し、格差が拡大。
• 今となって漸く、それらの結果が全て目に見えるものとなったが、過去からずっと進行して 
 きた結果なのである。
• 現在の方向性が維持されると、状況は更に悪化するだろう。
   • 未だ語られていない政治的な帰結もある。そのうちの幾つかは分かり始めている。
• これらの実験は、大きな失敗であったと今や言うことができる。大きな失敗であったと言うべきである。
• 新たな方向性が求められる。
   • 現在の取り決めの微調整では上手くいかないだろう。

② 病状診断(症状とその原因、補足) 32ページ

機能するサプライサイドの施策(「高いお米、安いご飯」による【註】:このページに関してはページタイトルと内容が一致していません)

•効果的でない(または逆効果な)サプライサイドの施策が多く存在する。(【註】ページタイトルとしてはこちらがふさわしい)

• 法人所得税率の引下げ。
   • 例外として、投資をして雇用を創出させる企業には減税し、投資や雇用 創出に消極的な企業には増税する施策。
• 金融市場の規制緩和。
   • 投資の減少、投機の拡大、市場の不安定化につながる。
• 貿易政策においてサプライサイドの効果は期待されてこなかった。
   • 効果は常に過大評価される。
      • 米国にとってTPPの効果はほぼゼロと推計される。
   • TPPは悪い貿易協定であるというコンセンサスが広がりつつあり、米国議会で批准されないであろう
      • 特に投資条項が好ましくない-新しい差別をもたらし、より強い成長や環境保護等のための経済規制手段を制限する

要は、先進国は、過去30年、グローバル経済に集約されるところのグローバリゼーションを(グローバル企業を税制や規制緩和、自由化などで優遇しながら)懸命に推し進めてきたし、より最近ではQE(量的緩和)などの金融政策も継続的に実施してきたが、「結果として、経済成長は鈍化し、格差が拡大。今となって漸く、それらの結果が全て目に見えるものとなったが、過去からずっと進行してきた結果なのである。」というのが彼の目に映っている現在の世界(経済)です。

③ 処方箋  48ページ

世界経済:この道を進もう

•「新たな凡庸」(The New Mediocre)、 「大低迷」(the Great Malaise)、「長期停滞」(Secular Stagnation)は避けられないものではない。
   •これらは、政策の失敗による帰結。
•統合が進展する中、前進するための最善の方法は、バランスを取り戻し、総需要を増加させるために国際的な協調を行うことだ。
   •例えば、世界公共財の供給-研究、地球温暖化対策-に向けた国際協調。
   •この国際協調はとりわけ困難である。
   •G7において、日本がリーダーシップを発揮することが、前に進むための一歩となるだろう。
•しかし、そういった国際協力が不十分な状況下にあってさえ、需要の強化や生産性の向上のために各国が単独で行うことのできることは多く存在する。
   •それは、大きな好影響を他の国に対しても与えるのだ。

処方箋に関しては、彼は、実行可能な処方箋を書くのはとてもむつかしいと、処方箋に該当するページに書いたわけです。だから、処方箋は、「統合が進展する中、前進するための最善の方法は、バランスを取り戻し、総需要を増加させるために国際的な協調を行うことだ」、「そういった国際協力が不十分な状況下にあってさえ、需要の強化や生産性の向上のために各国が単独で行うことのできることは多く存在する」といった内容、バランスのとれた総需要喚起のためにそれぞれに頑張ってくださいといった感じの内容になっています。

言葉を換えれば、過去30年の間に刷り込まれてしまったグローバリゼーションという先入主からの脱却を提言しているわけです。アベノミクスというのは、そういう先入主の華やかそうな部分を描いた用紙を何枚か用意し、世界の刷り込みプロセスの最後のあたりで、それらをあわててホッチキスでパチンと留めたものだと云えなくもない。だから、結局のところ、すぐにバランスが崩れてしまう。国民消費がじわじわと落ち込んでいく、そして、たとえば、「保育園落ちた日本死ね!!!」になる。 

「保育園落ちた日本死ね!!! 何なんだよ日本。一億総活躍社会じゃねーのかよ。昨日見事に保育園落ちたわ。どうすんだよ私活躍出来ねーじゃねーか。子供を産んで子育てして社会に出て働いて税金納めてやるって言ってるのに日本は何が不満なんだ?・・・」は、スティグリッツ教授のいう「需要の強化や生産性の向上のために各国が単独で行うこと」のひとつです(以下は蛇足的な引用)。
  
  機能するサプライサイドの施策 (「提言資料 31ページ」)
   • 労働参加を促進する施策
      • 有効な公共交通システム
      • 育児休暇、有給病気休暇
      • 子育て支援
   •被差別層・社会の主流から取り残された層の包摂
      •女性
      •少数派・マイノリティー
      •移民

ぼくは、グローバリゼーションという仮想的な巨大ピラミッドの信奉者になるよりは、国や国民経済という小ぶりなピラミッド(そこにどんな形にせよヒエラルキーが存在するという意味でピラミッド)の一員として生きる方が、好ましいと考えています。すごく身近な言葉を使えば、日本という広がりの中で地産地消を軸に生きる方が心地よい。グローバリゼーションの推進と、国民経済の安寧な維持とは、どうもお互いになじまない。

国家戦略特区構想や法人税の引き下げは「グローバリゼーション」の推進に貢献します。しかし、国家戦略特区構想の中には、解雇規制の緩和、有期雇用契約の自由化、労働時間規制見直し・適用除外(有体に言えば残業代は払いません)などが含まれており、これは「国民経済」を棄損します。法人税の引き下げ分が、実質的には消費税の値上げ分で補填されるようなら、これも「国民経済」を傷つけます。実際、その通りになっている。

原子力発電の再稼働に関しても同じような状況が見られます。外国からグローバル企業を呼び込むための施策、あるいは国籍は日本ということになっている日本のグローバル企業を引き留めるための施策のひとつが原発の再稼働と云うことです。しかし、再稼働云々の前に、福島原発では、今でも、原子炉からメルトダウン、メルトスルーしたデブリ(核燃料の残骸)が放置されています。そこからは強い放射能を持った微粒子が漏れ出しています。 Under Control からはほど遠い状態です。こういう、いわば、知らんぷり状態、見て見ぬふり状態が今まで続いてきましたし、このお手上げ状態は今後も続きます。こうして国民と国民経済がさらにじわじわと傷ついていきます。

今回のスティグリッツ教授の提言資料は、グローバリゼーションというものの持つ意味を考え直すきっかけにはなります。

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2016年3月25日 (金)

ヤーコン入門には、寝かせたヤーコンのキンピラ

ヤーコンは飽きない」、「再び、ヤーコンは飽きない」、「土付き野菜は人気がない、そして、そのひとつとしてのヤーコン」の続きです。

ヤーコンは色黒なサツマイモのような外貌と、梨のような瑞々しい切り口と風味を持った不思議な根菜類です。生(なま)は細長く切ってサラダに、ミキサーで野菜ジュースに、加熱すると汁物の具やキンピラになります。旬は10月から12月ですが、北海道では貯蔵してあったのを3月まで販売しています。

