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2017年1月26日 (木)

ひとつの三角形と多くの三角形、あるいは、FactsとAlternative Facts

グローバリズムやそれの支持観念であるところの新自由主義と呼ばれているものは、世界にひとつの大きな三角形(ないしはピラミッド)を作り出そうとしています。三角形(ピラミッド)とは、要は富や権力のヒエラルキーのことです。人間の特性のひとつとしてのそういう基本欲求がなくなることはありません。
 
世界にはいろいろなサイズの三角形があります。少し前の世紀には、サイズの大きいものは帝国主義国家と呼ばれました。自分のサイズをもっと大きくして、他の三角形を飲み込もうとすると、衝突が起こり、戦争ということになります。
 
ヒエラルキーの拡大に政治と武力が前面に出ると戦争ですが、そのままではリスクが高すぎて先進国の生存が脅かされるというので、第二次世界大戦後は、共同で知恵を出し始めたのですが、富や権力への強い志向性が変化するわけもなく、また、ぼくたちは、戦争が、とくに規模の小さい戦争が(大きな三角形が背後で糸を引く代理戦争を含め)あいかわらず大好きなようです。米国もロシアも中東もイスラエルも、最近では武器輸出の好きな日本も、例外ではありません。
 
「識者」といわれる人たちやグローバリズムの大好きなマスメディアからポピュリズムと馬鹿にされている最近のある国の保護主義的な傾向や、別の国の政治経済共同体からの離脱や、あるいはそれと類似した波動は、できあがりつつある巨大なヒエラルキーにミクロとマクロのいかがわしさを直感的に感じている人たちによってささえられているのだと思います。
 
「国家の主権」と「デモクラシー」と「グローバリゼーション」はお互いにトリレンマ状態にあると指摘した人がいます。その鋭い分析軸を援用すると、「国家の主権」や「デモクラシー」を取り戻そうとすると「グローバリゼーション」から距離を置かざるを得ない。「グローバリゼーション」を追い求めすぎると「デモクラシー」や「国家の主権」が傷を負う。
 
そういう動きのひとつとして、たとえば
 
「大統領令、TPP「永久離脱」を明記」「トランプ大統領が署名の大統領令「TPPから永久に離脱」と明記し、再交渉にも応じない姿勢を明確にした。」(共同 2017/1/24)
 
があり、また以下のような動きもあります。
 
「米国のトランプ大統領は、メキシコとの国境に壁を造ることなど不法移民対策を強化する複数の大統領令に25日署名する。週内には、テロ対策として、中東からの入国を制限する大統領令も出す。複数の米メディアが伝えた。大統領選で批判を受けてきた、不法移民排除やイスラム教徒の一時入国禁止などの排外主義的な政策が具体的に動き出すことになる。」「トランプ氏は、イスラム教徒の移民や難民をテロの要因と結びつけてきており、これらの大統領令をテロ対策の一つとして位置づける考えだ。」(朝日新聞デジタル 2017年1月25日)(下線は「高いお米、安いご飯」)
 
かりにこういう結論と実行に至る背景にマスメディアの嫌いなAlternative Factsの蓄積と牽強付会があると考えるのなら、マスメディアは自分で調べたFactsを提示する必要があります。
 
二番目のニュースに関していえば、イスラム教徒は、現大統領より前の政権下の米国による武力介入や代理戦争で、ひどい目に合ってきました。現政権が提出するAlternative Factsが気に入らなかったら、マスメディアは自分で調べたFactsを出せばいい。そうすることで、たとえば米国民はいままで気づかないふりをしていたこと(たとえば介入の事実や代理戦争の主役という役割)にあらためて気づかされる。その意味では、"Alternative Facts vs. Facts"論争は、就任式の写真に関する4コマ漫画論争以上のけっこうな意味合いを持つことになります。
 
“Four score and seven years ago our fathers brought forth on this continent, a new nation, conceived in Liberty, and dedicated to the proposition that all men are created equal.”のnew nationに関するAlternative FactsとFactsを、大きな三角形から逃げてきた小さな三角形が、今度は三角形とも言えないような三角形がいっぱい混在していた広大な土地で、大きな三角形に成り上がったという文脈で再整理することも可能です。これはぼくたち日本人にも当てはまりますが。
 
米国民が自分のボンヤリに気づくと、日本のマスメディアは上の例のようにそれを瞬時に翻訳して輸入するので、そういうことに無頓着だった日本人もそのことに気づくことになります。

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