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2016年3月18日 (金)

環境問題の主張の一部に対して抱く違和感

「なんですか、あなたは資源を無駄遣いした方がいいというのですか?」

「いいえ、資源は無駄使いをしない方がいいと思います。わが家でも電気は節約しているし、野菜も旬の露地物がいちばん好きです。流行の洋服を追いかけたりもしません。3R (Reduce, Reuse, Recycle) や5R (Refuse, Reduce, Reuse, Repair, Recycle) という考え方と最近の優先順位づけも気に入っています。つまり、Recycle の優先順位がいちばん低いのが、すばらしい。強引なリサイクル化はコストパフォーマンスが悪く、つまり、無理をして商品化し、そのために無駄にエネルギーを使うので適正利益の出るまともなビジネスとしては成立しない。そういうことが身に沁(し)みたのでしょう。使用済みのペットボトルでフリースやクリアファイルや卵パックを作るなどというのは数少ないリサイクル商品の成功例ですね。」

環境問題の主張の一部に対して持つ違和感は以前から続いていて、薄くなりません。環境や環境問題に熱心な方と、環境や環境問題について会話を交わす機会があったような場合、どうもうまく噛み合わない。だからぼくはお相手の意見に違和感を抱き、先方は、煮え切らないぼくに対してイライラを募らせるようです。

お相手の感じているであろうこのイライラは、ぼく自身にもよく理解できるような気がします。「正しいこと」に対してすぐに「そうだそうだ」と賛成しないのですから。もし今が戦前なら、流れに棹ささないぼくはお相手から「非国民」と呼ばれていたかもしれません。しかし今は戦前ではなくグローバルという形容詞が蔓延する時代なので、「非国民」ではなく「人非人」、人にあらざる人、ということになりそうです。

環境問題に熱心な方の話題の中心は、CO2濃度の増加と地球温暖化です。地球温暖化は英語だとGlobal Warmingですが、ぼくは、頭にGlobalとつくとその議論はひょっとしてマユツバかもしれないと考える傾向があるので、そういう言葉が頻出する主張を前にすると一歩引いてしまいます。

ものごとには、たいていの場合は、アドバンテージ(利点)とディスアドバンテージ(欠点、不利)があるので、なにかを考える場合には、その両方を並べてみるとそのことの理解が進みます。しかし、二酸化炭素や温暖化が話題の場合、そういうことは今さらしないことになっているのか、アドバンテージとディスアドバンテージが提示されることや確認されることは少ないようです。提示された場合でも、なにか違和感の漂う例や不思議な想定例といっしょの場合が多い。

たとえば、次のような主張があります。

「CO2が増え続けている。困ったことだ。地球が産業革命あたりから温暖化している。困ったことだ。CO2を削減しなくてはならない。地球の温暖化を止めなくてはならない。」

(蛇足めきますが、CO2を削減し地球の温暖化を止めなければならないと主張する人で、地球環境の保全や持続する社会のためには、地震を止めなければならない、津波の発生を抑制する必要がある、台風の発生を防止しなければならない、と言った人にはぼくはお目にかかったことがない。)

そういう、CO2の増加そのものが大問題だ、温暖化そのものが悪いといった主張を聞いた場合、もし、その方とゆったりとした私的な会話の機会があれば、次のようなことを尋ねるようにしています。

「CO2が増加して何か悪いことがありましたか?逆に、CO2が増加してよかったことはありませんでしたか?」「この200年で地球が温暖化して何か悪いことがありましたか?温暖化してよかったことはありませんでしたか?」

たいていの場合は、おそらく想定外の内容の質問なので、すぐには答えがありません。沈黙がその場を支配します。そういう場合は申し訳ないので、「助け舟」を出します。

「CO2が増えると農産物の収穫量は増えますよ。CO2が300ppm増えたら、たとえばCO2濃度が300ppm (0.03%) から 600ppm (0.06%) になったら、米や大豆やジャガイモやニンジンやトマトの収穫量が1.3倍から1.5倍になったという研究事例がたくさんあります。ご存じのように、植物は光と二酸化炭素と水の光合成が命です。だから普通の露地栽培でも産業革命当時よりも今の方が農産物の収穫量は多いです。北海道のような農産物生産地には、CO2の上昇はいいことです。ぼく自身はCO2の増加で困ったことはとくにはありません。もっとも空気のきれいな札幌に、北京から汚れた空気が流れてくるのは嫌ですが。・・・・・

ところで、あなたは温暖化で困ったことはありましたか。外国の山地生まれで朝夕の寒冷な気候が好きな野菜もあるし、寒冷地仕様の農産物も開発された。しかし全般的には暖かくなった方が農産物の生産には有利です。北海道はその方がいい。シベリアも穀倉地帯になるかもしれない。北極海の氷が融けると、北極海経由の船舶輸送が活発になります。ロシアや北欧との貿易は楽になる。飛行機を使わなくていいし、船も遠回りをしなくていい。エネルギー資源の節約です。」

そう云うと、ほっとした表情で「そういう地方の視点だけではダメなんですよ。」

「そうですか。でも、繰り返しで申しわけないけれど、この200年の地球温暖化であなたが実際に困ったことはありましたか?」
「南太平洋の小国が水没の危機にある。日本も将来海に沈むかもしれない。あなたの家がそうなったらどうするんですか。」と恐ろしいことを口にします。
「6000年から7000年ほど前に、日本でも縄文海進がありましたから、そういう可能性はあります。東京だと東京タワーのあたりで貝塚が発見されましたが、当時はそこまで海だった。でも、IPCCの初代議長は、この方はスウェーデンの気象学者ですが、2020年にはロンドンもニューヨークも水没すると予言していました。今は2016年だから、ロンドンもニューヨークもそろそろヤバイですね。」

以前は、原子力発電は「CO2を出さない」となっていましたが、今は「発電時にはCO2を出さない」と控えめになりました。しかし、原子力発電の裏側には電力量の調整のために揚水発電が存在し、揚水発電の設備はCO2を排出するので、必ずしも正しい表現ではない。

こういうのを、ぼくは、「環境問題の主張の一部に対して抱く違和感」と呼んでいます。

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