ヤーコンにはフラクト・オリゴ糖が野菜の中ではいちばん多く含まれているので、もともとほのかに甘い。収穫後、貯蔵しておくと甘さが増します。だから、2月の下旬などにキンピラをつくると、醤油と日本酒だけでも、しっかりと甘いのができ上がります。ぼくには甘すぎる。

市販の惣菜としてのゴボウのキンピラを何かの事情で口にしたのはずいぶん前のことです。とても甘かった記憶があります。今は、コメもトマトもイチゴもリンゴも甘いのが好まれる時代なので、デパ地下の総菜売り場やコンビニで売っているゴボウのキンピラも、以前と同じように、あるいはそれ以上に甘いに違いない。大人の消費者も子供もそういう味に慣れています。

ゴボウのキンピラをつくるのが面倒な主婦の方がヤーコンのキンピラに挑戦する機会は少ないと思いますが(その理由は、ヤーコンは比較的にサクサクと切れますが、たいていは泥付きなのでタワシでこすらないといけない、きれいな野菜以外は野菜と考えない主婦は尻込みする)、ヤーコンというものを一度家族で味わってみたいとお考えなら、旬の時期を過ぎたあたりのヤーコンのキンピラがお勧めです。

砂糖や味醂なしで十分に甘く仕上がるので、子供も含め、家族みんなで楽しめます。ヤーコン入門にはキンピラが便利です。

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2016年3月24日 (木)

すでに「TPPの功労者」?

「TPPの功労者」というタイトルの数分間の報道が、民間ではないところの某放送協会の、数日前の夜のニュース番組でありました。天気予報を見たかったのでテレビのスイッチをオンにしたところ、天気予報の前のその数分間に出会ったというわけです。

この報道のしかたというか、タイトルのつけ方が客観的ではありませんでした。フェアでないといった方がいいかもしれません。もっとも、この協会は(一部の例外的な従業員を除いて)実質的には現政権の政策の拡声器なので、担当者にとっては愚民の啓発という業務を着実に遂行しているということになるのでしょう。

フェアでないというその理由は、功労者という表現と、決定していないことを既決事項の如くに報道するという手法です。

功労者というのは、何かが完結した時に、その何かの成立にとくに貢献した人物に対して用いられる用語です。TPPは今まで内閣主導でことを進めてきましたが、TPP協定への参加が国会で承認されたわけではありません。TPP参加を表明している米国やカナダでも、TPPは議会でいつ批准されるのか誰も知らない。反対意見も相当に強いので、批准されない可能性も高い。日本と似たような状況です。その状況で、すでに「TPPの功労者」です。

結果がどうなるかまだ分からない進行形のできごとを、完了したごとくに報道する。意図的な傾斜があります。たとえてみれば、「消費税10%の功労者」という番組を、無理やりその夜に流したのと同じことです。

以前から期待していることがあります。どこか、スマートな電気機器メーカーが、当該協会の番組だけは決して映らないテレビと、そして、そのテレビを買えば、自動的に受信料負担がなくなる契約ソフトウェアでもセット販売してくれないかと・・・。

受信料の徴収は放送法という法律が根拠らしいのですが、ぼくもいちおうテレビを持っているので、受信料なるものを定期的に銀行口座から引き落とされています。この協会は国民世帯の支払う受信料で運営されているので、ぼくも当協会の「一口株主」みたいなものです。この記事は「一口株主」としての発言です。

受信料に関連する部分を以下に引用してみます。

(受信契約及び受信料)

「第六十四条  協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(音声その他の音響を送る放送であつて、テレビジョン放送及び多重放送に該当しないものをいう。第百二十六条第一項において同じ。)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。」

「2  協会は、あらかじめ、総務大臣の認可を受けた基準によるのでなければ、前項本文の規定により契約を締結した者から徴収する受信料を免除してはならない。」

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2016年3月23日 (水)

サプリメント広告と「大人のための残酷童話」

サプリメントには興味がないのですが、サプリメントの広告チラシが朝刊にはさまれているのに気が付くとそのコピーに目を通すこともあります。コピーの内容から、その会社での営業や販売促進部門でどんな問題をかかえているのか、なんとなくわかるので面白い。

「□□□□をやめた。一気に、年をとった」(64歳 女性)というのが大きな活字でチラシの中心にあり、その隣に、40代・50代・60代・70代と年代別に、もと顧客と思しき(ということになっている)方のコメント、このサプリメントを検討中(ということになっている)方の感想が並んでいます。なお「□□□□」は商品名です。

「体力が、ぜんぜん違う。□□□□を飲んでいた時は、気付かなかったけれど・・・」(46歳 男性)

「鏡を見るたび、落ち込む。今の状態は□□□□を止めたからでしょうか」(63歳 女性)

商品を製造販売する企業にとっては、リピーター(繰り返し購入者)の存在が一番ありがたいのですが、リピーターが希望通りに増えないのか、リピーターになりそうだと考えていたお客が突然に継続購入を止めてしまうのか。どうも、そういう事態に直面しているようです。お客が効き目がないと判断して購入を中止するのか、競合製品に鞍替えしてしまうのか、そのあたりはぼくにはわかりません。しかし、このコピーからいろいろなことが想像できます。

倉橋由美子の短編集に「大人のための残酷童話」というのがあります。どういう内容の短編集か、著者のあとがきから一部を引用します。「全体として残酷というよりも救いのない話が並んでいますが、いずれも『自業自得』の世界に属しますから、愚行は罰せられ、賢い者はそれなりの正当な報いを手に入れる結果になっています。」

倉橋由美子の云う自業自得とは運命的な色合いを含めての自業自得ですが、彼女が存命中なら、上の三つのコメントや感想から、熟年者と老齢者のための残酷童話をすぐに三つ紡ぎだすかもしれません。

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2016年3月22日 (火)

続・米(コメ)のチカラで小麦粉を膨らませる

米(コメ)のチカラで小麦粉を膨らませる」の続きです。

先日、米(コメ)から作った天然酵母を使ってパンをオーブンで焼きましたが(製造責任者は配偶者)、今回は、普段、気軽に使っているホームベーカリーにいつもの形のパンを焼いてもらいました。

朝、きれいに焼き上がったばかりを、容器(釜)からスポンと取り出してパン切り台に置き、撮影。

Photo

この米(コメ)由来の自家製酵母を利用したパンは、市販の評判の良いパン用天然酵母を使って焼いたものよりも、味と香りが華やかです。酵母の影響力というものは、けっこう大きい。

日本酒の味わいは味と香りの組み合わせです。その味と香りを決めるのは、杜氏の力量を別にすれば、酒米の種類と精米歩合と酵母の種類です。どんな酵母を使ったのかが記載されていない場合も多いなかで、美味しい地酒に出会い、その地酒に下のようなラベルが貼ってあるのは嬉しいものです。

