« バジルの双葉を外に出して日光浴 | トップページ | 続々・焼きたてのパンの景色(自家製コメ酵母のパン) »

2016年5月20日 (金)

TPP協定のなかの遺伝子組み換え農産物

TPP協定関連資料に目を通す(農業や遺伝子組み換え農産物に関して)(その1)」および「(その2)」の補足記事です。

TPP協定の中では、協定作成者が言葉のネガティブな響きを気にしたのか、いわゆる「遺伝子組み換え (GM) 」という言葉は現れません。「遺伝子組み換え農産物」に対しては「バイオテクノロジー生産物」と云う用語が使われています。、

バイテク情報普及会」 (Council for Biotechnology Information Japan) という団体があります。同会の活動方針は遺伝子組み換え(GM)作物プロモーションなので、そのホームページには、たとえば以下のようなグラフが掲載されています。

2015_bu

日本モンサント社などが会員であるところの同普及会は、日本が輸入している年間約3100万トンの穀物(飼料用のトウモロコシを含む)のうち、約1700万トンが遺伝子組み換え穀物だと推計しています。その推計だと、日本への輸入穀物量の55%が遺伝子組み換え銘柄穀物ということになります。コメの国内消費量は約800万トン、その2倍は1600万トン。だから、「バイテク情報普及会」のホームページのバナーメッセージの一つは下のようなものになっています。

Photo_3

TPPで遺伝子組み換え農産物をどう取り扱っているかの概要は、「TPP協定関連資料に目を通す(農業や遺伝子組み換え農産物に関して)(その2)」で触れましたが、この記事では、TPP協定の中で「バイオテクノロジー」という用語が使われている箇所を抜き出してみました。こうしておけば、細部をすぐに参照できます。ぼく自身のためのメモです。

バイオテクノロジーという用語が実際に使われているのは「第2章(内国民待遇及び物品の市場アクセス)」のみです。蛇足ですがTPPの中でとても重要な章である「内国民待遇及び物品の市場アクセス」は英文では”NATIONAL TREATMENT AND MARKET ACCESS FOR GOODS”。ここで、内国民待遇とは、外国人待遇ではない、つまり自国民と同じ扱いということです。

バイオテクノロジーという用語が現れる箇所に込められた総体的な意図は、有体に言えば、バイオテクノロジーを使った生産品(GM農産物)のマーケティング・プロモーションで、したがって、そのためには、GM商品の販売促進・流通促進を妨げる可能性のある(輸入国での)措置をできるだけ押し込める、封じ込めるような規定があった方が好都合です。そういう作りになっていると、ぼくの目には、映ります。

以下が、TPP協定の中で「バイオテクノロジー」という用語が使われている箇所です。

◇◇◇◇◇

第C節 農業 (【「高いお米、安いご飯」による註】第C節は「日本語訳」では54頁より始まる)

第二・十九条 定義(【「高いお米、安いご飯」による註】第二・十九条とは、第二章の第十九条のこと、以下同じ)

この節の規定の適用上、「農産品」とは、農業協定第二条に規定する産品をいう。

「輸出補助金」の語は、農業協定第一条(e)(同条の改正を含む。)において当該語に与えられる意味を有する。

「現代のバイオテクノロジー」とは、自然界における生理学上の生殖又は組換えの障壁を克服する技術であって伝統的な育種及び選抜において用いられない次のいずれかのものを適用することをいう。

(a)生体外における核酸加工の技術(組換えデオキシリボ核酸(以下「組換えDNA」という。)の技術及び細胞又は細胞小器官に核酸を直接注入することを含む。)
(b)異なる分類学上の科に属する生物の細胞の融合

「現代のバイオテクノロジーによる生産品」とは、現代のバイオテクノロジーを用いて作り出された農産品並びに魚及び魚製品をいい、薬剤及び医療用の生産品を含まない。

注(【原註】です) 第二・二十七条(現代のバイオテクノロジーによる生産品の貿易)の規定及び「現代のバイオテクノロジー」の定義の適用上、「魚及び魚製品」とは、統一システムの第三類の生産品をいう。

第二・二十七条 現代のバイオテクノロジーによる生産品の貿易 (【「高いお米、安いご飯」による註】「日本語訳」62頁より)

1 締約国は、現代のバイオテクノロジーによる生産品の貿易に関する透明性、協力及び情報交換の重要性を確認する。

2 この条のいかなる規定も、締約国が世界貿易機関設立協定又はこの協定の他の規定に基づく自国の権利及び義務に基づいて措置を採用することを妨げるものではない。

3 この条のいかなる規定も、締約国に対し、自国の領域において現代のバイオテクノロジーによる生産品を規制するための自国の法令及び政策を採用し、又は修正することを求めるものではない。

4 各締約国は、可能な場合には、自国の法令及び政策に従うことを条件として、次のものを公に利用可能なものとする。

(a)現代のバイオテクノロジーによる生産品の承認のための申請を完了させるための書類に係る要件
(b)危険性又は安全性の評価であって現代のバイオテクノロジーによる生産品の承認をもたらしたものの概要
(c)自国の領域において承認された現代のバイオテクノロジーによる生産品の一覧表

5 各締約国は、第二十七・五条(連絡部局)の規定に従い、微量の混入(以下この節において「LLP」という。)(注) の発生に関連する問題に関する情報を共有するための一又は二以上の連絡部局を指定し、通報する。(【「高いお米、安いご飯」による註】LLPはLow Level Presence の略)

