サプリメント広告と「大人のための残酷童話」
サプリメントには興味がないのですが、サプリメントの広告チラシが朝刊にはさまれているのに気が付くとそのコピーに目を通すこともあります。コピーの内容から、その会社での営業や販売促進部門でどんな問題をかかえているのか、なんとなくわかるので面白い。
「□□□□をやめた。一気に、年をとった」(64歳 女性)というのが大きな活字でチラシの中心にあり、その隣に、40代・50代・60代・70代と年代別に、もと顧客と思しき(ということになっている)方のコメント、このサプリメントを検討中(ということになっている)方の感想が並んでいます。なお「□□□□」は商品名です。
「体力が、ぜんぜん違う。□□□□を飲んでいた時は、気付かなかったけれど・・・」(46歳 男性)
「鏡を見るたび、落ち込む。今の状態は□□□□を止めたからでしょうか」(63歳 女性)
商品を製造販売する企業にとっては、リピーター(繰り返し購入者)の存在が一番ありがたいのですが、リピーターが希望通りに増えないのか、リピーターになりそうだと考えていたお客が突然に継続購入を止めてしまうのか。どうも、そういう事態に直面しているようです。お客が効き目がないと判断して購入を中止するのか、競合製品に鞍替えしてしまうのか、そのあたりはぼくにはわかりません。しかし、このコピーからいろいろなことが想像できます。
倉橋由美子の短編集に「大人のための残酷童話」というのがあります。どういう内容の短編集か、著者のあとがきから一部を引用します。「全体として残酷というよりも救いのない話が並んでいますが、いずれも『自業自得』の世界に属しますから、愚行は罰せられ、賢い者はそれなりの正当な報いを手に入れる結果になっています。」
倉橋由美子の云う自業自得とは運命的な色合いを含めての自業自得ですが、彼女が存命中なら、上の三つのコメントや感想から、熟年者と老齢者のための残酷童話をすぐに三つ紡ぎだすかもしれません。
| 固定リンク
「食べもの」カテゴリの記事
- 再び、「サンふじ」のアップルパイ(2021.03.11)
- アップルパイは檸檬果汁を加えた「サンふじ」に限る(2021.03.03)
- 蔵出しの鳴門金時が夜10時に届いた(2021.01.25)
- 小股の切れ上がった色白のレンコン(2020.12.07)
「女性」カテゴリの記事
- 梅の花が待ち遠しい(2021.04.15)
- 日本酒のにおい(2021.04.06)
- 春は小説よりも漢詩(2021.03.30)
- 地下足袋ではなかったようです(2021.03.10)
- 別にどうということもない発言内容だと思うのですが・・(2021.02.05)
「雑感」カテゴリの記事
- マスクの付け方の反面教師(2021.04.14)
- 地元のプロ野球球団はテレビ中継ではマーケティング対象外らしい(2021.04.12)
- デジタル風だけどアナログの目覚まし時計(2021.04.08)
- 40年ものの電動鉛筆削りと、30年もののシャープペンシル(2021.04.09)
「ヘルシーエイジング」カテゴリの記事
- 新型コロナと健全な常識(2021.04.16)
- 不織布マスク、国産だからといって満足度が高いわけでもない(2021.03.19)
- 5-ALAという天然アミノ酸と新型コロナウィルス(2021.03.05)
- 「新型コロナの死者の平均年齢が日本の平均年齢と0.1歳しか変わらない」(2021.02.02)
コメント