この蔵元では酵母に「蔵内保存酵母」を使っていますが、我が家のパンの場合は蔵がないので「酵母:北海道産うるち米由来酵母」ということになります。

Photo

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2016年3月18日 (金)

環境問題の主張の一部に対して抱く違和感

「なんですか、あなたは資源を無駄遣いした方がいいというのですか?」

「いいえ、資源は無駄使いをしない方がいいと思います。わが家でも電気は節約しているし、野菜も旬の露地物がいちばん好きです。流行の洋服を追いかけたりもしません。3R (Reduce, Reuse, Recycle) や5R (Refuse, Reduce, Reuse, Repair, Recycle) という考え方と最近の優先順位づけも気に入っています。つまり、Recycle の優先順位がいちばん低いのが、すばらしい。強引なリサイクル化はコストパフォーマンスが悪く、つまり、無理をして商品化し、そのために無駄にエネルギーを使うので適正利益の出るまともなビジネスとしては成立しない。そういうことが身に沁(し)みたのでしょう。使用済みのペットボトルでフリースやクリアファイルや卵パックを作るなどというのは数少ないリサイクル商品の成功例ですね。」

環境問題の主張の一部に対して持つ違和感は以前から続いていて、薄くなりません。環境や環境問題に熱心な方と、環境や環境問題について会話を交わす機会があったような場合、どうもうまく噛み合わない。だからぼくはお相手の意見に違和感を抱き、先方は、煮え切らないぼくに対してイライラを募らせるようです。

お相手の感じているであろうこのイライラは、ぼく自身にもよく理解できるような気がします。「正しいこと」に対してすぐに「そうだそうだ」と賛成しないのですから。もし今が戦前なら、流れに棹ささないぼくはお相手から「非国民」と呼ばれていたかもしれません。しかし今は戦前ではなくグローバルという形容詞が蔓延する時代なので、「非国民」ではなく「人非人」、人にあらざる人、ということになりそうです。

環境問題に熱心な方の話題の中心は、CO2濃度の増加と地球温暖化です。地球温暖化は英語だとGlobal Warmingですが、ぼくは、頭にGlobalとつくとその議論はひょっとしてマユツバかもしれないと考える傾向があるので、そういう言葉が頻出する主張を前にすると一歩引いてしまいます。

ものごとには、たいていの場合は、アドバンテージ(利点)とディスアドバンテージ(欠点、不利)があるので、なにかを考える場合には、その両方を並べてみるとそのことの理解が進みます。しかし、二酸化炭素や温暖化が話題の場合、そういうことは今さらしないことになっているのか、アドバンテージとディスアドバンテージが提示されることや確認されることは少ないようです。提示された場合でも、なにか違和感の漂う例や不思議な想定例といっしょの場合が多い。

たとえば、次のような主張があります。

「CO2が増え続けている。困ったことだ。地球が産業革命あたりから温暖化している。困ったことだ。CO2を削減しなくてはならない。地球の温暖化を止めなくてはならない。」

(蛇足めきますが、CO2を削減し地球の温暖化を止めなければならないと主張する人で、地球環境の保全や持続する社会のためには、地震を止めなければならない、津波の発生を抑制する必要がある、台風の発生を防止しなければならない、と言った人にはぼくはお目にかかったことがない。)

そういう、CO2の増加そのものが大問題だ、温暖化そのものが悪いといった主張を聞いた場合、もし、その方とゆったりとした私的な会話の機会があれば、次のようなことを尋ねるようにしています。

「CO2が増加して何か悪いことがありましたか?逆に、CO2が増加してよかったことはありませんでしたか?」「この200年で地球が温暖化して何か悪いことがありましたか?温暖化してよかったことはありませんでしたか?」

たいていの場合は、おそらく想定外の内容の質問なので、すぐには答えがありません。沈黙がその場を支配します。そういう場合は申し訳ないので、「助け舟」を出します。

「CO2が増えると農産物の収穫量は増えますよ。CO2が300ppm増えたら、たとえばCO2濃度が300ppm (0.03%) から 600ppm (0.06%) になったら、米や大豆やジャガイモやニンジンやトマトの収穫量が1.3倍から1.5倍になったという研究事例がたくさんあります。ご存じのように、植物は光と二酸化炭素と水の光合成が命です。だから普通の露地栽培でも産業革命当時よりも今の方が農産物の収穫量は多いです。北海道のような農産物生産地には、CO2の上昇はいいことです。ぼく自身はCO2の増加で困ったことはとくにはありません。もっとも空気のきれいな札幌に、北京から汚れた空気が流れてくるのは嫌ですが。・・・・・

ところで、あなたは温暖化で困ったことはありましたか。外国の山地生まれで朝夕の寒冷な気候が好きな野菜もあるし、寒冷地仕様の農産物も開発された。しかし全般的には暖かくなった方が農産物の生産には有利です。北海道はその方がいい。シベリアも穀倉地帯になるかもしれない。北極海の氷が融けると、北極海経由の船舶輸送が活発になります。ロシアや北欧との貿易は楽になる。飛行機を使わなくていいし、船も遠回りをしなくていい。エネルギー資源の節約です。」

そう云うと、ほっとした表情で「そういう地方の視点だけではダメなんですよ。」

「そうですか。でも、繰り返しで申しわけないけれど、この200年の地球温暖化であなたが実際に困ったことはありましたか?」
「南太平洋の小国が水没の危機にある。日本も将来海に沈むかもしれない。あなたの家がそうなったらどうするんですか。」と恐ろしいことを口にします。
「6000年から7000年ほど前に、日本でも縄文海進がありましたから、そういう可能性はあります。東京だと東京タワーのあたりで貝塚が発見されましたが、当時はそこまで海だった。でも、IPCCの初代議長は、この方はスウェーデンの気象学者ですが、2020年にはロンドンもニューヨークも水没すると予言していました。今は2016年だから、ロンドンもニューヨークもそろそろヤバイですね。」

以前は、原子力発電は「CO2を出さない」となっていましたが、今は「発電時にはCO2を出さない」と控えめになりました。しかし、原子力発電の裏側には電力量の調整のために揚水発電が存在し、揚水発電の設備はCO2を排出するので、必ずしも正しい表現ではない。

こういうのを、ぼくは、「環境問題の主張の一部に対して抱く違和感」と呼んでいます。

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2016年3月17日 (木)

米(コメ)のチカラで小麦粉を膨らませる

ホームベーカリーで焼くパンには、たとえば小麦粉と麹とブドウ種酵母で作られた市販の天然酵母(パン種)を使ってきましたが、配偶者がコメで酵母を自分で作るといい始め、作ってしまいました。

