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2016年11月29日 (火)

すぐそばにある外国のことなど

日本は、中国大陸側から見ると、日本海という大きな湖の向こう側の三日月形の土地ですが、大陸と切り離された島の国なので、欧州やインドシナ半島のような地続きの地域、あるいは島続きの東南アジアの地域と違って、間近に外国の土地を見るということが普通はできません。
 
しかしその普通ではない場所も日本にはあります。地図を二つ並べてみます。最初は北海道の東部と北方四島の地図、二番目は瀬戸内海の淡路島と小豆島の地図。ともに帝国書院の家庭向けの地図帳(平成20年発行)から関連部分をコピーしたものです。(この地図帳の興味深いところは、択捉(えとろふ)島の隣に同じ縮尺の沖縄島を配置していることです。)
 
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歯舞(はぼまい)、色丹(しこたん)、国後(くなしり)、択捉(えとろふ)は北方四島と呼ばれています。今は外国(ロシア領)です。根室や知床に行くとその外国の一部がすぐそばに見えます。稚内の高台に立つと、樺太(からふと、サハリン)の南端が数十キロ先に望めます。樺太は宗谷海峡の先にかすんでいるので外国の風情ですが、歯舞諸島は根室半島のすぐそばに、国後島は狭い根室海峡を渡れば簡単にたどり着ける位置にあります。
 
知床半島の先と根室半島の先を直線で結べば、国後島はその直線を突っ切って日本側に相当程度入り込んでいます。でも国後島は外国領です。けっこうな違和感です。西日本でたとえてみれば、瀬戸内海の小豆島や淡路島です。この二つの島がある時とつぜん外国領だと宣言されるとけっこうな違和感が生じますが、その違和感に近い(下の地図参照)。
 
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もっとも、日本には米軍基地という名の外国が数多く存在しているし、日本の憲法は「日本国憲法」と「日米安全保障条約&日米地位協定」のダブルスタンダードであり、実質的には後者が前者のスーパーセットなので、小豆島や淡路島が外国領でも驚くこともないのかもしれません。
 
いま、「日米安全保障条約&日米地位協定」が「日本国憲法」のスーパーセットと書きましたが、その端的な事例が1959年12月の「砂川事件最高裁判決」です。砂川判決とは、有体に言えば、日米安保条約が日本国憲法に違反しているかどうかといった高度に政治的なことがらについては司法、つまり日本の最高裁判所(当時の最高裁長官は田中耕太郎)は判断できないというもの。司法は国際政治が絡むむつかしい問題(たとえば、国内に駐留する外国軍隊の治外法権の是非やその根拠というような問題)に対しては、司法は判断停止状態になります、という宣言です。司法ピラミッドの中では、1959年以来ずっと、この判断停止状態が継続中です。
 
どうしていいかわからない事態に遭遇すると死んだふりをしてその事態をやりすごす動物や昆虫がいます。それと同じようにも見えますが、最高位の司法自身が、「日米安全保障条約&日米地位協定」が「日本国憲法」のスーパーセットであることに積極的に賛同しているので、死んだふりをしているだけではなかったようです。しかし、司法の長がそういう考えであるということを国民にはおおっぴらにできないので、判断停止状態というあまり格好良くない選択肢をとることになったのでしょう。
 
 
下の写真は、稚内から見た樺太です。宗谷海峡の向こうに樺太の島影が浮かんでいます。
 
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