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2016年11月25日 (金)

「夜の底が白くなった」、この線から向こうは雪

「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった。」『雪国』の書き出しです。はじめて読んだ時は、雪とはあまり縁のないところに住んでいたので、夜の底が白くなるというのがうまく想像できませんでした。
 
「夜の底が白くなった」とは普段は雪と無縁の生活をしている人が、旅行かなんかでトンネルを抜けて雪国に入り、あらためて雪国の表象を発見したときの表現です。夜の底が白い冬の毎日を過ごしている人たちは、そういう感慨はおそらく持たない。札幌は雪のそれなりに多い地域ですが、その札幌で、一昨日、白くなった夜の底に出合いました。
 
札幌駅から電車で北へ向かって20分くらいの駅です。時刻は午後5時半。冬の札幌の午後5時過ぎは真っ暗です。冷たい風が耳を凍えさせますが、札幌駅周辺には雪の気配はまったくありません。地面は黒いままです。たまたま座席に座れたので、大きな活字の文庫本の続きを読み始めました。目的の駅に到着しました。突然、夜の底が白くなっていました。暖房のきいた駅舎の外は粉雪で歩くとキュッキュッと鳴ります。短ブーツが欲しいくらいの積雪です。
 
どのあたりから夜の底が白くなったのか判然としなかったので、所用を済ませ、帰りの電車で駅ごとに夜の底が白いかどうか確かめてみました。白い地域と白くない地域が、誰かが線を引いたように見事に分かれています。この線から向こう側には雪を降らせなさい。しかし、こちら側には雪を降らせてはいけません。そういう指示が出ているかのようです。札幌駅から3つ目の駅までは夜の底は黒い。4つ目の駅からは夜の底が白い。誰かが3番目と4番目の間に線を引いたに違いない。
 
こういう現象は、とくに冬の札幌では頻繁に見られます。あの辺りは大きな雪雲が押し寄せていて吹雪に違いないのに、こちらはきれいに晴れている。誰かが線を引いたかのように。

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