「天然酵母を使ったパン焼き教室」でも干しブドウなどを使って天然酵母をつくることが多いそうですが、プロではない先達の智恵をインターネットなどで調べて、コメと麹から甘酒を作り、甘酒から酵母をつくることにしたそうです。とても強い酵母ができるらしい。

配偶者はべったら漬けなどのために甘酒作りは慣れています。甘酒をヨーグルトメーカーを利用して28℃でゆっくりと発酵させ続けていると、58時間くらい経過したころから酵母がプクプクと活動し始めます。蓋を取ると酵母独特の香りがそのあたりに拡がります。72時間(まる三日間)後に酵母ができ上がります。甘酒作りから勘定すると、ここまでの工程は4日間。

その酵母に、北海道産の小麦粉(ハルユタカ)を混ぜ、25℃くらいで8時間発酵させ、そのあと冷蔵庫で7時間寝かせ、また小麦粉と水を加えて25℃くらいで3時間発酵させる。すると、容量が倍くらいにまで膨らんで、ようやくいつでも使えるパン種のでき上がりです。

配偶者は、そのパン種を使い、小粒レーズンを入れたブドウパンをオーブンでさっそく焼き焼き上げました。

最初の写真は62~63時間くらいたったころの様子。酵母が活動している様子を示すプクプク泡が観察できます。

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二番目の写真は、自家製酵母のパン種を使って焼いたパン。コメのチカラで膨らんだ小麦粉のパンです。焼き上がってまだ熱々なのを二人で何個かずつ食べてしまいました。

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2016年3月16日 (水)

TPP協定と、そのいちばんの受益者について

TPP協定の狙いは何かという質問をされたら、TPP協定の締結・実施で「いちばん」得をするのは誰でしょうかという質問を返すといいと思います。そこに答えがあるからです。答えはグローバル経済で活動するグローバル企業です。

グローバル企業にとって経営がもっとも効率的なのは、同じ製品や商品を、均質的な市場に大量販売することです。だから世界の市場は国境を感じさせないほどに均質化していた方がいい。関税の廃止というのは均質化のための荒っぽい手段のひとつですが、商品の流通の方法も均質化していた方が経費は少なく利益は多い。均質化を妨げるものがあれば、それを打ち砕く方策がなにかそばにあると便利です。

市場の均質化といっても、やはり文化的な違いや地域経済の特性の違いから市場ニーズには差が出ます。たとえば、インドでは軽乗用車需要が圧倒的に強い。しかし、市場ニーズに言語以外の差がないような場合も多い。たとえば、スマートフォン。

均質化から今でも一番遠い場所にあるのは、食べもの、食事です。マクドナルドやKFCといったプレーヤーによってファストフード分野でのグローバルな均質化はある程度は浸透しましたが、札幌の渡辺家の朝ごはん(鮭の塩焼きとお味噌汁)は、ロスアンジェルス近郊に住むファーガソンさんのお宅の朝ごはん(ベーコン&目玉焼きとサラダ、あるいはコーンフレークかもしれない)とはずいぶん違います。台北の呉さん夫婦の朝ごはん(揚げパンやお粥)が加えてみるともっと違う。晩ごはんになるとさらに違う。しかし三つの家庭のご主人や奥さんはともにiPhoneやWindowsを使っている。

農産物の生産は、食文化の違いが根にあるので、そもそもが国内・地域内のローカルな営みで、胡椒やコーヒーといった嗜好品を除き、農産物は国を超えた貿易の対象ではありませんでした。地域単位の地産地消が食の基本です。それぞれの地域や国が必要量を生産し、消費し、不測の事態に備えて少し蓄えておく。

資本主義が発展すると都市人口が急激に増加します。都市人口の中には工場労働者も含まれます。資本主義の成長にともなって増大する都市人口や工場労働者に食料を供給するために、資本主義各国は国内の農業生産力を高めてきました。明治以降の日本も例外ではありませんでした。多くの先進欧米諸国は(比較生産費説で有名なリカードウの母国であるところの英国などを別としても)今でも高い穀物自給率や食料自給率を維持していますが、そういう歴史遺産が現在まで存続しているわけです。そのことと食文化の違いがいっしょになると、農産物や食べものに関しては国の単位で地産地消を維持することがデフォ(デフォールト・バリュー)になります。

しかし、時代と資本主義が推移し変化し、農産物余剰国とその農産物余剰国を本籍地とする巨大なアグリビジネス(農業ビジネス)が、他国に対して農産物の販売活動、マーケティング活動を開始するようになると、農産物は、衣類や自動車と同じような経済の一要素になり、食は徐々にグローバル化します。食がグローバル化するとは、世界中の人が同じような食材を同じような調理法で食べるようになることです。ITの世界のOSや情報端末のグローバル化と同じことです。日本で生まれたカップラーメンなどもグローバル化した加工食品のひとつの例です。

そういう指向の強いグローバル企業にとって、TPP協定というのは市場の均質化を推し進めてくれる実に快適な仕組みです。ISDS条項なども「均質化を妨げるものがあれば、それを打ち砕く方策がなにかそばにあると便利」なツールに違いない。

グローバル企業は、各国に存在しています。グローバル企業は現地法人や支店を世界中に配置しているという意味ではなく、アップルやグーグルは米国のグローバル企業、トヨタは日本のグローバル企業という意味で主要各国に存在しています。TPP参加国にもそれぞれにグローバル企業が存在し、各国におけるグローバル企業の数はGDPの大きさにだいたいは比例しています。

参加国によってどういう業種にグローバル企業が多いかは各国の事情により異なります。巨大アグリビジネスは米国やオーストラリアにはありますが、日本にはない。しかし自動車は日本、医薬品なら米国です。日本の医薬品会社は世界ではいささか影が薄い。遺伝子組み換え農産物の得意なバイオテクノロジー企業も米国に集中しています。

グローバル企業の存在感が大きい国では、グローバル経済の担い手としてのグローバル企業と国民経済の担い手としての国民や中小企業との間に軋轢が生まれています。経済格差に起因する軋轢です。TPPはこの格差をさらに拡大する方向に働くので、TPP参加表明国では、米国やカナダや日本の様に、TPP協定参加への反対運動が起こっています。

TPP参加国の中でどの国にグローバル企業が最も多いかといえば米国ですが、だから米国ではスムーズにTPP批准かというと、そういうわけにはいかない。国民経済の担い手が、誰がTPPのいちばんの受益者かをよく認識しているからでしょう。

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2016年3月15日 (火)

規格外野菜を利用する農家、規格外野菜は使わない農家

トマトの季節に、ミニトマトを二つに割り、強い太陽で天日干しをしてセミドライトマトをつくると、パスタ料理やその他の料理が楽しめます。

イタリアやトルコ、カリフォルニアなど地中海性気候の地域のトマトは種類が加工用トマトなので、そこで作られるドライトマトも加工用のトマトを使ったものです。しかし、日本のトマトはほとんどが生食用トマトです。生食トマトを使ってドライトマトを作っている農家(農業協同組合)が熊本にあります。