注(【原註】です)この条の規定の適用上、「LLPの発生」とは、組換えDNAによる植物性の材料であって、その利用が少なくとも一の国において承認されている(ただし、当該植物性の材料について食品としての利用が承認されているときは、組換えDNAによる植物から得られる食品の安全性の評価の実施のための食品規格委員会の指針(文書番号CAC/GL四五二〇〇三)に従ってその食品としての安全性の評価が行われている場合に限る。)が輸入国においては承認されていないものが植物又は植物性生産品(薬剤又は医療用の生産品であるものを除く。)の貨物に不注意によって微量に混入することをいう。

6 輸出締約国は、LLPの発生に対処し、及び将来のLLPの発生を防止するため、輸入締約国の要請がある場合において、可能なときは、自国の法令及び政策に従うことを条件として、次のことを行う。

(a)当該輸出締約国が特定の現代のバイオテクノロジーによる生産品(植物性生産品であるもの)の承認に関連して危険性又は安全性の評価を実施した場合には、当該評価の概要を提供すること。
(b)判明している場合には、現代のバイオテクノロジーによる生産品(植物性生産品であるもの)の承認を受けた自国の領域内の事業体であって、次の情報を有している可能性があると当該輸出締約国が信ずるものの連絡先を提供すること。

(i)貨物の中に微量に存在する現代のバイオテクノロジーによる生産品(植物性生産品であるもの)を検出するために存在する方法であって、有効なものと認められたもの
(ii)LLPの発生を検出するために必要な参照用の見本
(iii)輸入締約国が危険性若しくは安全性の評価を実施するために使用することができる関連の情報又は食品としての安全性の評価を行うことが適当である場合には、組換えDNAによる植物から得られる食品の安全性の評価の実施のための食品規格委員会の指針(文書番号CAC/GL四五二〇〇三)附属書三の規定に従って実施される食品の安全性の評価のための関連の情報

(c) (b)に規定する事業体に対し、(b) (i)から(iii)までに規定する情報を輸入締約国と共有するよう奨励すること。

7 輸入締約国は、LLPの発生があった場合には、自国の法令及び政策に従うことを条件として、次のことを行う。

(a)当該LLPの発生の事実及び当該LLPの発生が判明した貨物の処分に関する決定を当該輸入締約国が行うために輸入者に提出を要求する追加的な情報について、当該輸入者又はその代理人に対して通知すること。
(b)可能な場合には、当該LLPの発生について当該輸入締約国が実施した危険性又は安全性の評価の概要を輸出締約国に提供すること。
(c)当該LLPの発生に対処するためにとられる措置(注)が自国の法令及び政策に合致する適当なものであることを確保すること。

注(【原註】です) この7の規定の適用上、「措置」には、罰則を含まない。(【「高いお米、安いご飯」による註】わざわざ、罰則を含まない、としている)

8 LLPの発生による貿易の混乱の可能性を減ずるため、

(a)各輸出締約国は、自国の法令及び政策に従い、技術開発を行う者に対し、現代のバイオテクノロジーによる生産品(植物及び植物性生産品であるもの)の承認のための申請を締約国に提出することを奨励するよう努める。
(b)現代のバイオテクノロジーから得られる植物及び植物性生産品を承認する締約国は、次のことを行うよう努める。

(ア)現代のバイオテクノロジーによる生産品(植物及び植物性生産品であるもの)の承認のための申請の提出及びその審査を年間を通じて認めること。
(イ)世界的な情報交換を改善するため、現代のバイオテクノロジーによる生産品(植物及び植物性生産品であるもの)の新たな承認に関する締約国間の連絡を増進すること。

9 締約国は、貿易に関連する事項であって現代のバイオテクノロジーによる生産品に関連するものについて情報交換及び協力を行うため、ここに、農業貿易に関する小委員会の下に現代のバイオテクノロジーによる生産品に関する作業部会(以下この条において「現代バイオテクノロジー生産品作業部会」という。)を設置する。現代バイオテクノロジー生産品作業部会は、締約国の政府の代表者によって構成されるものとし、それらの締約国は、農業貿易に関する小委員会に対して現代バイオテクノロジー生産品作業部会に参加する旨を書面により通報し、及び現代バイオテクノロジー生産品作業部会に対する一又は二以上の自国政府の代表者を指名する。

10 現代バイオテクノロジー生産品作業部会は、次のことのための場を提供する。

(a)締約国の法令及び政策に従うことを条件として、現代のバイオテクノロジーによる生産品の貿易に関連する事項(効力を有する法令及び政策並びに法令及び政策の案を含む。)について情報を交換すること。
(b)二以上の締約国間において、現代のバイオテクノロジーによる生産品の貿易について相互に関心を有している場合には、協力を更に促進すること。

◇◇◇◇◇

人気ブログランキングへ

|

« バジルの双葉を外に出して日光浴 | トップページ | 続々・焼きたてのパンの景色(自家製コメ酵母のパン) »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

農産物」カテゴリの記事

食べもの」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1317632/65563504

この記事へのトラックバック一覧です: TPP協定のなかの遺伝子組み換え農産物:

« バジルの双葉を外に出して日光浴 | トップページ | 続々・焼きたてのパンの景色(自家製コメ酵母のパン) »