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2016年12月13日 (火)

続・「原子力の発電コスト-関連する数字が表に出てきてわかりやすくなりました」

経済産業省は、先週、東京電力福島第1原子力発電所の廃炉や賠償などの費用総額が21兆5000億円になると発表しました。ある新聞記事でその内訳を確かめると、以下のようになっています。
 
「経産省が9日示した見積もりでは、廃炉は従来の2兆円から8兆円に、賠償は5兆4000億円から7兆9000億円に、除染は2兆5000億円から4兆円に、中間貯蔵施設の整備費用は1兆1000億円から1兆6000億円にそれぞれ膨らむ。」(日本経済新聞 2016年12月9日)
 
その記事には、上の数字がきれいな表にまとまっていたのでそれを以下に引用します。
 
215_2016_1208
 
関連する数字や事実が小出しにされる場合は、たいていは、関係者があまり考えたくない状況があとに控えていることが多いようです。
 
電力の中で一番発電コストが低いということになっていた原子力発電のコストが、実は一番高そうだというのが福島の事故以来だんだんとわかってきたことですが、どこまで高くなるのかは、まだよくわからない。それが誰の目にも相当に明確になる事態というのが「関係者があまり考えたくない状況」ということです。
 
原子力発電には当初から開発費用や立地費用に結構な税金が投入されていますが、今回、中間貯蔵施設にも税金が追加投入されますし、賠償金の一部を新電力が一部負担するということは、新電力の消費者が値上がりする(であろう)新電力の電力料金を通じて負担するということなので、増税と同じことです。
 
原子力の発電コスト-関連する数字が表に出てきてわかりやすくなりました」という2か月ほど前の記事で、東京新聞の作成した「原発処理コスト」(以下に再掲)を参考にしましたが、その記事のなかで「αの実態が見えないのですが、こういうのは、たいていは、後出しで膨らんでいく傾向なので、原発の後始末費用は、おおざっぱに40兆円です。こういう数字を反映した新しい発電コスト比較表を見てみたいものです。」と書きました。
 
__20161020_bu_2 215_2016_1208_2
 
この二つをまとめてみると、今のところ、原発の後始末費用は「約40兆円+α」です。
 
しかし、この数字には、福島の原子炉からメルトダウンないしメルトスルーし、どこかで今も放射線を出し続けている(つまり、Out-of-Control状態の)非常に危険な核燃料の塊(デブリと呼ばれている)の処理費用が含まれていません。費用の見当がつかないからです。
 
「このうち廃炉費用は原子力損害賠償・廃炉等支援機構が国内外の有識者へのヒアリングに基づく試算として示した。ただ、溶け落ちた核燃料(デブリ)の取り出し方法など廃炉の詳細はまだ決まっておらず、経産省は合理的な見積もりは現段階で困難としている。」(日本経済新聞 2016年12月9日)
 
そういう見えない費用が見えるようになってきたときには原発の後始末費用は全部で「50兆円+α」くらいになるかもしれません。50兆円とはどの程度の金額か。
 
原子力発電と火力発電の投資金額や維持/廃棄コストなどについて」という1年半ほど前の記事で、「出力が100万キロワットクラスのコンバインドサイクル火力発電所」(標準的な原子力発電所と同じ程度の出力)は、
 
・建造費: 1300億円
・維持費: 40億円
・作業員数: 100人
・廃炉費用: 特には考慮しない
 
と書きました。
 
東京都が平成24年に作成した資料によれば、最新式の火力発電所(ガスタービンコンバインドサイクル100万キロワット)の建設費は1,000億円、人件費(24人)や修繕費などの維持費は40億円/年、燃料費は310億円/年となっています。50兆円あれば、最新式の火力発電所が400近くは建造できます。

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