「冬春トマト」の熊本らしく1月から6月までの季節限定商品ですが、規格外トマトや熟しすぎたトマトを捨てるのはもったいない、それらを捨てずに付加価値商品を作り出そうということでドライトマトを製造し始めたそうです。大玉トマトを10等分程度にカットしてドライトマトにします。

その商品に初めて出合ったのは数年前ですが、興味深かったのでその農協のドライトマト担当の女性に電話をして、ドライトマトが生まれた背景や作り方などをおうかがいしたことがあります。何度か購入してトマト向きの料理に使ってみました。小さくカットしてパン生地に投入するとトマトパンになります。規格外や熟し過ぎを利用したビジネスですが、このドライトマトはロングセラーになっています。

北海道に、有機栽培野菜をカットし冷凍加工して袋詰めにした「冷凍有機野菜」を製造販売している農家(農業法人)があります。対象野菜は、ミックスベジタブル用にはスイートコーンとニンジンとインゲン。それから、カボチャ。甘みを出すために熟成させたあと食べやすいサイズにカットし蒸気で蒸したあと冷凍パックします。

当初は、規格外の野菜を農閑期(冬場)に加工するという意図で始めたらしいのですが、「規格外」というキーワードと「農閑期限定」というキーワードの組み合わせでは、上手くいかなかったそうです。つまり、採算が合わない。

したがって今では、冷凍有機野菜という加工食品作りは通年業務になり、それから、規格外野菜の利用というと形の悪いものや傷ものも対象なので作業効率が悪く商品そのものも満足できるレベルにはならなかったので、規格外の利用は断念し加工食品向けの品種の栽培に切り替えたそうです。熊本のドライトマトとは別のアプローチです。

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2016年3月14日 (月)

北海道らしい、日常食材の贅沢

食の贅沢というのは、日常のあたりまえの食材の賢い選択のことだというのがぼくの考え方です。だから贅沢といっても、あたりまえの食材やあたりまえの加工食品をどう選ぶかということなので、その贅沢によって追加的にとくにお金がかかるわけではありません。

しかし、追加的にお金がかからないといっても、素材の調理にはそれなりの手間ひまはかかるし、自家製の基礎加工食品を作る場合には、素材の購入段階や加工の段階でもそれなりの手間ひまはかかっています。出費金額も、当然のことながら、スーパーの特売加工品購入よりは多い。

あたりまえの食材といえば、たとえば毎日の朝ごはん。土鍋で炊いたご飯、自家製の味噌を使った味噌汁、干し海苔、自家製の季節の漬け物と自家製の梅干し、(冬は)自家製のタクアン、北海道産の納豆、平飼い(ひらがい)鶏の卵の目玉焼き、というのが定番メニューですが、飽きることがない。

ここでの贅沢は、朝ごはんのご飯(コメ)と納豆に関して、です。

ご飯は北海道産米を土鍋で炊いたものですが、コメは最近人気の「ゆめぴりか」でも「ななつぼし」でもなく「ゆきひかり」です。「ゆきひかり」については二世代前の食味のコメと評する人もいるくらいです。なぜ二世代前の米かと云うと、近ごろの人気米の特徴であるところの「白くて甘くて粘りが強い」という性質、「『もち米』風味が強くなった『うるち米』」という特性を持っていないからです。

二世代前のコメという表現がわかりにくいなら、「コシヒカリ」が食卓を席巻する前に家庭でよく食べられていた「うるち米」と言い換えます。その方(ほう)が、熟年以上の方には味の雰囲気がわかりやすいかもしれません。土鍋で炊く「ゆきひかり」は穏やかであっさりとしていて、噛むと甘みが口の中にゆっくりと広がってくるような種類のお米です。わが家では七分搗きが好みです。

日本の大豆の自給率は低くて、食用油用(サラダ油など)と食品用(納豆・豆腐・煮豆・味噌・醤油など)を合わせた大豆全体の自給率は5~6%です。その内訳は、大豆消費量が圧倒的に多い食用油用は自給率がゼロ、しかし、消費量が少ない食品用だと自給率は21%~22%と少し高くなります(農水省データ)

ザックリと云えば、納豆や豆腐や味噌・醤油に使われている大豆の80%近くが輸入大豆ですが、世界で生産されている大豆の75%(作付面積比率)が遺伝子組み換え大豆なので(ISAAA 国際アグリバイオ事業団データ)、輸入大豆の大部分が遺伝子組み換え大豆だと考えた方がよさそうです。納豆や豆腐、味噌や醤油なども、材料欄に明瞭に国産大豆と記載されていないものは、どういう素性の大豆が使われているのかよくわからないということになります(【註】)。

日々口にしているサラダ油用の大豆が全部輸入という状況なら、納豆・豆腐・味噌・醤油について今さら素性を気にしても仕方ないという方もいらっしゃると思いますが、それもひとつの考え方には違いない。

我が家で食べている納豆は、大豆の生産地が明らかな地元産の納豆で、大豆は中札内(なかさつない)という北海道の十勝平野の村で栽培されたものです。近所の小売店で売っていますが、地味な人気商品みたいです。付属のタレ・カラシは使いません。わずかに塩を降りかけ、わずかにω3(オメガ3)系オイルを垂らしてかき混ぜます。贅沢ならこういうあたりまえの日常食材の贅沢、というのが我が家の流儀です。

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【註】この「素性のよくわからない大豆」という状況に関連するのは、たとえばTPP協定では「第二章 内国民待遇及び物品の市場アクセス」、「二十七条 現代のバイオテクノロジーによる生産品の貿易」のなかの LLP <Low-Level Presence>(遺伝子組み換え植物や遺伝子組み換え食品の少量の混入)に関する箇所です。以下はその定義的な部分の引用。

<「LLPの発生」とは、組換えDNAによる植物性の材料であって、その利用が少なくとも一の国において承認されているが輸入国においては承認されていないものが植物又は植物性生産品の貨物に不注意によって微量に混入することをいう。>

米国から輸入される牛肉の不適切な部位の混入と同じで、不注意による混入かどうかは確かめようがありませんが、まあ、そういうことにしてあるようです。

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2016年3月11日 (金)

TPP協定関連資料に目を通す(農業や遺伝子組み換え農産物に関して)(その2)

もうひとつの「さらっとした記述」の例は、「環太平洋パートナーシップ協定(TPP協定)の全章概要」「第二章.内国民待遇及び物品の市場アクセス章」の中の「現代のバイオテクノロジーによる生産品の貿易」に関する説明です。バイオテクノロジーによる生産品とは、遺伝子組み換え農作物のことです。

「締約国の法令及び政策の採用又は修正を求めるものではない旨規定した上で、現代のバイオテクノロジーによる生産品(遺伝子組換え作物)の承認に際しての透明性(承認のための申請に必要な書類の要件、危険性又は安全性の評価の概要及び承認された産品の一覧表の公表)、未承認の遺伝子組換え作物が微量に混入された事案についての情報の共有(輸入締約国の要請に基づき輸出締約国において現代のバイオテクノロジーによる生産品につき承認を受けた企業に対し情報の共有を奨励する規定を含む。)、情報交換のための作業部会の設置等について規定。」

