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2016年3月30日 (水)

北海道新幹線の乗車率と他の新幹線の乗車率、羽田-札幌便の搭乗率

開業日の直前と開業日には例によって「大本営発表」みたいな雰囲気の報道ばかりでしたが、報道内容も三日目の夜になると、再び例によって、少し落ち着いてきました。

「北海道新幹線の乗車率、初日は61%、2日目37%」

「JR北海道は28日、開業2日間(26、27日)の北海道新幹線(新函館北斗―新青森)の乗車実績を公表した。26日は約1万4200人で乗車率は約61%。前年同期の在来線特急と比べ3・3倍増えた。27日は約8700人で同2・1倍増。乗車率は約37%だった。
 開業後9日間の平均の予約率は約24%(21日現在)で、JR北は平均の乗車率を約26%とみている。島田修社長は「平日になるとさらに落ち着いていく、と予測せざるを得ない」と話し、ゴールデンウィークや夏の行楽期に乗車率を上げていくための営業強化が不可欠だとした。」(朝日新聞デジタル 2016年3月28日20時40分)

この平均乗車率が25%程度というのは確かに低いようです。だから、夜の車両なら、昔のジャンボジェットのエコノミークラスみたいに、まん中4席がつながったところを独り占めして、幅の狭いベッド風に横になって、朝の到着時までひと眠りという贅沢に近い贅沢ができるかもしれません。もっとも、新幹線の場合はそんなことをしたら同一車両の他の乗客の顰蹙を買うという可能性が高いし、車掌も注意しに飛んでくるかもしれません。

乗客の利便性の高さと企業の収益性の高さという二つの観点からもっとも参考になるのが東海道新幹線の乗車率ですが、東海道新幹線の平均乗車率は58%~60%くらいだそうです。

北陸新幹線はどうかと云うと、開業3ヶ月間の平均乗車率は47%だそうです。相当に高い数字です。金沢やその周りの観光地や温泉地に行くには新幹線の方が圧倒的に便利なので、そういう利便性が反映された数字になっています。能登に直接に行きたいような場合を除いて、北陸への飛行機便は、新幹線が走ってしまえば、魅力がありません。

札幌は飛行機でないと本州の主要都市との往復が困難な土地ですが、ある程度の頻度で利用する札幌-東京便も、それから札幌-大阪便も、常にほぼ満席状態という印象のある路線です。念のために、その路線のJALグループとANAの2014年度の搭乗率を調べてみると非常に高い(JAL、ANA発表データ)。70%から80%という数字は、乗り込んだ乗客の皮膚感覚には、ほぼ満席状態と伝わってきます。

伊丹-札幌線: 79.0% (JAL)  77.8% (ANA)
羽田-札幌線: 74.2% (JAL)  68.4% (ANA)

そしてそういう便の乗客は、観光のハイシーズン以外は、ぼくの経験値でも60%から70%はビジネス客、あるいはビジネスではないのかもしれないけれど観光目的以外の目的で飛行機を利用する人です。観光客以外の利用客が安定して増えないと50%を超える乗車率や搭乗率はむつかしい。

同じく(JALグループとANAの2014年度の)旅客数は、上位4路線を並べてみると次のようになります。

羽田-札幌線: 3,089,196人 (JAL)  3,651,334人 (ANA)
羽田-福岡線: 2,960,727人 (JAL)  3,307,423人 (ANA)
羽田-伊丹線: 2,555,268人 (JAL)  2,719,359人 (ANA)
羽田-那覇線: 2,353,605人 (JAL)  2,330,048人 (ANA)

この数字に、その他の航空会社の数字を付け加えると、羽田と札幌を飛行機で飛んだ人は大ざっぱ計算で1年間に700万人くらいということになります。

最初に引用した記事の「27日は約8700人で・・・乗車率は約37%だった」という記述から、年間を通しての一日あたりの平均乗客数が10,000人、つまり、平均乗車率が42~43%とすると、年間乗客数は365日で3,650,000人になり、これはJALグループの羽田-札幌線の旅客数を超え、ANAの旅客数に匹敵します。

ただし、こういう数字が生まれるためには、飛行機の様に観光客だけでなくビジネス客も安定的に利用することが条件になります。その条件とは、つまり、

1. 北海道新幹線が札幌まで来ていること

2. 東京-札幌間は4時間前後(今の東京-函館間の4時間2分程度)

3. そのために、新幹線と青函トンネルを共用している貨物列車との棲み分け具合の変更。

【3.の註】 青函トンネルを新幹線といっしょに通過する貨物列車はJR(JR貨物)にとって高収益ビジネスであるはずで、しかも、旬の季節には北海道の三大農産物であるところのジャガイモ・タマネギ・ニンジンなどの農産物が北海道から本州に臨時便で大量搬送されていく。だから、そういう意味では、新幹線は貨物列車の隙間を、貨物列車の速度で走らせてもらっていることになる。この状況の住み替え、ないしは、画期的に格安な工法でもできない限りは無理な選択肢ですが、現在の青函トンネルを新幹線用とし、別に安価な貨物用のトンネルを用意。

現在の北海道新幹線の乗車率がある程度上がっていかないと今後の見通しも悪くなるので、函館市や北斗市、およびその周辺にお住まいの方は(函館市の人口は27万人、北斗市は5万人)、首都圏方面に出かけるときは、飛行機を利用せずに、少々余計に時間がかかっても往復とも必ず新幹線、ということにしたらいかがでしょうか。食べて応援ではなくて、乗って応援です。

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