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2017年3月 6日 (月)

「きのこ」の工場

松茸は自然に生えているのを採ってくる(しかない)ので別格の領域の「きのこ」だとしても、ぼくたちが普段よく食べる種類の他の「きのこ」はたいていは工業生産対象品目です。原木栽培の「しいたけ」は手工業という雰囲気がありますが(もっとも、原木栽培は「原木」が福島原発事故で発生した放射性物質に汚染されてその生産量は激減しました)、菌床栽培の「しいたけ」「しめじ」「えのき」「エリンギ」「まいたけ」などは相当に自動化された工場でつくられる工業生産品に近い。そういう印象です。
 
ある企業の苫小牧の「きのこ」工場を見学する機会があったので、先週の土曜日に参加してみました。窓のない二階建ての建物がいくつか広がる工場敷地に入ると、そのあたりに「きのこ」の匂いが充満しているのにすぐに気づきます。
 
「きのこ」の生産工程は大きく二つに分けると培養工程と生育工程ですが、当初想定していたよりも収穫までには日数がかかるようです。「ぶなしめじ」が90日、「エリンギ」が45日、「まいたけ」が35日。1ヶ月くらいで回転しているものだと思っていましたが、勘違いでした。けっこう日にちが必要です。
 
工場内はたしかに工業製品の自動化工場に近いイメージです。しかし、話を聞いていて分かったのは、「きのこ」という生きものが相手なので、「標準的な『きのこ』製品」を作るためには、生育段階における酸素や温度や湿度や光のコントロールにけっこう人間の感性による微調整が必要だということです。
 
部品の標準化が十分に徹底していないころの日本の生産技術のひとつにベテラン職人の感性を活用した「擦り合わせ」というものがありました。それぞれ微妙に違う部品を「擦り合わせ」ることによって、標準仕様・標準機能をもった最終製品に仕上げていくという職人技術です。「きのこ」の生産、とくに生育工程のなかで「規格内」製品にそろえるためには職人の感性を活用した仕上げプロセスが不可欠のようです。
 
菌床栽培とは「きのこ」の菌を「床(ベッド)」で育てることですが、その工場では「培養ベッド」に「コーン・コブ・ミール」を使っているそうです。「コーン・コブ・ミール (Corn Cob Meal)」とは、トウモロコシの穂軸の粉末、つまり、トウモロコシの実をとってしまった後の芯を乾燥させて細かく砕いたもの、のことです。下の写真だと、透明な容器の中に詰まっている薄茶色のものがそれです。
 
A
 
「そのトウモロコシは国内産ですか、北海道のトウモロコシも含まれますか?」という質問には、「外国からの輸入です。国内産ではまかなえません。タイから輸入しています。米国などから輸入する方が簡単ですが、遺伝子組み換えでないトウモロコシが欲しいので、タイ産のコーン・コブ・ミールを使っています。」
 
アジアのB-to-B市場向けの取引サイトなどを覗いてみると、中国やタイ、ベトナムやインドネシアなどで作られたコーン・コブ・ミールがけっこう売りに出されています。有意義な見学会でした。
 
やや古いデータですが、米国と世界の遺伝子組み換え(GM)作物の作付比率は以下の通りです。ご参考まで。
 
Gm_

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