遺伝子組み換え農産物は、知らぬ間にというか、なし崩し的に日本市場に浸透しています。その浸透状況は厚生労働省のホームページ「遺伝子組換え食品」でもいちおう確認できますが(そこでのニュアンスは「安心して食べてください」風で遺伝子組み換え作物に関してはとてもポジティブ)、上に引用した文面も、遺伝子組み換え農産物のマーケティング・プロモーション・メッセージに見えなくもない。

念のためにTPP協定の原文や和訳(「第二章 二十七条 現代のバイオテクノロジーによる生産品の貿易」)に当たってみると、遺伝子組み換え農産物の生産と流通というものが、TPP協定の中では確固たる前提となっているようです。なぜなら、

「二十七条 1  締約国は、現代のバイオテクノロジーによる生産品の貿易に関する透明性、協力及び情報交換の重要性を確認する。」

「二十七条 3  この条のいかなる規定も、締約国に対し、自国の領域において現代のバイオテクノロジーによる生産品を規制するための自国の法令及び政策を採用し、又は修正することを求めるものではない。」

といった具合だからです(関連記事は「米国のGM(遺伝子組み換え)小麦」)。

第九章の投資に目を移すと、最初に「投資」というものの定義が列挙されています。グローバルなアグリビジネスでは、遺伝子組み換え農産物の種子とその種子だけが耐性を持つ農薬(除草剤など)を農家にセット販売することがビジネスモデルになっていますが、そういう種子や農薬やビジネス・ノウハウは投資財産です。また、NAFTA(北米自由貿易協定)以降何かと批判の多い「投資家と国との間の紛争解決」条項、いわゆるISDS <Investor-State Dispute Settlement> 条項について知りたければ、第九章のB節に詳しく書かれています。

アグリビジネスのセット販売モデルの片割れであるところの農薬(除草剤)を、そういう背景の除草剤とは知らずに、庭の雑草排除に散布している日本の家庭も少なくありません。宣伝も巧みですし、商品はホームセンターや通販で簡単に手に入ります。

外国(TPP参加国でいえば、米国やカナダ)で生産された遺伝子組み換え農産物は、サラダ油や加工食品の原材料、家畜用飼料として、相当に輸入されています。日本では、遺伝子組み換え作物は「商業用には」栽培されていないということになっていますが、バイオテクノロジー企業がその気になってISDS条項を利用すれば、日本での商業栽培も、なし崩し的に始まるかもしれません。

少し長いですが、TPP協定における「投資」の定義を引用しておきます(仮訳文より)。

「『投資財産』とは、投資家が直接又は間接に所有し、又は支配している全ての資産であって、投資としての性質(資本その他の資源の約束、収益若しくは利得についての期待又は危険の負担を含む。)を有するものをいう。投資財産の形態には、次のものを含む。」

(a) 企業
(b) 株式、出資その他の形態の企業の持分
(c) 債券、社債その他の債務証書及び貸付金
(d) 先物、オプションその他の派生商品
(e) 完成後引渡し、建設、経営、生産、特許又は利益配分に関する契約その他これらに類する契約
(f) 知的財産権
(g) 免許、承認、許可及び締約国の法令によって与えられる類似の権利
(h) 他の資産(有体であるか無体であるかを問わず、また、動産であるか不動産であるかを問わない。)及び賃借権、抵当権、先取特権、質権その他関連する財産権

別の関連記事は「日米関係のサブセットとしてのTPP」。

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2016年3月10日 (木)

TPP協定関連資料に目を通す(農業や遺伝子組み換え農産物に関して)(その1)

昨年11月下旬のブログ記事「『TPP協定交渉の大筋合意に関する説明会』に参加してみました」の続きです。

そろそろ日本語訳を含めた品揃えが充実する頃だと思ったので「TPP政府対策本部のホームページ」でTPP協定関連資料(の一部)に、「高いお米、安いご飯」という視点から目を通してみました。

当該ホームページにおけるTPP協定関連資料は、TPP協定の英文、その仮訳文、対策本部や関連省庁が作成した概要説明資料とTPP交渉参加国間のサイドレター(英文、訳文)から構成されています。

TPP政府対策本部の日本語の概要説明資料は、イベント・プロモーターの要約資料や説明資料というものがたいていはそうであるように、日本経済や輸出関連企業に対してTPPが持つアドバンテージが付加価値的に要約・列挙されています。しかし、農業やバイオテクノロジー産品(遺伝子組み換え農産物)、医療や金融といった分野、つまり日本がTPPのパートナー諸国からの輸出攻勢にさらされるであろう分野におけるディスアドバンテージについては、不利なことをわざわざ解説することもないという雰囲気で言及を回避するか、回避するわけにはいかないところはさらっとした記述で済ませているようです。

とはいうものの、農業や農産物について調べようとすると、そういう章があるわけではないので全体を眺めて関連個所の当たりをつける必要があります。そういう場合には、対策本部作成の概要悦明資料が便利です。「第二章 内国民待遇及び物品の市場アクセス」と「第七章 衛生植物検疫 (SPS) 措置」、「第八章 貿易の技術的障害 (TBT)」、それから「第九章 投資」や「第十八章 知的財産」などに目を通したら、農業や農産物に関してプロモーターが明らかにしたがらない重要問題に出合えそうです。

さきほど「さらっとした記述」と書きましたが「さらっとした記述」とは、たとえば、「環太平洋パートナーシップ協定(TPP協定)の全章概要」の「第二章.内国民待遇及び物品の市場アクセス章」の中の「譲許表(附属書)」に関する説明です(漢字の連続でさらっとしているとは云い難い文章ですが、それはさておき)。

(【蛇足的な註】(関税)譲許表 じょうきょひょう schedule of (tariff) concessions:GATT加盟国が関税引き下げ交渉の結果合意・調印した、特定産品に対する一定の関税率を国ごとにまとめた表。 1995年以降はWTO協定に引き継がれた。)

「我が国及び他の締約国の個別品目の関税の撤廃又は削減の方式、関税割当の詳細、個別品目のセーフガードの詳細等について規定。なお、我が国は、TPP協定の効力発生から7年が経った後、又は、第三国若しくは関税地域に特恵的な市場アクセスを供与する国際協定の発効若しくは改正の効力発生に必要となる我が国と当該第三国等による法的手続が完了した後、相手国からの要請に基づき、自国の譲許表で規定される関税、関税割当て及びセーフガードの適用に関連する原産品の取扱いに関して協議を行う旨を定める規定を、豪州、カナダ、チリ、NZ及び米国との間で相互に規定。」

