「そうだったのか!TPP」というタイトルの小冊子
TPP協定の内容が対応する日本語訳も含めて公開され始めたのが去年の11月で、それから徐々に公開範囲も広がってきました。公開された内容(PDFファイル)は「TPP政府対策本部」で見ることができます。
しかし、すべての関連資料が公開されているわけではないので、以下のような新聞記事を目にすることになります。
見出しの最後に「自民」という言葉がくっついていて、誰がそれを公開して、誰がその内容がわからないと言っているのか、全体として意味がよくわからない見出しですが、それはさておき、以下のような報道が先日ありました。黒塗り資料の様子は、これを若い官僚が一生懸命に作ったかと思うとけっこうおもしろい。
『TPP交渉資料、全て黒塗りで公開 内容分からず 自民』(朝日新聞DIGITAL 2016年4月5日)
『環太平洋経済連携協定(TPP)の承認案と関連法案の衆院特別委員会での審議をめぐり、自民党は5日、民進党が求めていた政府の交渉資料を、特別委の理事懇談会に提出した。ただ、全て黒塗りされ、内容は分からない状態だった。
民進は、情報開示がないと十分な審議ができないとして、甘利明・前TPP相とフロマン米通商代表部代表の会談記録の提出を要求。自民は5日、首相官邸への報告用に論点をまとめた資料を提出したが、全て黒塗りされ、「TPPブルネイ交渉会合 平成25年9月」などというタイトルだけが上から貼り付けられていた。』
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「そうだったのか!TPP」というタイトルの小冊子が無料でWEBからダウンロードできます。編集・発行は、「TPPテキスト分析チーム」で、全部で16ページです。TPPの概要と問題点が、「農業、食の安全、医療・保険、知的財産、投資、金融、地域経済、環境、雇用、電子商取引」といった分野別に、批判的にまとめられています。
同じチームが、別に「TPP協定の全体像と問題点」(-市民団体による分析報告- Ver.4)という報告書(これは厚い)も発行しており、これも無料ダウンロードできるのでこれらを詳細なインデックスとして読みながら、適宜、TPP協定の章別の関連箇所を参照するというのがTPP協定の全体的な理解のためには効果的だと思います。もっとも、私的な勉強会などでその気になって時間をつくらないとできない種類の作業なので、とりあえず「そうだったのか!TPP」に目を通すだけでもいいかもしれません。
TPP推進の立場に立った資料を読んでみたい場合には、あたりまえですが、政府作成の「総合的なTPP関連政策大綱概要」や「総合的なTPP関連政策大綱」が便利です。
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以下は蛇足。ぼく自身のための備忘録。今までに書いたTPP関連のブログ記事。
<最近のもの>
2015年11月24日 (火)
・「TPP協定交渉の大筋合意に関する説明会」に参加してみました
2016年3月10日 (木)
・TPP協定関連資料に目を通す(農業や遺伝子組み換え農産物に関して)(その1)
2016年3月11日 (金)
・TPP協定関連資料に目を通す(農業や遺伝子組み換え農産物に関して)(その2)
2016年3月14日 (月)
・北海道らしい、日常食材の贅沢
2016年3月16日 (水)
・TPP協定と、そのいちばんの受益者について
2016年3月28日
・先日の「国際金融経済分析会合」におけるスティグリッツ教授の提言資料に目を通してみた
<以前のもの>
2015年3月10日 (火)
・比較生産費説について以前から気になっていたこと
2014年2月26日 (水)
・ダニ・ロドリク著「グローバリゼーション・パラドックス」と、下村治著「日本は悪くない(悪いのはアメリカだ)」:グローバリゼーションと国民経済
2013年3月18日 (月)
・素材のカットのしかたや味付け方法の事例研究(TPPの経済効果報道に関して)
2012年4月12日 (木)
・グローバリゼーション: その意味の私的な利用の仕方
2012年11月22日 (木)
・判断の座標軸をいちおう整理しておくと・・
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