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2016年6月 6日 (月)

米国における遺伝子組み換え食品の状況、日本の状況

米国は、以下の表の様に(データは若干古いですが)、遺伝子組み換え作物の生産がとても好きな国です。したがって、米国では、食品に遺伝子組み換え作物を使っているかどうかの表示義務は、現在はありません。

Gm_

しかし米国のバーモント州では、来月(2016年7月1日)から遺伝子組み換え作物を使った食品の「表示義務化法案(GMOラベリング法案)」が施行されます(法案の成立は2年前の2014年4月23日)。

バーモント州の遺伝子組み換え表示基準は、EUと同じで、遺伝子組み換え作物の含有比率が0.9%以上。つまり、遺伝子組み換え原材料の、当該食品の全重量に占める割合が0.9%以上だと、この食品は遺伝子組み換え技術を使って生産されています、この食品には遺伝子組み換え作物が含まれています、などの表示が必要になります。

遺伝子組み換え食品の生産と流通が禁止されたわけではありませんが、そういう食品には遺伝子組み換え表示義務が課せられました。遺伝子組み換え食品が嫌いな人や不安な人は買わない、食べない。気にならない人は、買う、食べる。それを購入するかどうかは消費者の判断、その判断のための(言葉を換えれば、消費者の「知る権利」のための)情報表示義務です。

Gmo_labelinglogo_ctsy_vt_right_to_k バーモント州の消費者団体や市民団体が使った「GMOを知る権利」キャンペーン・ロゴ(関連ウェブサイトより勝手にお借りしました。この場を借りてお礼申し上げます)。

もっとも米国も一枚岩ではなく、カリフォルニア州議会はGMO(遺伝子組み換え品)表示義務化法案を2014年6月1日に否決しました。2014年11月4日にはオレゴン州とコロラド州で遺伝子組み換え表示義務化の賛否を問う住民投票が行われましたが、結果は二州とも否決(オレゴン州では賛成49%、反対51%という僅差での否決、コロラド州では賛成34%、反対66%の大差で否決)。

日本では、遺伝子組み換え作物を原材料に使用していたとしても、表示義務があるのは「原材料の重量に占める割合の高い原材料の上位3位までのもので、かつ、原材料の重量に占める割合が5%以上のものをいう」(「遺伝子組換えに関する表示に係る加工食品品質表示基準第7条第1項及び生鮮食品品質表示基準第7条第1項の規定に基づく農林水産大臣の定める基準」より)となっています。0.9%と5%。

去年の秋から徐々にその内容が公開されてきたTPP協定における遺伝子組み換え作物や遺伝子組み換え食品に関してその要点をまとめてみると、

① TPP協定の中では「バイオテクノロジー」と云う用語が使われ、遺伝子組み換え (GM) という用語は現れない。

② バイオテクノロジーという用語が実際に使われているのは第2章(内国民待遇及び物品の市場アクセス)のみだが、バイオテクノロジーという用語が現れる箇所の狙いは、有体に言えば、バイオテクノロジーを使った生産品(GM作物)のマーケティング・プロモーションである。したがって、GM商品の販売促進を妨げる可能性のある措置をできるだけ押し込める、封じ込めるような規定になっている。

先月の17日に、米科学アカデミーが以下のような骨子の報告書を発表しました。バーモント州の表示義務施行日ことを考えるととてもタイミングが良かったので、ぼくはこのニュースを知った時に、地球温暖化に関する政策提言グループないし政治団体であるところのIPCC(変動に関する政府間パネルIntergovernmental Panel on Climate Change)をすぐに連想してしまいました。

「遺伝子組み換え作物は『安全』 米科学アカデミーが報告書」

「米科学アカデミーは(2016年5月)17日、遺伝子組み換え作物は人間や動物が食べても安全だと結論づける報告書をまとめた。過去20年間の約900件におよぶ研究成果をもとに包括的に評価した結果、がんや肥満、胃腸や腎臓の疾患、自閉症、アレルギーなどの増加を引き起こす証拠はないとした。・・・中略・・・日本や欧州では食品に遺伝子組み換え作物を使う際に表示義務を課しているが、報告書では『表示義務化は国民の健康を守るために正当化されるとは思われない』と指摘。ただ『製品表示には食品の安全性を超える意味がある』として、社会的、経済的に幅広く検討する必要があるとした。」(日本経済新聞 2016年5月18日)

TPPに関しては米国でも経済のグローリゼーションと国民経済がせめぎ合っていますが、そういう構図における重要な景色のひとつとして、遺伝子組み換えを推進する食のグローバリゼーションと、そういうものに対してはとても慎重な人たちの食べものについての考え方とが対峙しています。大手食品メーカーが遺伝子組み換え情報の表示の方向に戦略転換し始めたという話も聞こえてきます。少し国民経済寄りに、様子が変わってきたのかもしれません。

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