上記の要約のもとになった英文、ないし仮訳文に目を通した方には、これが、今回は日本が関税撤廃を約束しなかった443品目の農林水産物についての議論だということが理解できますが、このなにげなく書かれた要約を見ているだけではなんのことかよくわからない。

この箇所のもとの仮訳文(の一部)は次のようになっています(第二章の「附属書二-Dの日本国の関税率表」)。

「9(a) オーストラリア、カナダ、チリ、ニュージーランド又はアメリカ合衆国の要請に基づき、日本国及び当該要請を行った締約国は、市場アクセスを増大させる観点から、日本国が当該要請を行った締約国に対して行った原産品の待遇についての約束(この表における関税、関税割当て及びセーフガードの適用に関するもの)について検討するため、この協定が日本国及び当該要請を行った締約国について効力を生ずる日の後七年を経過する日以後に協議する。」

つまり、日本が関税撤廃を約束しなかった農産物の443品目に関しては、発効日から7年後の見直し協議では、当然のことながら、オーストラリア・カナダ・チリ・ニュージーランド・米国というTPPの農産物輸出国が農産物の関税撤廃などを迫ってくる。そういう場面は想像に難くない。日本にとってのそういう火種が最初からきちんとビルトインされています。

(その2に続く)

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2016年3月 9日 (水)

マーマレードの苦味を楽しむパン

橙(だいだい)で作ったマーマレードの苦味を楽しむためのパンです。甘いのは好みではありません。ホームベーカリーを使えば、北海道産の春小麦に硬めの橙ジャムを練りこんだパンを勝手にきれいに焼き上げてくれます。休日午後のおやつとして、大きくカットしたのをムシャムシャ。バターも何も要りません。

それにしても、こういう山形タイプのパンは、焼きたてで皮が張りつめた状態(上側)なのが、そのまま15分も放っておくと表面に皺が寄ってきます(下側)。こういう違いを比べるのもホームベーカリーでパンを焼くという疑似・家内制手工業の楽しみの一つなので、備忘録として写真を二枚並べてみました。

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   焼き上がり直後(ある冬の日の曇った朝) 

B
   焼き上がり後15分ほど経過(上とは別の冬の日の晴れた朝)

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2016年3月 8日 (火)

北海道は、まだ、光りの春

午前6時より前に空が明るくなり始めるのを見るのは嬉しいものです。春の接近を実感できるからです。そういえば、さる教養溢れるオバサンから「利口ぶって漢字を書き散らかしているけれど、学識の程度はまだまだね」と揶揄されたある平安時代のオネーサンも、春はあけぼの、と書きました。春は光に宿るようです。札幌のような冬の長い場所では、とくに陽の光に敏感になります。

ある農業グループが、消費者直送の農産物に添付するために発行している2月21日付のニューズレターの中に以下のような一文がありました。「2月は光の春と言われるように、日差しも明るく、日も長くなってきましたね。畑はまだ雪の下でも、苗の準備はもう始まります。」

その農業グループとは関係のないあるトマト農家のトマト苗の栽培スケジュールは、たとえば以下のようです。春が光に宿りはじめる2月と3月から苗の栽培が始まります。

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下の写真は2月下旬の朝の様子ですが、雪が降り積もったばかりなのでまだ冬というのか、それとも朝の光にはすでに春が現れているといるのでもう春と呼ぶのか。

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2016年3月 7日 (月)

4回目のタクアンの取出し

2015年の11月に漬け込んだタクアンを週末に一斗(いっと)樽から取り出しました。まだ寒い日中の作業です。取り出しはこれで4回目で、今回の本数は前回よりも1本多い5本です。全部で28本漬け込んだので、取り出し作業はあと2回。

5本のうちの小ぶりな一本を糠を少しつけた状態でステンレス皿においてみました。すぐに食べない4本は風味を損なわないように糠をいっぱいつけたまま真空パックにして冷蔵庫で寝かせます。

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作業が終わった後も、台所にはタクアンのいい香りが立ち込めて、一杯やりたくなります。真ん中よりの頭の方を少しスライスしてみました。一切れで一合というほどの酒飲みではありませんが、まちがいなく燗酒に合います。

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2016年3月 4日 (金)

たまには、市販の味噌

いつも手前味噌なので、気まぐれでも起こさない限り、市販のものは買いません。去年は二回、気まぐれを起こしました。

一度目は、北海道の十勝で作られた麦味噌に出合ったときです。大麦の麹(こうじ)を使ったいわゆる麦味噌には麦麹独特の味わいがあります。しかし、この、大豆の産地であるところの十勝で作られた麦味噌は大麦の麹ではなく、北海道らしさがいっぱいとでも云えばいいのか、小麦の麹を使った麦味噌です。

札幌市民向けの、北海道の農産物の大きな即売会風イベントが昨秋にあり、そこで小麦麹の麦味噌に遭遇しました。売り手のオヤジさんが作り手なので、麦味噌について、しばし雑談。それからその麦味噌を試食させてもらったあとで少量(1kgパックを2個)を購入しました。この麦味噌はまだ冷蔵庫に保管してありますが、まもなく使います。

二度目の気まぐれは、函館の北の方に位置する小さな町の味噌屋さんの小ぶりな木樽入りの米味噌を、北海道の加工食品のプロモーションイベントで見つけた時です。プロモーションイベントとは、北海道の加工食品業者と首都圏や関西圏の流通業者とのマッチングイベントで、配偶者とぼくはたまたま北海道フードマイスターの資格でそこに参加していました。

ブースで説明をしていた知識の豊富な若い女性担当者との会話が楽しかったのと、木樽というパッケージが気に入ったので、翌日その味噌屋さんに電話して、木樽入り(3kg)を購入しました。一年物だったしすぐに食べるつもりもないので、甕で熟成中の手前味噌の隣で静かに寝かせてあります。二年物になったあたりで封を切ってみるつもりです。

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2016年3月 3日 (木)

今年も少しは手前味噌

現在、毎日のように使っている自家製の米味噌は、2014年の2月に仕込んだ二年物です。途中に天地返を入れて二年間ほど熟成させておくと、色も香りも味も華やかに落ち着いてきます。

去年(2015年)は、北海道産の大豆を大量に購入したこともあって、20㎏近い大豆を味噌作りに投入しました。我が家の味噌作りの材料配分は、大豆1kgに対して、生の米麹(こめこうじ)が1kg、塩(ミネラル分の多い自然海塩)が450gなので、20kg近い大豆ということは、20㎏近い米麹と9kg近い塩を使ったことになります。

味噌作りの工程そのものはシンプルです。

◇◇◇

・よく水洗いした大豆を前の晩から底の深い大鍋で十分に水に浸しておく

・その大豆を柔らかくなるまで、吹きこぼれに注意しながら、煮る(プロは大豆を蒸しますが、自宅では量が多い場合は蒸すという作業は無理)

・モノづくりの工程にはクリティカルパスというのがあるが、我が家の味噌作りのクリティカルパスは、鍋で煮るという工程。深い大鍋を総動員しても一日の最大処理量は大豆で2.5kgだからです

・熱で柔らかくなった大豆をミンサーにかけてミンチにする(ミンサーは強い焼酎で雑菌消毒しておく)

・米麹と塩を、大きなボールなどで上述の割合できれいに混ぜ合わせたのを、並行して用意しておく(塩は一部分、後の工程のためにとっておく)

・大豆のミンチを、麹菌が活発に活動できる50℃まで冷ます

・その大豆と米麹と塩を混ぜ合わせる

・味噌玉をつくる

・40度以上の焼酎で雑菌消毒した甕(我が家は常滑焼)に、次々に味噌玉を投げ入れる(こうすると空気が中に入らない。酸化防止になる)

・全体を平らに整える

・とっておいた塩を薄くかぶせ、大きめに切った幅広の干し昆布をその上に敷く(干し昆布を敷くのは、北陸地方の智恵。それを拝借。こうするとカビない。昆布の風味も楽しめる)

・重石をかける(我が家では、常滑焼の大きめの中蓋を重石にしている)

・上蓋をする

・大きめのポストイットに、大豆の投入量や麹の種類、仕込み年月日などを書き、上蓋に貼り付ける

・天地返しまで、暗冷所で静かに寝かせる

◇◇◇

昨年の大豆20㎏は、一日の上限が2.5㎏なので、週末を毎週のように利用して1月下旬から3月上旬にかけて片づけました。昨年版は仕込みから一年が経過しましたが、まだまだ寝かせ続けます。二年物、三年物、四年物として徐々に味わおうと思っています。

今年の手前味噌は、去年の大量在庫があるので生産量を減らし、使う大豆は北海道産の2kg。この週末に仕込み作業を行いますが、いつもと違って今年は、生の米麹ではなく、北海道米で作った乾燥米麹を使います。大豆と同重量の乾燥麹を使うと、少し甘めの味噌ができ上がるかもしれません。それも楽しみのひとつです。

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2016年3月 2日 (水)

土付き野菜は人気がない、そして、そのひとつとしてのヤーコン

土のついた野菜はどうも人気がありません。だから、スーパーやデパ地下やコンビニの野菜売りに並んでいるのは、ゴボウも大根もニンジンもレンコンもサツマイモも、それぞれきれいに洗ってあります(あるいは、土がついていない状態になっています)。

しかし、土付き野菜がデフォになっている流通チャネルもあります。土がついたまま販売されている土付き野菜(といってもたいていは根菜類ですが)を思いつくままに書いてみると、ゴボウ、大根、ニンジン、ジャガイモ、里芋、それからヤーコンなどがあります。

土付き野菜を水洗いしようとすると、「(亀の子)たわし」がないと埒(らち)があきませんが、「たわし」を常備している家庭は、ぼくの知っている範囲では、主婦や世帯主の年齢に関係なく少ないようです。

ヤーコンはフラクトオリゴ糖やポリフェノール豊富な健康食品でもあるのですが、今ひとつ人気が出ない。ぼくも食わず嫌いだった頃を思い出して、その理由を調べてみると、

・日本での歴史が浅いのでなじみがない。日本に初めて導入されたのは1984年。北海道でも本格的に栽培が開始されたのは平成になってからです。だから、そもそも知名度が低い

・見た目がパッとしない。色も形もとても地味で野菜売り場で目立つ根菜類ではない

・土付き状態でないと傷んでしまう。しかし、土付き野菜は家庭では敬遠される

・薄切りにするとナシや大根のように瑞々しいのだが、ヤーコンに豊富に含まれるポリフェノール(つまり、アク)のせいで切ったあとすぐに黒くなる

・見かけは茶色いサツマイモだが、ヤーコンのおいしい調理方法(サラダ、ジュース、酢のもの、キンピラ、ケンチン汁など)は、サツマイモとはずいぶんと違う。「なんだこいつは、見かけ倒しだな」

ということになりそうです。

しかし、「亀の子たわし」が常備品であるところの我が家では、ヤーコンがお気に入りなので、細々と応援を続けるつもりです。こういうのを「食べて応援」と云います。

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2016年3月 1日 (火)

米麹(こめこうじ)雑感

我が家では米麹(こめこうじ)をよく使います。米麹を使うのは、タクアン作りや味噌の寒仕込みといった特定の時期だけではありません。

まず「べったら漬け」。地元の大根が流通している季節で、涼しい時期や寒い時期は、米麹が必需品です。「べったら漬け」を作るからです(北海道の大根の旬は6月から10月、冬は雪の下に貯蔵した「雪の下大根」が流通)。暑い季節は「糠漬け」、涼しい季節、寒い季節は「べったら漬け」が日常的な我が家の漬物の棲み分け図です。

「べったら漬け」は北海道ではあまりポピュラーではないのですが(つまり、隣近所でそれを作る主婦や女性をほとんど見かけない)、準備プロセスがちょっと面倒くさいのがその原因かもしれません。「べったら漬け」には「甘酒」が必要です。甘酒は「米麹」で作りますが発酵させるので、いくぶん時間がかかります。

その工程は以下の通り。

・うるち米をお粥(かゆ)にする。
・お粥を60℃に冷ます。
・そこに麹(こうじ)を入れて混ぜる。
・そのあと60℃で10時間発酵する。
・甘酒ができ上がる。

こうして作った甘酒は、上品ですがけっこうな甘さになる。コメというものが持っている本来の甘さを実感できます。

さて、タクアンや味噌の仕込みの時期には米麹が大量に店頭に並びますが、時期を外れると店頭からさっと消えていきます。米麹は他の用途にも使えるので多めに買い、使うまでは小分けして冷凍保存しておきます。

他の用途とは、塩麹や醤油麹のことです。生の魚や生の鶏肉・豚肉などの下味付けといえば、塩麹や醤油麹が便利です。これは一年中使える。塩麹や醤油麹を作るのにも米麹が不可欠です。

だから、多めに購入し保存してあってもすぐに足りなくなる。そういう場合は、地元の麹屋さんに北海道産米を原料にした業務用の乾燥麹を別途、注文することになります。業務用なので一定量以下では買えませんが、その一定量も我が家のような使い方をしていると一年以内に確実に消費しつくします。

蛇足ですが、流通網を流れる発酵食品は、殺菌という目的のためと、出荷後にそれ以上発酵して味が変化しないように、製造の最後の工程で高い熱を加えて発酵を止めてあります。雑菌も死にますが、同時に麹菌や乳酸菌も死んでしまいます。だから麹菌を利用した加工食品に限りませんが、乳酸菌食品や乳酸菌飲料なども乳酸菌が元気に活動しているのを食べたい方は、自宅で作るのを好まれるようです。

_2013
黒米をわずかに混ぜて桜色にした夏の甘酒。ちなみに、甘酒は夏の季語。
 
__201602_b 米麹

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